【月刊pic-step10月号】okiq先生インタビュー
こんにちは、月刊pic-step編集部です!今回は、イラストレーターのokiq先生のインタビューをお届けいたします。
okiq(おきく)
Vtuberのキャラクターデザインで高い評価を受け、人気Vtuberのママ(産みの親)として多くの支持を集めているイラストレーター。
okiq(おきく)先生はかわいい女の子をメインに描いていらっしゃるイラストレーターです。画面の向こうからかわいい女の子に見つめられるようなドキドキ感が、okiq先生のイラストの特徴です。
人気Vtuberのキャラクターデザインを手掛けるほか、SNSやコミックマーケットで積極的に活動し、ファンとの触れ合いを大事にされています。
今回はokiq先生から、お気に入りの資料や、こだわりのツールなど、興味深いお話を伺うことができました。先生が大事にしていること、作品作りで心掛けていること、ファンの皆様から寄せられた質問に対するお答えを紹介していきます。
物心つく前から絵を描いていた
―それではよろしくお願いいたします。まず最初の質問ですが、okiq先生はいつごろから絵を描き始めたのでしょうか?
okiq先生:そうですね、物心つく前から絵は描き続けていましたね。何か大きなきっかけがあったというわけではないんですが、当時は他にできることもなかったんだと思います。
―とても早いですね!では、イラストを本格的にやっていきたいなと思うようになったのは、具体的にいつ頃だったのでしょうか?
okiq先生:絵の道に進みたいと思って、決意したのは高校生の頃です。その頃ちょうど、初めてのアルバイトで接客業を経験したんですが、私には向いていないのかもしれないと、実感してしまったんです。人と関わる仕事は本当に難しいですよね。それで将来どんな仕事をしていきたいだろうって考えて、たどり着いた答えが「モノづくり」でした。
ずっと絵は描き続けていたので、思い切ってSNSに絵を投稿してみたら反響をいただけて、お仕事のご依頼などをいただけるようになったので、本格的にイラストでご飯を食べたいなと思ったんですよ。
―なるほど、実際に社会に出て、絵の道を極めようと決意されたのですね。ちなみに先生の作品では女の子のイラストが多い印象ですが、女の子のイラストが好きになったきっかけはありますか?
okiq先生:もともと女の子がメインのアニメやコンテンツがすごい好きで。
私が初めて好きになったアニメが「魔法少女まどか☆マギカ」なんですけど、昔からああいうちょっとフリフリした感じの衣装とか、かわいい女の子とかがすごい好きなんですよ。
きっかけと言われると難しいんですけど、生まれながらにかわいい女の子のイラストが好きでしたね。
ここから先はokiq先生に寄せられたご質問を交え、先生の作品とその制作について伺っていきます。
イラスト1「天使達の夏休み」
―こちらの作品は「天使たちの夏休み」というタイトルですが、今回のコミックマーケットのために描き下ろしたとお聞きしています。どのようなコンセプトでご制作されたのでしょうか?
okiq先生:去年の夏のコミックマーケットで、このイラストの右側の女の子を描いたんですけど、去年よりもっといいものを作りたいなと思って、情報量を上げつつ見た目にもより華やかな感じを出したくて、人物を増やすという方法を取りました。
どちらのキャラクターも名前は特に決めていないですけど、ピンクのツインテールや黒髪のツインテールに愛着があるんです。
―ツインテールがお好きなんですね。
okiq先生:大好きです。なので手癖でこういう感じになっちゃうんですよね。
―水着も白と黒で、色も対極的な印象を受けます。
okiq先生:そうですね、キャラを2人描くときはどっちかを対照的にしたいなっていうのはいつも心がけているんです。今回もそういう感じのイメージで描いてみました。
ツインテールが大好きなokiq先生の笑顔からは、好きなものを描く楽しさがしっかりと伝わってきます。
ここから、イラスト制作についてさらに詳しくお話を伺っていきます。
―1枚のイラストを描き上げるのにどれくらいの時間がかかるんですか?
okiq先生:イラストによりますけど、このイラストでいうとキャラクターが2人いるので、2~3日くらい。1日4時間ぐらい作業して2日とか3日くらいです。
―作業スピードがとても早いですね!
okiq先生:私は筆が早い方なのかなと思います。制作中の作品を寝かしておくと、自分の描きたかったものが分からなくなってきちゃうといいますか、修正したくなって、悩んでしまうので、最後まで一気に描き上げて次に行きたいという気持ちが強いんだと思います。
ー確かにあとから修正したりするのは大変ですよね。それではここからは、ファンの方々より頂いた質問にお答えいただきたいと思います。
okiq先生:天使と悪魔なんですけど、向かって右側のピンクの髪の子は昔からよく描いていて、すごいお気に入りのキャラクターなんです。このイラストはその子のお友達を作ろうと思って描きました。
悪魔の女の子の対にするなら、やっぱり対照的なイメージになる天使の女の子かなっていう風に構想したイラストです。
―素敵ですね。髪の毛がハートになっているところとか、細かいところまでかわいいです。
okiq先生:そうなんです。ここちょっとこだわりポイントです。
―実際に先生は学校とかで専門的に学ばれたんでしょうか?
okiq先生:実はそういうのが全くないんです。ずっと独学で、美術部とかも入ったことなくて。
―そうなんですか!?
okiq先生:はい、帰宅部だったので、家に帰って自分の部屋でずっと絵を描いていました。
ー独学で描き続け、腕を磨かれたのですね。凄いです!
okiq先生:今まで買った中で一番よかったなって思うものをご紹介させてください。
「カラー&ライト」っていう本がすごく良いですよ。
この本では光や影の使い方などがとても詳しく解説されているんです。絵の基礎が学べます。
―ご紹介いただきありがとうございます。他にも、イラストレーターの方の作品などを参考にされることもありますか?
okiq先生:もちろんです。資料集めが、絵を描くうえで一番大事だと思っています。とにかくひたすら資料を検索して、集めて、そこから作品を作るということを普段からよく意識してます。私はCLIP STUDIOを使ってるんですけど、そこにある3Dの素材などもいつもお手本にするようにしていますね。
―特に好きだったり、影響を受けた作家さんはいらっしゃいますか?
okiq先生: Vtuberのママをやってらっしゃるイラストレーターさんはすごくよく見ています。例えば、がおう先生とか。肌の塗りなどがすごいきれいで、参考になるところが多いんです。あとは望月けい先生とか、けっこう画風は違うんですけど表現の仕方がすごい面白くて、よく見ていました。
イラスト2:「地雷ちゃん」
―こちらのイラストは、いわゆる「地雷系」と言われるような洋服や、メイクから着想されたんですか?
okiq先生:はい。私はこういう服装が好きなので、それを全面的に持ってきて、1枚描いてみたいなと思って制作しました。勇気がなくて自分で着ることはできないんですけど、代わりに自分の描いた子に着せています。
―髪の毛やリボン、目など、全体的に紫が基調になっていますが、これは最初からこの色で描きたいと思ったんですか?
okiq先生:そうですね、例えばこの地雷系だと黒がメインなので、黒に合う色味を使いたいなって思いまして。普段ピンク系のイラストが多かったので、ちょっと味を変えて紫を選んでみました。
―髪型はツインテールだけどあえて巻き髪になっていますね。このタイツなども実際のものを参考にされたのでしょうか?
okiq先生:私的にはツインテールでストレートだと清楚な感じが出るかなと思うんですけど、今回は清楚な感じっていうよりかはやんちゃな感じを描きたかったので、巻き髪にしてみました。網タイツはCLIP STUDIOの素材のなかに網タイツブラシっていうのがあって、それを使用させていただいてます。
―顔が赤らんでいるような、ちょっと恥ずかしいような表情をしていますよね。感情的にはどんな感じをイメージされたんですか?
okiq先生:私が描くイラストはだいたい、画面の手前に「ユーザー」がいるんです。画面の自分に向かって何か言いたそうにしてるような、ドキッとする感じのシチュエーションを作るのが好きで、よくやっています。
―やんちゃな感じがありつつも恥じらいがありそうな、その辺のギャップが素敵だなと思いました。
okiq先生:デスクトップのピンクの大きいパソコンがあって。ゲームもするので、パソコンはいろいろカスタマイズしています。タブレットはWacomのCintiq 22という、大きい液タブを使っています。
―液タブには違和感がある、板タブのほうが好きっていう方もいらっしゃるみたいですが、先生はいかがですか?
okiq先生:タブレットを初めて使ったのが中学生の時で、当時は液タブじゃなくて板タブを使ってたんですけど、最初使った時はむしろ板タブのほうが違和感があったんです。ずっとアナログでお絵かきをしてたので、目は画面を見ながら手だけ動かすことの方が違和感があったので、私は液タブの方が直感的に描けて好きですね。
イラスト3:「食べちゃうぞ♡」
―こちらが最後の作品になります。この子は先ほどお気に入りの作品でご紹介いただいた、悪魔のキャラクターでしょうか。コンセプトについて教えていただけますか?
okiq先生:はい、同じキャラクターです。キャラクター自体のコンセプトでいうと、とにかく私の好きなものを詰め込んでやろうっていうコンセプトで描きました。ツインテールとか、ピンクとか、あと、ちょっと小悪魔っぽい感じの女の子がすごい好きで、八重歯があって生意気な子とか。そういうキャラがすごく好きだったので、とにかく自分の好きなものを詰め込んで集結させたイラストです。
―しっぽがハートになっていたり、髪から羽が生えていたりしてかわいいですよね。
okiq先生:小悪魔ちゃんっていう、人間と悪魔の中間のような設定なので、しっぽが付いています。羽はヘアゴムのようなアクセサリーをイメージしてます。
―羽はアクセサリーだったんですね!とても細かく設定されて描かれてるんですね。
okiq先生:そうですね。あとは、肌面積が広くなっちゃうと単調になっちゃうので。ちょっと工夫を凝らしたいなと思って、アームカバーやニーハイなどをつけてみました。肉がムチッとしてる感じを描くのも好きなので、それを表現するために、この長さにしています。見た人をちょっとドキッとさせるような感じの演出は必ず入れたいなって思っています。
okiq先生:私絶対目から描くタイプです。全体の印象に大きく関わるところなので、顔とかは先に決めておきたくて。
―そうなんですね!イラストを描かれる時に特に意識されていることがあれば教えてください。
okiq先生:たぶん私がずっとVtuberのお仕事をしていたからだと思うんですけど、ファンアートや、二次創作される方にとっての描きやすさをすごく意識してます。最近、オリジナルキャラクターっていうとデザインがけっこう盛り盛りなのが多いと思うんですよ。それはそれですごいかわいいんですけど、逆にこう、ファンアートとか二次創作とか描きたい人の敷居が高くなっちゃうのかなっていうのが気になってるんです。Vtuberのデザインとかだと、二次創作の盛り上がり具合は人気に直接比例するので。だからそこらへんは、絵が苦手な方でも気軽に描いていただけるデザインにしたいなっていうのは思いますね。
okiq先生:個人的に一番印象に残っているのがやっぱりVtuberのキャラクターデザインがすごく印象に残ってて。自分で絵を描いておしまいじゃなくて、出した後に演者さんがいらっしゃって、魂が乗って動くのが個人的にすごくおもしろかったなあって思いました。
普段だったら一枚イラストを納品して終了みたいなのが多いですけど、そこからこういろんな方が連鎖していくっていうのはなかなかないことなので。Vtuber独自の文化みたいな感じですごい面白いなって思いますね。今後もVtuber業界に携わりながら進めていきたいなというふうに思っています。
これからについて
―今後についてお伺いします。イラストレーターとしての目標をお聞かせください。
okiq先生:いろいろあるんですけど、個展をやってみたいというのはありまして、あとは画集とかを出してみたいとか、大手のイラストレーターさんがやってることは一通り通ってみたいですね。
―素敵ですね。開催されたらぜひ行ってみたいです。最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
okiq先生:いつも応援してくださって本当にありがとうございます。現在はまったりペースで活動中ですが、イベントとかは必ず出たいなって思っているので、これからも応援よろしくお願いします!
今回のインタビューでは、okiq先生がVtuberのキャラクターデザインを通して培った、独自のこだわりなどを伺うことができました。イラスト制作に際してはまず何よりも資料集めに力を入れていらっしゃるとのこと、綿密に計画を立てて描き始めるなど、描きたいものを描きたいように表現するために気を付けていらっしゃるポイントを教えていただけましたので、皆様のご参考にしていただければ幸いです
okiq先生、この度は本当にありがとうございました。
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よろしくお願いします。
次回もお楽しみに!
インタビュー/記事:林 真一
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