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【月刊pic-step 5月号】藤倉琉音先生 インタビュー

こんにちは。月刊pic-step編集部です!
5月号の第2弾は、イラストレーターの藤倉琉音(ふじくら・りゅうね)先生へのインタビューを公開します。

イラストレーターになるまで

藤倉先生は、現在フリーランスのイラストレーターと、美少女ゲームのグラフィッカーをされています。
※グラフィッカー…ゲーム開発におけるグラフィックス制作にかかわるお仕事です。美少女ゲームの場合は主にキャラの彩色、背景の彩色等がメインとなります。

藤倉先生がイラストの道に進むきっかけは何だったのか、その経緯を訊いてみました。

ー藤倉先生がイラストと出会ったのはどういうきっかけでしたか?
藤倉先生:もう結構物心ついた頃には絵を描いてて、デジタルではペンタブに初めて触れたのが小6なんですけど。それ以前もアナログで絵を描いてて、友達に見せて楽しんでいたので、「よし、描くぞ!」と意気込んで描くというのはなかったですね。

―憧れていた方はいますか?
藤倉先生:「涼宮ハルヒの憂鬱」とか「灼眼のシャナ」を担当された、いとうのいぢさんがとにかく好きで。絵柄のマネはしなかったんですけど、いとうのいぢさんを目標に頑張っていました。

―初めての、商業としてのイラストの依頼はどのような内容でしたか?
藤倉先生:一番最初は、専門1年生の時に受けた同人ゲームのお仕事でした。本当に初めてのお仕事だったので、「すごい、やったー!」って気持ちでしたね。

―何かプレッシャーは感じましたか。
藤倉先生:プレッシャーとかはなかったんですけど、単純に学業との両立がすごく難しかったですね。当時は学校に通うのに片道2時間かかったので、とにかく時間がなかったのを覚えています。

ーちなみに、初めて使った機材は何でしたか?
ワコムさんのFAVOってやつを当時使ってたんですけど、INTUOSとかBAMBOOが出る前のやつなんでめちゃくちゃ古いです。私、液タブが疲れちゃって合わないので、ワコムさんの板タブは割と丈夫なのでいいなと思って、今も使ってます。

―ファンの方からの質問です。「藤倉さんの可愛いイラストに心惹かれ、何年も応援させていただいておりますが、お恥ずかしながら、ペンネームの由来を存じ上げません。なので今回の機会にお教えいただけますと幸いです
藤倉先生:この名前、名字は一回変えてるんですけど、この琉音(りゅうね)って名前はもう中学2年生の時にあって、実際に使ってたんですが、ある美少女ゲームで好きなキャラがいて、そこからもじったみたいな感じです。苗字の藤倉も、それぞれ「ふじ」と「くら」で、漫画家さんとイラストレーターさんからもじって生まれた名前です。


物心ついた時から自然と絵を描いていて、気がつけばそのままこの道に進んでいたという藤倉先生。昔から本当に絵を描くのが好きだということが伝わるエピソードですよね。
そんな藤倉先生の絵にはある共通点があります。それは、どのイラストもフリルたっぷりの可愛い衣装を着ているということ…!

大好きなロリータファッションをイラストにも

ーファンの方からの質問です。「藤倉さんのイラストは女の子だけでなく、衣裳も非常に可愛らしく、いつも拝見するのを楽しみにしていますが、何かデザインの参考にされているものはございますか?」
藤倉先生:私のイラストって結構フリフリしたものが多いと思うんですけど、私自身、ロリータファッションが大好きでして。ロリータファッションのブランドさんの新作とか、サイトとかから参考にしたりしてますね。

―ご自身が着てて、良いなぁと思ったものをどんどんキャラクターにも落としていくんですね。
藤倉先生:そうですね。自分が可愛いって思ったら、描くキャラにも着せてます。私も昔は趣味が全然違って、スポーティーな服装をしてたんですけど、中学2年くらいの時にクラスにパンクファッションの子がいて、その子が持ってた雑誌を読んだら、こんな世界あるんだって思って。それで結構ハマった感じです。

藤倉先生は、ロリータファッションのデザインの良さをもっと伝えたいという気持ちで、イラストを描かれているそうです。ご自身で着ているものと同じお洋服をキャラに着せるという考え方、とても素敵ですよね!描くときの参考にもなりそうです。

イラスト1:咲き誇る薔薇と君

藤倉琉音先生の作品「咲き誇る薔薇と君」

―このイラストの、こういう部分に力を入れたというこだわりポイントを教えていただけますか。
藤倉先生:基本的に、女の子の顔と、あと他に何か1つ、見どころを作るようにしてます。この場合は顔と、服装でした。

―ものすごく細かく描画されていますが、仕上げるのにどれぐらいのお時間かかりましたか?
藤倉先生:これは結構かかってて、多分50何時間とかだと思います。仕事の合間に描いた趣味絵なので…

―このイラストについてファンの方から、「ボルドーをメーンにした色使いが素敵ですが、その色使いでこだわったポイントを教えてください」との質問がきていますので、お答えいただけますか?
藤倉先生:まずボルドーのメイド服って結構珍しいじゃないですか。いつも私が描くメイド服は結構白黒が多いので、たまには趣向を変えてみようと思ってボルドーにしたんですが、背景が同系色だとせっかくのボルドーがあまり目立たないので、この絵の場合は青空にして、青と赤で完全に色相を分けることで目立たせています。
あと、この背景にある建物はガゼボという建物で、実際は地面にドーンって立ってるのが多いんですけど、この絵の場合は、ガゼボから向こうの景色が見えると空の青が隠れてしまうので、ガゼボの向こうはあえて空にしています。

―このイラストを描いててこの楽しかった部分はどこですか?
藤倉先生:やっぱり色塗り作業ですけど、特に目とフリルかな。目の中だけでレイヤー15個、まつげだけでレイヤー10個とかいくので、なかなか大変ですけどね。

藤倉琉音先生の作品「ご主人様♡」

イラスト2:「ご主人様♡」

―これも先ほどの「咲き誇る薔薇と君」と同じぐらいの時間かかりましたか?
藤倉先生:いや、これはそれほど時間が掛かってないんですよね。「咲き誇る薔薇と君」とこの絵では、背景の入れ組み方とかが全然違うので、それだけ時間のかかり方が変わってきます。このイラストの方が簡単で、背景だけで多分3〜4時間くらいで終わってるので、多分30〜40時間だと思います。

―こちらのイラストはどういうシチュエーションを想定して描かれたんですか。
藤倉先生:この子のメイド服がロング丈なんですけど、ロング丈で太ももが見えるシチュエーションってやっぱたくしあげとか、風の揺らめきとかそういうのがないと発生しないんですけど、ちょっと無邪気そうに「見て見て!」みたいな感じでたくし上げてるのが描きたくて描きました。

イラスト3:ソシャゲの立ち絵っぽいイラスト

藤倉琉音先生の作品「ソシャゲの立ち絵っぽいイラスト」

―こちらのイラストのテーマや、イメージを教えてください。
藤倉先生:ブラウザゲームとかによく使われる「立ち絵」っていうのがあるんですけど、その立ち絵が、ポーズをつけたり、背景は無しだったり、炎のエフェクトをつけたりしていることが多いので、そういった立ち絵っぽさを意識して描きました。魔法使いをイメージして、杖のような武器を持たせています。

立ち絵とは、その名の通り立ち姿のキャラを描いたもので、主にゲームの会話パート等でよく使われています。単にキャラが直立している絵という意味ではなく、そのキャラの特徴がわかるようにポーズをつけられています。
このイラストの場合は、体を少しくねらせて、ポーズで女性らしさを表現されています。

ーフリルや洋服の装飾部分を細かく描き込むことで、洋服の広がりや画全体の見栄えが全然変わってくるんですね。
そうですね、描けば描くほど印象が変わってくるので、なかなか楽しいです。

自分の絵柄の作り方

―「お仕事で商業イラストをやっていると、絵柄が頼まれたものに寄ってしまう」という相談が結構あって。藤倉先生はご自身の絵柄っていうどういう風に構築して、維持されていますか。
藤倉先生:絵柄を模索してる時は、基本的に複数人の作家さんのイラストを研究して、そこから吸収して生かすことが多いですね。例えばAさんのハイライトとBさんの影の入れ方を混ぜて、そこに自分のテイストも入れて、という感じでオリジナルの絵柄にしています。
また、自分の絵柄を確立していても、それが古いままだったらイラストレーターとして向いてないと思うんです。やっぱり最先端のものに常にアップデートしないといけないので、そのためにもいろんなイラストの研究は欠かさないですね。

―最後なんですけど、イラストレーターを目指してる方やこれから始める方、今現役でやっている方へ、メッセージはありますか。
藤倉先生:その人の段階によって描けることが全然違うと思うんですけど、例えば描き始めの方だったら模写とかで画力を鍛えるといいと思います。自分の絵柄が固まってきた方や、それ以上の方は、本当に絵を描く枚数を重ねること。練習でザザっとじゃなくて、1枚完成したイラストをどんどん描き続けることがやっぱ大事なのかなって思います。

今回はイラストレーター志望の方も、現役イラストレーターの方も、ためになる回だったのではないでしょうか。特に「絵柄が定まらない」というお悩みはイラストを描く方なら誰もが経験することだと思います。イラスト作成のヒントになる貴重なお話をいただいた藤倉先生、ありがとうございました!


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次回もお楽しみに!


インタビュー: 大森 康政/萩谷 勇也
記事:橘 爽香


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