【月刊pic-step9月号】桜ひより先生インタビュー
こんにちは!月刊pic-step編集部です。
9月号では、イラストレーターの桜ひより先生へのインタビューをご紹介いたします。
今回は当編集部に加え、月刊pic-stepでもご紹介させていただいた古弥月先生にイラスト解説としてご参加いただきましたので、対談形式でお送りいたします。
桜ひより
女の子のイラストをメインとするフリーイラストレーター。
優しくてとろんとした、どこか儚さもある表情の絵柄が特徴で、
X(Twitter)フォロワー数は約16万人の人気絵師。
古弥月(komizuki)
ゲームイラスト会社でのイラストレーターを経て、2020年よりフリーランスに。書籍の表紙・挿絵、キャラクターデザイン、ゲームイラスト、イベント用イラストやグッズ等幅広く制作している。
イラストレーターとして活躍される桜ひより先生。8月に開催されたコミックマーケット(以下、コミケ)にも出展されたそうです。このインタビューでは、まずはコミケの感想から、先生のイラストについて、先生のイラストへのこだわりなどを、当編集部と古弥月先生とで深掘りしていきました。
コミケへの出展について
ー桜ひより先生は、先月開催されたコミックマーケット(以下、コミケ)にご出展されたとのことで、お疲れさまでした。今回のコミケはいかがでしたか?
桜ひより先生:ありがとうございます。コロナ前ぐらいの活気に戻ってきたかなと感じました。たくさんの人が会場にいらしていて、すごく活気がありました。嬉しかったですね。
古弥月先生:前回の冬コミには僕も参加して、その時でも結構人が多いなって思ったんですけど、冬コミと比べても一般のお客さんは多かったですか?
桜ひより先生:そうですね。前回よりも人多かったです。
古弥月先生:え〜!そうなんですね!
桜ひより先生はコミケ以外にも、同人イベントなどにたくさん参加されてますよね。
桜ひより先生:そうですね。参加してます。
―ファンの方と触れ合う、お話しされる機会はあったんですか。
桜ひより先生:ありました。コロナの影響で、それまではサインも禁止だったんですけど、今回はサインはOKで、お話もできるようになっていました。
やっぱりイベントに行くと、普段SNSなどで見てくださっている方とコミュニケーションが直接取れるので、すごく嬉しいです。
古弥月先生:そうですよね。イラストレーターのファンからしても、リアルイベントで実際に作家さんに会う機会はすごく貴重だと思いますし、そういった機会を通してコミュニケーションが取れることは、作家側からしても嬉しいですし。どちらにとっても嬉しいことですよね。
桜ひより先生:直接感想を言っていただけると私もすごい嬉しいですし、お会いしてくださった方も「嬉しかったです」と言ってくださいます。
SNSでの反響ももちろんすごく嬉しいんですけど、実際にコミュニケーションを取ることもとても素敵だなと思っています。
―そういったファンの方の生の声が聞けることが、リアルイベントの魅力ですよね。
少女漫画がきっかけで女の子を描き始める
―そもそも先生自身はいつごろからイラストを描き始めたんですか?
桜ひより先生:本当に昔からずっと、絵を描くことが大好きで。小学生の卒業文集で、将来なりたい夢を書く欄があって、そこには既に「イラストレーターになりたい」と書いていました。
もともと少女漫画が好きで読んでたんですけど、漫画家になりたいっていう欲はそんなになくて。どちらかというと、カバーイラストや、扉イラストに目がいってて。なんて綺麗なんだろう!ってすごく惹かれたんですよ。1枚の絵に対して、ここまで丁寧に描き込むんだっていう、その力の込め方に心惹かれて。そこからイラストを描くようになりましたね。
―では、少女漫画の影響を受けて女の子を描くようになったんですか?
桜ひより先生:そうですね、その影響です。可愛い女の子への憧れもありますし、女の子を描くのがすごく好きになりました。
古弥月先生:桜先生は、女の子というモチーフそのものが好きだから、日頃からたくさんアイデアが生まれるし、可愛い女の子に対しての憧れが込められているから、作品作りのペースの速さだとか、ネタの尽きなさを実現できているんだろうなって感じます。
というのも、桜ひより先生の投稿頻度の高さがすごい気になっていて。普段お仕事としての絵を描くのと、趣味絵を描かれるのと、どういったサイクルで日々の作業をこなしているんですか?
桜ひより先生:私はそもそも、趣味が絵を描くことなので、絵を描く作業をしている時はもう本当にずっと1日中描いてるってことがほとんどなんです。仕事の絵がある時は、もちろんそちらが優先なんですけど、それを描いてる合間の息抜きに趣味の絵を描くこともありますし、とにかく描きたい欲が強いんですよ。
古弥月先生:週に最低1枚とか、そんなサイクルで描かれているので、このペースでSNSを運用するのは本当にすごいなって思って。
桜先生にとっては、ただ好きだから自然にされているっていうことなんですよね。すごいですよね。
イラスト1:Summer🌺✨
ーすごくキラキラした、夏らしいイラストですよね。先生のこだわりポイントを教えてください。
桜ひより先生:こういう、下から見上げたような構図はあんまり挑戦したことがなかったんですが、描いてみたいと思っていたので、挑戦してみました。
古弥月先生:一番最初の絵の着想はまずポーズのアングルから決めたっていうことですか。
桜ひより先生:はいそうです。
古弥月先生:これ、絵を描かれている皆さんに言える、とても大事なことだと思います。新しい絵を描く時に、何か新しい挑戦をしようとすること、本当に大事です。
桜ひより先生:ありがとうございます。
私、実は清楚な感じの女の子がすごい好きで、一時期黒髪の子ばかり描いてたんですけど、それだと描く幅が広がらないと思ったんですよ。なので、金髪とか明るめの髪色の女の子や、性格がギャルっぽい感じの子もどんどん描いていこうっていう気持ちになって。このイラストもその1枚です。
ー挑戦の意味も込めた作品っていうことですね。
イラスト2:君と夏の終わり
ー色合いが素敵なイラストですね。
桜ひより先生:このイラストは神秘的な雰囲気に見せたくて、あえて紫が強めの空にしました。
古弥月先生:空の綺麗さを追求するのに重要なポイントとして、「色相の違ういろんな色を混ぜてみる」ことが一つのテクニックとしてありますが、そういう空の表現がうまくされていると思います。
桜ひより先生:あと、夏の終わりっていうタイトルにも込められてるんですけど、ちょっとしんみりとしたイラストなんですよね。女の子が泣いてるので、失恋しちゃったのかなとか、何かあったのかなみたいな。そういったものを連想させるようなイメージにしたくて。
古弥月先生:海や水しぶきなどでカモフラージュされていて、泣いてるのはあまり強調されてないじゃないですか。意図的にちょっと分かりにくくしてるんですか?
桜ひより先生:ちょっと強がってるというか、心配をかけまいとしている様子をイメージしました。なので少し笑ってるんです。
ーキャラクターの心境も色々考えられる、そういった楽しみ方もできるんですね。
イラスト3:桜色のなみだ
ーこのイラストは、失恋のシチュエーションでしょうか。
桜ひより先生:告白もできず、手紙も渡せなかった…というイメージです。
古弥月先生:先ほどのイラストと、泣いてるという状況は同じなんですけど、同じ涙でも違う表現の仕方ですよね。それぞれの女の子の性格を表す泣き方というか、仕草というか。
また、泣くシーンがそれぞれ違うところも、キャラクター性を感じられますし、先ほどのイラストとこのイラストの2つを比べてみると、色んな表現の仕方があるのが面白いです。
桜ひより先生:何かわりと私、絵を描く時にシチュエーションとか、どんなシーンから描きたいかっていうのが一番最初に頭にあって、そこから「このシチュエーションだったら、こういう性格で、こういう雰囲気の女の子で、髪型はこうで…」というふうに、シチュエーションに合わせて女の子を描き始めることがほとんどなんです。
古弥月先生:私も同じタイプです。絵全体のテーマに合わせて、最終的にそのイラストで伝えたいものを表現するものに、キャラクターを合わせるっていうやり方ですよね。
桜ひより先生:そうですね。私もはい。
ー桜を描かれていますが、お花などを参考にする際は実際に観に行くこともありますか?
桜ひより先生:お花はすごい好きで、例えばローズガーデンのイベントとか、そういうのがあったら行くことはあります。季節的に、桜が咲き出したら見に行くこともありますし。
古弥月先生:私も植物園に、よくお花の咲いてるシーズンに行ったりしますけど、あれは本当にいい刺激になりますよね。他のイラストレーターさん、まだ植物園行ったことない方がいたらぜひおすすめしたいくらい、楽しいところです。行っただけで、これをモチーフに描きたいっていう気持ちになりますからね。
ただ好きなものを描いているだけ
古弥月先生:ここまでのお話で、ご自分の好きなものをたくさん描いているっていう印象を受けた桜ひより先生ですけど、ファンの方に好きなものをどうやって共有していますか。
また、ファンの方が好きなものと自分が好きなものを合わせるために、どんなことを考えていますか。
自分が好きなものを描いて、それを同じように好きだと思ってもらえるために考えていることだとかあったりしますか。
桜ひより先生:わりと趣味の絵の方はもう本当に自分を全面に出しちゃっていて、結構自由に描かせていただいてるところが多くてですね。
そこに対してファンの方も、「今回は新鮮な感じですね」だとか、「今回は王道な感じで描かれてますね」のように感想を言ってくださるので、私が全面的に好きに描いてしまっている絵を、一緒に楽しんでいただけてるような感覚があるんですよね。だから本当はもっと、ファンの方に寄り添って描いていかないと、とは思います。
古弥月先生:なるほど、そうなんですね。それってすごく素敵ですね。
自分の好きなものを好きなように表現したものが、ファンの方々に受け入れられてるっていう、ファンの方と作家さんとの素敵な関係ができていますよね。だからこそ色んなものを描いても、ファンの方も同じように楽しんでいただけてるんですね。羨ましいというか、素敵なことだと思います。
―今後イラストレーターとして活動をしていく中で、将来の目標を教えてください。
桜ひより先生:最終的には今までの作品を1つにまとめた商業の画集を出してみたいです。イラストレーターさんであれば誰もがみんなすごい憧れてるものだと思いますし。それが1つの夢ですね。
―ファンの方にメッセージをいただけますか。
桜ひより先生:いつも応援してくださってありがとうございます。これからもマイペースですが、たくさんイラスト描いていきたいと思っておりますので、ぜひ見てくださったらすごく嬉しいです。
インタビュー、いかがでしたでしょうか?
桜先生のお話をお聞きして、「好きこそものの上手なれ」とはまさにこのことだと感じました。幼い頃から大人になっても、ずっと好きで居続けられるものに出会える人が、どれほどいるでしょうか。さらにそれを仕事にできる人は、どれほどいるでしょうか。
大事なのは好きという気持ちを忘れないことなんだと思います。
これを読んでいる皆さまにも、最初に抱いたイラストへの思いを忘れないように、絵を描く楽しさを忘れないように、それだけは大切にして突き進んでいただきたいです。
桜ひより先生、古弥月先生、ありがとうございました。
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よろしくお願いします。
次回もお楽しみに!
インタビュー:古弥月/林 真一
記事:橘 爽香
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