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【月刊pic-step11月号】小森くづゆ先生インタビュー

こんにちは、月刊pic-step編集部です!
今回は、イラストレーターの小森くづゆ先生のインタビューをお届けいたします。これから漫画家としてもっと活躍したいという小森くづゆ先生から、将来イラストレーターや漫画家を目指す方々に向けて、貴重なアドバイスをいただくことができました。
クリエイターを夢見る皆様は、ぜひご注目ください!



小森くづゆ
X(Twitter)のフォロワー数27万人を超え、人気拡大中のイラストレーター。ゲーム会社にイラストレーター職として入社、並行して個人活動でも作品を発表し続け、フリーイラストレーターとして独立。 2022年02月26日からは「まんがタイムきらら(芳文社)」で漫画
「Vドルあーかいぶ!」を連載開始、2023年12月号で堂々の完結を迎えた。


小森くづゆ先生はライトノベルの挿絵、挿画、キャラクターデザインに加え、ソーシャルゲームのキャラクターデザインやイラストを通して注目されています。現在はオリジナル漫画の連載に注力していらっしゃるという小森くづゆ先生ですが、イラストレーターとして独立するまでにどのような経験があったのか、また、今後どのように活動していこうと思っているのか、
イラストのご紹介や、ファンの皆様から寄せられた質問と絡めてお話を伺っていきたいと思います。


親の反対を乗り越えてイラストレーターへ

―改めまして、よろしくお願いいたします。早速ですが、先生がオリジナルキャラクターを描くようになったきっかけを教えてください。
 
小森くづゆ先生:もともとイラストは同人活動で描いていたんですけど、
イラストを通してほかの作家さんとも繋がるようになったんですよ。そのイラストレーターさん達はオリジナルキャラクターを描いていることが多くて、僕も影響を受けました。単純に「あ、いいな」と思ったんです。
 
―周りの作家さんに触発されたという感じなんですね。イラスト自体はいつごろから描くようになったんですか?
 
小森くづゆ先生:本格的に絵を描くようになったのは2013年くらいです。そろそろ10年になります。
子供の頃でいうと、授業中に落書きするみたいな生徒ではありました。主に少年漫画の真似をしていましたね。「週刊少年ジャンプ(集英社)」の作品を真似することが多かったと思います。
 
―現在のような方向性に転換されたきっかけなど、ありましたら教えてください。
 
小森くづゆ先生:ライトノベルの影響が強かったと思います。僕がライトノベルを読んでいた時代が、まさに、ライトノベルの黄金期だったような気がしているんです。
特に強く影響を受けたのは富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA)の「デート・ア・ライブ(DATE A LIVE)」ですね。僕の絵柄の柱を作ってくれた作品です。イラストレーターという職業に興味を持ったきっかけでもあります。
ライトノベル以外では「艦隊これくしょん -艦これ-」(DMM GAMES &「艦これ」運営鎮守府)からも影響を受けたと思います。好きなキャラクターがいたんです。
 
―教えていただきありがとうございます。そこからイラストレーターに向けて、学校で絵の勉強をされたんですか?
 
小森くづゆ先生:一般の大学に入って、卒業まで通うっていう、親との約束があったので、絵については独学なんです。
 
―独学とはすごいですね!どのようにして絵の勉強を進めていかれたんですか?
 
小森くづゆ先生:僕の場合、明確に目標にしやすいものがあったので、そこに向けて訓練していった感じです。「デート・ア・ライブ」の挿絵を担当されている、つなこ先生という、この方の絵を完璧に模写できるようにしようというのが、最初の練習方法でした。完璧に身についたと確信できるまで、同じ絵を100回くらい描いていました。
効率的とは言えないかもしれないですが、僕にとってはこの練習方法が合っていたんだと思います。
 
―そういう練習方法があるんですね。模写し始めた最初のほうと、終わりのほうで、ぜんぜん違いますね。上達具合がぱっと見てわかるので、すごいなと思いました。
その後、大学を卒業してから活動を始めたんですか?
 
小森くづゆ先生:イラストレーターとして大学2年ぐらいからコミックマーケットに参加し始めました。大学卒業後はゲーム会社に入社して、会社でイラストレーターをしつつ、同人活動も継続していました。
3年ほど勤続して、フリーランスでやって行ける状況になってから、独立したんです。
 
―ゲーム会社で働いていた時のお仕事内容を伺ってもいいでしょうか?
 
小森くづゆ先生:イラストレーターというよりアートディレクターのような形でした。イラスト制作会社にイラストを外注して、納品されたものを赤ペンで修正して、フィードバックする業務が多かったです。自社で製作しなきゃならないイラストについては、僕が自分でイラストを描いて、絵柄合わせをすることもありました。
 
―色んな経験をなさっていて、すごいと思います。一般の大学に通うというのがご両親の方針だったんですよね。イラストレーターになることに反対されたのでしょうか?
 
小森くづゆ先生:すごく反対されましたよ!めちゃくちゃ反対されました(笑)
イラストレーターで成功できるのは一握りだとか、もっと安定した仕事を目指すようにといったことをよく言われました。間違った意見だとは思っていないんです。でも、挑戦していない人間が言っていいことなのか、と強く感じました。
 
―先生のイラストに対する情熱を感じます。今イラストレーターを夢見ている方に、先達として、何かアドバイスを頂けたらと思うのですが……
 
小森くづゆ先生:無責任に煽るようなことは言えないです。でも、イラストレーターになりたいという人に僕が言えることがいくつかあります。
僕の経験からすると、フリーランスにこだわりがないのであれば、会社に就職するのはいい手段だと思います。
もしフリーランスを目指すのであれば、絵の上達は当然として、それとは別に人脈作りにも力を入れたほうがいいです。少なくとも、僕とゲーム会社を引き合わせてくれたのは、イラストを通して繋がった友人でした。
自分を客観的に見て、イラストレーターとしてやって行けるかどうかを正しく評価して、いけると確信できてから、自分の道を行くべきだと思います。
 
―先生からの貴重なアドバイスをありがとうございます。私自身は絵を描けないし、そういうセンスが全くない人間なんですが、お話を伺っていてグッときました。
 
ここからは、小森くづゆ先生の作品をご紹介しつつ、イラスト制作について詳しいお話を伺っていきます。小森くづゆ先生はどのようにしてイラストを構想していらっしゃるのでしょうか?

イラスト1:「偶然2枚貰っちゃってね?よければ一緒に」

「偶然2枚貰っちゃってね?よければ一緒に」

―最初にご紹介するのは「偶然2枚貰っちゃってね?よければ一緒に」という作品です。こちらはどのようにして思いつかれたイラストなんですか?
 
小森くづゆ先生:僕はシチュエーションを重視して絵を描く方なんです。
なので、僕を含めて、男性があこがれるシチュエーションを思い浮かべて、その中からいいなと思うものを描いてみました。ラブコメでよくあるシチュエーションかもしれないですね。
 
―背景を見ると、舞台は学校でしょうか。見ている側の人が、チケットをもらう側としての視点で楽しめるような構図だなと感じました。
 
小森くづゆ先生:僕の絵を好きだと言ってくれる人の大半が男性だと思うんです。男性が感情移入しやすいのはどういうものかと考えて、やはり男視点みたいな要素があるといいのかなという思考で、構成しました。
 
―チケットが詳しく描き込まれていますね。これは水族館のチケットですか?
 
小森くづゆ先生:この時期はSNSに週に1回ペースで投稿していたんですね。連作のようなイメージでした。世界観と内容が繋がっていて、4枚のイラストで1話という形で、なおかつ1か月を通して一連の話が続いているという感じで掲載していたんです。次の絵への展開を考えた時に、水族館がいいのかなと思って、水族館のチケットだと分かるように、細部まで描き込みました。
 
―キャラクターについては先生のオリジナルキャラクターですよね。こちらのキャラクターについて教えてください。
 
小森くづゆ先生:僕が一番最初に作ったオリキャラの「エトナ」です。エトナのイラストは今でもSNSに投稿しています。髪型とか服装とか、細部は少しずつ変わっているんですけど、ずっと描き続けているキャラクターなんです。
 
―最初に作られたキャラクターから、こんなに完成度が高かったんですね!すごいですね。一番最初に作ったオリジナルキャラクターを今でも描き続けていらっしゃるということですが、描き続けるモチベーションはどのようなものなのでしょうか?
 
小森くづゆ先生:僕は自分が思いついたシチュエーションを形にしたいという気持ちが強いんです。あとは、最近になって漫画を連載するなかで気づいたことですが、僕はキャラクターを動かすのが好きなんです。キャラクターの人格を考えて、このキャラクターはこういうことをするだろうという、人物としての動きやシチュエーションを描くのが楽しいと感じます。こうした心情がモチベーションになっているのかなと思います。
 
―キャラクター1人1人が生きているんですね。素敵です。新たなオリジナルキャラクターや世界観を考えていますか?という質問が寄せられているのですが、いかがでしょうか。
 
小森くづゆ先生:すでにイラストで発表しているオリジナルキャラクター4人以外だと、あとはもう漫画の中でということになると思います。
 
―そうなんですね。先生の今後の連載がよりいっそう楽しみになりました!

イラスト2:「今日はどこに連れてってくれるんですか?」

「今日はどこに連れてってくれるんですか?」

―次にご紹介するのは「今日はどこに連れてってくれるんですか?」という作品です。こちらはどのような作品なのでしょうか?
 
小森くづゆ先生:これはシチュエーションが後付けの作品なんです。イベントのために眼鏡拭きを制作することにした時に描いたイラストです。
まず全身の一枚絵を描いて、そこから商品の形状に合わせてトリミングしていった感じです。眼鏡拭きだから眼鏡をかけたキャラクターという絵の構想が先にあって、そこにシチュエーションを当てはめる作業でした。
 
―こちらの作品に描かれている眼鏡は、フレームが細くて丸いフォルムなんですね。どうしてこの形状にしたんですか?
 
小森くづゆ先生:都会にいる素敵な女性をイメージした時に、金色の細いフレームの、丸眼鏡をかけている姿が思い浮かんだんです。「おしゃれ女子」という感じを出したくて、この形状を選びました。
 
―すごいおしゃれで素敵ですね。ちなみに、先生の描く目をアップで見ると、上のほうに複雑に線が入っているのですが、この描写はどのようにして思いついたんですか?
 
小森くづゆ先生:人はまず顔を見るんですよね。その中でも目は一番たくさんの情報量を持っているパーツだと思うんです。最初に視線が行く場所だからこそ目の描写に個性が欲しいと思っていて、少しずつ変化してこうなりました。
10年前にイラストを描き始めてから、色んな絵を見て描写の方法を学んだり、表現のパターンを発見したりして、自分の中に蓄積した「いいな」を昇華して形にした感じです。
 
―目についてはこの描き方が最終的な到達点ということでしょうか?
 
小森くづゆ先生:もともとはハイライトの描き方なんかも今とは少し違いました。イラストの流行や、新しく出てきた技法や、表現方法もどんどん取り入れるようにしています。ここが最終到達点というわけじゃなくて、これからもチューンナップしていきたいです。
 
―向上心があってすごいと思います。ファッションや髪型についてはどのように決められたんですか?
 
小森くづゆ先生:このキャラクターはもともとショートカットなので、全体のバランスを見ながら衣装を選定しました。最初に決まったのはショートパンツです。ショートパンツに合う上着であれば、ボリュームのあるトップスでダボダボ感を出したら可愛いかな、そうしたらインナーはピッタリめがいいだろうという感じです。
 
―メリハリの利いた服装とベレー帽のバランスが素敵ですね。ちょっとカフェでお茶をしているというシチュエーションも大好きです。

イラスト3:「早く起きないと遅刻しちゃうよ?」

「早く起きないと遅刻しちゃうよ?」

―最後の作品です。「早く起きないと遅刻しちゃうよ?」というイラストですが、見ていて本当に主人公目線に入り込んでしまうような気がしました。どのように構想なさったんですか?
 
小森くづゆ先生:これは僕自身、朝起きた時に思いついたシチュエーションです。「早く起きないと遅刻しちゃうよ」って起こしてもらいたい、というシンプルな発想です。
 
―実際にあったらキュンとするようなシチュエーションですね。下から見上げるアングルや、背景の描き込みにリアリティを感じます。
 
小森くづゆ先生:ありがとうございます。実はこのイラストの背景は、僕が住んでいる部屋なんです。エアコンとか、カーテンとか、現実を参照して描きました。
 
―棚のガラス扉に時計が反射していますよね。これも実際に使っている時計なんですか?
 
小森くづゆ先生:棚とか、いくつかの要素については実際とは違うんです。画面上、構図として少し寂しかったので、付け加えました。
 
―このイラストでも目の描写に奥行きがあるというか、吸い込まれるような印象を受けます。
 
小森くづゆ先生:奥行きはいつも意識して演出するようにしています。髪型についても最初はただのショートヘアだったんですけど、オリジナルキャラクターとしてチューンナップする内に、三つ編みのアクセントがくっついてきた感じです。
 
―素敵ですね。服装についてはいかがでしょうか?制服のイラストが多いのかなという印象ですが……
 
小森くづゆ先生:このイラストではシチュエーション上、制服だったんです。私服も描きますし、コスプレも描きますし、キャラクターとシチュエーションに合わせていろんな衣装を描いていきたいと思っています。
 
―ありがとうございます。オリジナルキャラクターを深く考察して、楽しんで書かれているお気持ちが伝わってきました。

漫画家としてもっと活躍していきたい


 ―最後になるんですが、今後の目標とファンの方へのひとことをいただきたいと思います。まず、今後の目標を教えてください。
 
小森くづゆ先生:漫画を頑張りたいと思っています。もっと漫画について勉強して、今、連載中の作品もそうですけど、もっともっと魅力的な漫画を描けるようになりたいです。
いつかは、これまでイラストで描いてきた僕のオリジナルキャラクターを、漫画形式で描いてみたいです。
 
―いいですね!実際に作品を発表されたら、ぜひ読んでみたいです。それでは、ファンの方へのひとことをお願いします。
 
小森くづゆ先生:いつも応援してくださってありがとうございます。これからもオリジナルキャラクターで定着している女の子達のイラストは描き続けていくつもりです。漫画の連載も含め、これからもどうぞよろしくお願いします。
 
今回のインタビューでは、イラストレーターになった経緯に加え、
今現在イラストレーターを目指す方々へのアドバイスを伺うことができました。
さまざまな経験を積んだ小森くづゆ先生ならではの、貴重なご意見だったのではないかと思います。
小森くづゆ先生、この度は本当にありがとうございました!


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次回もお楽しみに!


インタビュー/記事:林 真一
記事:葉月 によ

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