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【そして愛だけが残った】白黒ええよん インタビュー


白黒ええよん 個展「そして愛だけが残った2024 出産」を、2024年10月23日(水) – 11月4日(月)の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。

今回は、白黒ええよんさんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。


自己紹介をお願いします

白黒ええよんと申します。愛知生まれです。ある船の物語をつくっています。『そして愛だけが残った』という題名です。平面作品に限らず様々な方法で表現しています。太陽は魚座、月は天秤座です。アナログの制作は2020年末に再開しました。アーティスト名は人生を楽しめたらと思い、決めました。もうひとつの仕事、BtoBのラブレターのゴーストライターとも関係があります。ご覧くださる方々の益々のご多幸を祈念しつつキラキラの絵を制作しています。

現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。

きっかけは、昨年の個展です。

生き物たちの七五三ごっこの企画展と同じ空間で個展をさせていただくことを知り、企画展との親和性が高いものにしようと思いました。3つの壁面を使用しそれぞれ違う内容の作品群にするリクエストもいただきました。これらの要件を満たすべくうんと悩んでいたところ、あるとき、ある船の物語が生まれました。

全体的な構成としては、物語は大きく前半と後半に分かれていて、前半はさらに平和な現実の世界と荒唐無稽な空想の世界に分かれています。これらの3つの設定を3つの壁面に適用し、それぞれ特色がありつつも全体でひとつの物語になるようにしました。

生き物たちの七五三ごっことの関連性はいくつかあります。

まず、三日月のような船が主人公です(現実の世界では不器用な人がつくったことになっているので、三日月に見えないと思う人もいるかもしれません)。三日月は、成長も意味します。七五三も3歳、5歳、7歳と成長していきます。また、月は子どもの象徴でもあり、企画展が子どもの世界なので、個展も子どもの世界にしました。 それから、「月」は「ツキ」とも掛けられています。七五三は生き延びたお祝いでもあり、生き延びるか否かは運も関係していると思います。ツキというのは重要だと思いました。私自身もとてもラッキーだと思っていて、幸運を題材にしている絵も多いです。

船の物語は、現実の世界である子が遊んでいる時あるいは眠って夢を見ている時に、空想の世界が生まれることになっています。この点は、ごっこ遊びと関連があります。企画展がハレの日(ごっこ遊びが実際に行われているのはケの日の可能性もありますが)であるのに対し、個展ではあたたかいケの日をつくろうと思いました。また、船はとても長生きで、ややもすると短命になりがちな生き物たちと対照的になっています。

元々、物語の根底に「うまれる」があるところに、今年の個展のテーマ「出産」をいただき、大変光栄です。 https://www.instagram.com/p/C4T8Z3bSOCZ/?img_index=1

昨年の個展の準備で七五三について調べる過程で、命についてあらためて考えました。人はいつかその一生を終えます。人以外も、生きとし生ける者は皆そうですし、生き物以外もそうなのかもしれません。物語の後半では船が肉体を失い「見守る者」になります。「愛だけ」の状態です。死生観は人それぞれでしょうけれど、少なくともこの物語の中では「愛だけ」になります。 https://www.instagram.com/p/CywvOvvvnub/?img_index=1

昨年の個展では、物語の後半の部分は船が生き物たちの成長を見守るところを描きました。ここでは船は控え目で、生き物たちが主人公です。船は、手漉き和紙に金箔のシルエットで表現されます。

ラッキーなことに生き残った個体は、ご先祖様や目に見えない色々な存在たちの助けもあったに違いないと私は思っています。船もそのひとりになっています。もちろん、子どもたちが生き延びられるのは、この世に存在する様々な方々のおかげでもあります。「見守る」というのは、ただ見ているだけではなくいざというときには助けることも含まれています。私が日ごろ様々な形でお力添えいただいていることも意味していて、それらに対する感謝の気持ちも込めました。

『そして愛だけが残った』には、私の好きなものたちも登場します。例えば、私は魚座なのでツキノサカナたちがいます。物語の前半で船を助ける存在です。それから、雷もいます。私は雷は音も光もとても美しいと思います。ただ、実害があるのは嫌です。船は雷のエネルギーで動いています。ピカレスク様はかつて雷の企画展も開催されているので、雷好きとしても個展をさせていただけるのはとても嬉しいです。船が肉体を失うのは、愛車との別れの体験も関係があります。他にも色々あります。

個展のための平面作品の制作に際し、実際に木彫りの船も造りました。造船の過程でまたイメージを膨らませ、船ができるのと並行して世界がつくられていきました。私はアナログの活動を再開してから色々な「はこぶね」をつくってきました。船はそれとも関係があります。

他にも色々ありますが、簡単に申し上げると昨年の個展がきっかけで、様々な要素を組み合わせつくられています。

現在使用している素材で作品を作る理由を教えてください。

私は様々な素材を使用しています。分類のしかたによってはミクストメディアに入るのかもしれません。基本的に、デジタルからアナログに移行したというのもあり、アナログならではの何かをつくりたいと思い、素材も選んでいます。

特に私はデジタルでは光の表現が難しいと思った(人によっては簡単な方もいらっしゃるでしょうけれど、私の場合です)ので、アナログでしかできない光を求めています。描画ではなく、実際物理的に光る素材(今のところ自ら発光するというよりは反射による)を使っています。描画することもありますが・・・。天然の素材です(アクリル絵具でも光るのを使う時もあるので、光る素材が100%天然というわけではありません)。

例えば、天然石の粉や粒も使っています。それは、石が好きだからです(光らないのもあります)。最初は水晶末だけでしたが、あれよあれよという間に仲間が増え、現在に至ります。天然群青も使っています。アズライトです。アズライトは、触れるとなんだかとても優しい感じがして元気をもらえる気がします。石によってそれぞれ個性があり面白いと思いつつ触れ合いを楽しんでいます。画面に着地する様子もとてもかわいいです(私は基本的に画面を寝かせて制作しています)。今年の個展のためについにラピスラズリとトルコ石もお迎えしてしまいました。石によっては粒子の大きさも色々です。どこまでが絵具なのだろう?と思うことがあります。

石の仲間としては金箔も挙げられます(加工されていますが、鉱物です。天然石の粉末も基本的に岩絵具用のものを使用していますが、専門家の手により美しく整えられていて有難いと思っています)。手漉き和紙とひとつにして好きな形をつくったり、砂子を楽しんだりしています。砂子は、ふわふわと舞う様子がとても可愛くて、ずっと見ていたくなります。そのため、ついつい多めにまいてしまいます。

金箔は、純金を使用しています。純金の理由は、練習用(純金ではないもの)と本番用(純金)を用意しようとしたら色々難しかったので純金に絞ったからです。練習の段階から純金を使用することにより、純金に慣れることができると思いました。また、道具も一揃いで済むので場所が半分になります。また、純金のみを使用することにより混入も避けることができ、自信を持って純金と言えると思いました。純金はずっと変色しません。

かつてクリムト風の作品のオーダーをいただいたことがあり、とても悩みました。自分なりのクリムト風を創り出すためにクリムトについて調べるうちに純金を使っていたことを知りました。純金はこの少し前に使用を始めていたのですが、このことをきっかけにやはり純金を使おうと思いました。人生は短いので、してみたいことはできる範囲で色々してみることにしています。 尚、クリムトからは四角と丸(これらにも意味があり、それはこの制作にピッタリだと思いました)もいただき、自分なりの作品を制作しました。
https://www.instagram.com/p/CXlWHMdvOhv/?img_index=7

クリムトっぽくないと思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、あまり似過ぎてもいけないと思ったので、自分なりに描きました。お客様からもあたたかいお言葉をいただき、貴重な経験をさせていただき大変感謝しています。

箔に興味を持ったのは、かつてデジタルでメタリックな表現が難しかったからです。アナログの制作を再開し(というのはさらに昔もアナログで制作していた時期があったので)最初の内は金や銀は絵具でしたが、そのうち箔を使ってみたくなりました。今は時と場合に応じ併用しています。

生体鉱物のひとつ、貝殻も使っています。今のところ青貝です。青貝は、昨年の個展をきっかけに使用を開始し、好きだと思ったので壁が進むにつれて使用量や大きさの種類が増えていった想い出深い素材です。今後、可能であれば他の貝も使ってみたいです。 それから、支持体は最近は木製のパネルが多いです。エンパネという名前のものを使用しています。 https://shop.gwasendo.com/?mode=f12

側面のしましまが気に入っています。また、展示しやすいように裏側の構造も工夫されていて、これも好きな点のひとつです。エンパネに限らず木製パネルは私のすべてを受け止めてくれそうなところも好きです。また、私は元々木が好きなので、木に描けるのが嬉しいです。また、気に入った木目のは制作しない間は鑑賞用にもなり、楽しいです。
それから、先程少しお伝えしましたが、金箔を支えるために手漉き和紙を使用しています。楮紙です。適度な厚みと柔らかさとあたたかい感じが気に入っています。また、最近は手がまわらず制作できていませんが、紙に描く場合、出展のための作品にはコットン100%の中性紙を用いることにしました。長持ちしそうだからです。

こうして言語化してみると、私は自然素材、あるいは100%のものに惹かれがちなのかもしれません。それは自分が自然体でいたいということと自分の純度を上げたいということのあらわれなのかもしれません。

普段、何からインスピレーションを受けていますか?

森羅万象です。時と場合によります。

例えば、オーダーをいただいたらそちらを基に色々考えます。また、出展の際、テーマが決まっていたらそちらについて調べます。その過程で、色々思い付いたりします。暫くの間、日ごろ見聞きするものすべてについてテーマと関連付けて考えたりします。出先で見かけた耳飾り、おかしなお菓子のカンカンなど。 今回の個展については、例えば神話や伝承を調べたり、生き物の生態を調べたりもしました。 何も考えていない時にふと思いつくこともあります。制作中に作品と対話を重ね思いつくこともあります。テーマが決まっていなくても、何かふとつくりたくなったらつくるかもしれません。そこからまとまった何かが生まれることもありそうです。つくりたいものはたくさんありますが、なかなか手が追いつかずもどかしいです。

影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

高校生の頃は、ジョアン・ミロが好きでした。それ以前に、ミロは中学生の頃に美術の教科書に長い題名があり、作品の見た目よりも題名の長さが衝撃的な人物として記憶していました。ピカレスク様への初めての出展でも作品集の題名を長いものにしたのですが、それはミロの影響が大きいです。

それから、ずいぶん昔に拝見した展覧会で今でも憶えているのは「ホックニーのオペラ展」です。展覧会の名称は忘れましたが、レメディオス・バロも。しかし、自分自身の作風に影響を与えているかというと怪しいところです。ミロの影響で舞台美術家になりたいと思っていた時期もありましたが・・・。 あとは、子どもの頃足しげく図書館に通っていたので、絵本や童話の挿絵に知らず知らずのうちに影響を受けている可能性はあります。しかし、特定の誰かや何かが大好きでひたすら模写していたとかそういうのはありませんでした。

現在の作風に関しては、ある平面作品に影響を受けました。すべてはそこから始まりました。とある百貨店で様々なジャンルの絵画の企画展が開催されていました。その中に、不思議な光り方をする絵がありました。岩絵具で描かれているのだと教えていただきました。それ以上のことはわかりませんでした。作者名も題名も失念してしまいました。あの光だけが残りました。自分で岩絵具について調べました。私は元々石が好きでしたが、石との付き合い方がわからなくなってしまった時期もありました。岩絵具の存在を知り、自分にとっての石との新しい関わり方を発見した気がしました。
とはいうものの、私は自分の作品で「あの光」を再現しているかというと、そうでもありません。同じ光り方ではありませんが、天然石の粉が光っている点は同じです。

それから、後付けですが、見た目はさておき、平面作品のつくりかたについては浮世絵とジャクソン・ポロックとジョルジュ・スーラを足して3で割って何かを掛けたような感じがしています(それぞれについて似ていると思う理由を説明できますが長くなるので割愛します)。けれど、それは偶然です。徹底的に研究して今の作風を創出したわけではありません。

また、アナログの制作を再開した後拝見した作品のうち最も感銘を受けたのは、大野百樹さんの山の絵です(題名失念)。大好きで何度も実物を拝見しましたが、いつの間にか撤去されていて悲しくなりました。作風について影響を受けているかというと、怪しいところです。山が好きということを再認識できたのは大きかったかもしれません。また、元々油彩で空襲で全部焼かれて日本画に転向したことを知り、何とも言えない気持ちになりました。

他にも折に触れ様々な方々の作品を拝見したり生き様を知ったりして、勇気づけられたりしています。

私の作品の特徴のひとつとしては物語も挙げられますが、これは絵本に親しんでいた子ども時代と関係があるのかもしれません。

じっくり思い返してみたら何か他にも思い出すかもしれませんが、差し当たり以上です。

これからどんな作品をつくりたいですか?

平面作品に限らず、色々制作したいです。しかし、立体はさらに時間がかかる(実際、雷の他にも今年の2月に神戸に出展しましたが、その制作でもかなりかかりました。アイコンの木彫りの船も1ヶ月かかっています)ので、さしあたり出展用は難しそうです。

作風の唯一無二性に磨きをかけ、ますます自分らしい作品をつくりたいです。アナログならではの物質感のある、あたたかみのある作品をつくりたいです。船の物語と様々ななにかを掛け合わせ、色々な作品をつくりたいです。運良くお客様にお楽しみいただけたらさらに嬉しいです。

今回の個展のために今まで使ったことがなかった種類の天然石の粉をわけていただいたのですが、すべてを使うことはできなかったので、今後じっくり対話していく予定です。まずは様々な重なりや光をつくりたいです。

物語については、いつかそのうち本にと思っています。ISBNのない本かもしれませんが、なんらかの形でまとめたいです。まだまだ決まっていない部分が多いですが、今回の個展をきっかけに空想の世界で船が生まれるところが決まったので、他も徐々に具体化していきたいです。最近はストップモーションのアニメーションもつくることができていないので、いつかまたつくりたいです。

ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?

星の工場たち

町工場が好きです。ノコギリ屋根が特に好きです。また、町工場に限らず、それぞれの得意技で素敵な製品をつくり出している工場に惹かれます。元々、「つくる」という共通点がありますし、自己紹介でお伝えしたもうひとつの仕事でもお話をいただくことがあり、親近感があります。今回の個展のテーマが「出産」なので、ちょうど良い機会だと思い題材に選びました。

ある地域では、個性豊かな工場たちが独自の技術で素敵な星を生産していました。工場たちは自分自身の星を誇りに思うと同時に、お互いを尊敬していました。 船は、この地域で働いていたことがありました。工場たちにホシノモトを届ける仕事です(「届ける」という行為も「出産」と関係があります)。工場たちは素敵な星をつくるには技術や設備もさることながら素敵な原材料が欠かせないと信じていました。そこで、特別なものを調達していました。最も重要な原材料は、愛でした。愛だけは、自分たちで用意できました。また、様々な協力者や支援者からわけてもらうこともありました。

ホシノモトは愛の石ともいわれるエメラルド(ヒマラヤ産)で表現しました。昨年は最大の絵で四葉のクローバーになっていました。星は色々です。例えば、秘蔵のウミユリの茎の化石(ジュラ紀、モロッコ産)もここぞとばかりにたくさん使いました。 この地域は、地域そのものもつくられているところです。キリンたちが仕事をしています。
また、船については明らかに仕事をしている様子が描かれた初めての絵となりました。

『そして愛だけが残った』では「星をどうぞ」というのがあるのですが、その星たちはこの地域でつくられているのかもしれない、と制作しながら思いました。あるいは他のどこかかもしれませんが・・・。星は、希望や祝福や幸運のしるしです。

大地の出産

今年の個展のテーマは「出産」。というわけで、色々な出産を思い浮かべてみたことがありました。大地も出産をすると思いました。大地だけでも様々な出産を想像しましたが、今回は芽が出るところにしました(空には虹も、出ています)。何度もラフを描き漸く次の段階に進んだ想い出深い作品です。 ラフは、没になるとそれっきりの場合もありますが、何度も描き直してみたくなることもあります。

題名は色々悩みましたが「大地の出産」にしました。

石が好きな私は大地も好きです。それから、雷も好きです。かつてピカレスク様の「雷 擬獣化展」に立体作品を4点出展させていただいたことがあるくらい好きです。 雷は、以前から光と音が好きでしたが「雷 擬獣化展」をきっかけに雷について調べ植物の生育にも関与していることを知りました。そしてさらに雷が好きになりました。

こちらの絵の雷は、昨年の最大の絵の雷のシャンデリアとほんのり繋がっています。雲をとても優しい感じにできた点が特に気に入っています。

他にも色々好きなモチーフを描きました。蹄鉄のようなミミズもいます。たくさんの幸せが生まれる絵にしました。蝶の羽の色について試行錯誤する中で、天然石の粉を重ねたら意外な色になったのが印象的でした。最終的には別の色にしましたが、全部消してしまうのは惜しくて縁だけ残しました。天然群青はあまり販売されていない大粒のも使ってあります。

画面には人間は描けませんでしたが、この物語の中に人間がいるのか、いるとしたらどんな感じなのかはご想像にお任せします。

物語のはじまり

個展のテーマ「出産」の周辺「受精」から物語をつくりました。受精のプロセスを調べ、作品に反映させました。私は競争社会は苦手なので、皆で力を合わせて希望を届ける話にしました。

あるところに星たちが暮らしていました。星たちは仲間内で争っていたのですが、力を合わせてある人に希望を届けることにしました。船には特別な任務が与えられました。特定のエリアで希望を放出する役目です。この任務のために船はクジラのドックで改造されました。

船と星たちが進んでいくとハートたちに出会いました。ハートたちは合言葉が大好きです。船は言語学習中なのでそんなに言葉をしりませんでしたが、運良く道がひらかれました。合言葉が大好きなハートたちの先には、星たちが苦手なエリアが待っていました。船は、そこを越え(といっても舷窓一つ分しか超えられませんでした)舷窓から希望を送り出しました。

困難を乗り越え様々な希望に満ちた物語が始まるよう祈念しつつ制作しました。

ラフの段階では暗い宇宙空間のようなところに両者が存在していましたが、制作を進めるうちにもっと大きな絵の一部のような気がしてきました。ハートたちのエリアは暗い部分にもっと影響を与えているのではないかと思えました。そこで、一部をハートたちのエリアの色で塗りました。この変更により相当数の天然群青をはじめとする天然石の粉末たちが絵具の下になりました。石の粒子たちの上から絵具を塗るのは勇気が要りましたが、白黒ええよん史上新しい感じになり嬉しいです。

この絵に限らず、私の希望として、出産とその周辺があたたかいものであってほしいというのがあり、自分なりのあたたかい色が使われていたりもします。また、ピンク、パープル、オレンジはそれぞれのリボンの意味がそっと込められていたりもします。ピンクとパープルに関しては、私は女性に限らないと思っているので、女性以外も含まれます。

同じような色の絵ばかりになってもお楽しみいただきにくいのかもしれないと思ったり、あまりバラバラでも統一感がないのかもしれないと思ったりし、試行錯誤しました。元々白黒の線画のラフもあり、自由度が高い分悩んだりもしました。しかし、ラフは彩色済みでも制作時にガラリと変えてしまう場合もあるので、白黒の線画というのは理由にならないと思います。元々、全部違う色の絵にしようと思っていたのですが、難しかったので程々のところに落ち着きました。

空想の世界では、作者の私も冒険することにしています。例えば、船の表情です。船には元々両側に舷窓が3つずつあるのですが、これを顔に見立てて色々しています。こちらの作品では今までにない顔をつくってみました。

お客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!

貴重なお時間を、ありがとうございます。

『そして愛だけが残った』は絵(あるいは立体作品)から物語をつくる試みです。大まかな設定は決まっていますが、細かい部分はお客様により変化します。私は私で物語をつくりましたが、ご自由にお楽しみいただけたら幸いです。

ちょうど今回の個展のテーマは「出産」ということもあり、お客様に物語をつくっていただけることがなおさら嬉しいです。(「出産」がテーマではない回も自由な想像を歓迎します。)

また、今回の出展作品はすべてにヒマラヤ水晶の粒が隠れています。作品の大きさにより数が異なります。その他、様々な石の粒や粉が使われています。宝探しもお楽しみいただけたら幸いです。

物語と素材についてはA5の別紙に記載し、掲示いたします。 会期は11/4までで、今年の11/4は月曜日ですが営業日です。

準備が遅れ気味ですが、SNS等にも可能な限り投稿していく予定です。併せてお楽しみいただけたら幸いです。 色々お力添えいただきありがとうございます。 素敵な秋とその先をお過ごしください。

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白黒ええよんさん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。
皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?

ピカレスクスタッフは「あの光だけが残りました」と記されたエピソードに深い印象を持ちました。

「とある百貨店で様々なジャンルの絵画の企画展が開催されていました。その中に、不思議な光り方をする絵がありました。岩絵具で描かれているのだと教えていただきました。それ以上のことはわかりませんでした。作者名も題名も失念してしまいました。あの光だけが残りました。」

2023年、2024年の個展タイトルは「そして愛だけが残った」。何かが残ることは、白黒ええよんさんの作品を理解する上で大切な概念なのかもしれません。

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ニューヨークのセントラルパークには、2万5000年ほど前に遠くの山から氷河に乗って辿り着いた巨大な石がたくさんあります。迷子石、なんて呼ばれているそうですが、石たちの長い旅の休憩地点と考えるとちょっとイメージが変わりませんか。

その巨石がどんな旅路で何を見て、いかなる出会いと別れがあったのか誰にもわかりません。光も、愛も、過去に目を向け続けるとそこには無限の孤独しか無いのかもしれません。

巨石が今、公園で世界中の人々の憩いの風景に溶け込んでいるように、白黒ええよんさんは、過去に浴びた光を胸に、新たな光を生み出しています。

現在の地球で確かに起こっている、その2つの静かだけれども強い結びつきを感じさせるようなエピソードでした。

光をたたえた白黒ええよんさんの作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。

白黒ええよん 個展「そして愛だけが残った2024 出産」


〈会期〉2024年10月23日(水) – 11月4日(月)
〈詳細〉https://picaresquejpn.com/4696a4_exhibition_2024/
〈白黒ええよん 公式SNS〉
X(旧Twitter) https://twitter.com/4696A4
Instagram https://www.instagram.com/4696a4/
HP https://kirakiranoe.com

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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561

■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/
■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/


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