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【月刊pic-step 6月号】みなせなぎ先生 インタビュー

こんにちは。月刊pic-step編集部です!先月は5月号として3本の記事を公開しましたが、いかがでしたか?
6月号1発目は、フリーイラストレーター みなせなぎ先生へのインタビューを公開します。

みなせなぎ
都内在住のフリーイラストレーター。書籍の挿絵、広告、キャラクターデザイン、CDジャケットや表紙イラストなど、幅広く活動している。

イラストレーターになったきっかけ

みなせなぎ先生は、キラキラした瞳と繊細なタッチ、柔らかい色使いが特徴の、主に女の子のイラストを描かれています。お話を訊くと、みなせ先生がイラストレーターになった経緯や、女の子を中心に描きはじめたきっかけが浮かび上がってきました。

―まず、みなせ先生がイラストレーターを目指したきっかけをお話しいただけますか?
みなせ先生:元々絵を描くのが好きだったんです。でもイラストレーターになろうとは思っていなくて、当時は絵掲示板とか絵チャットとかが流行っていたので、趣味程度で友達と交流を楽しんでいました。
高校に入ってからは、勉強で忙しくて全然絵を描かなくなってしまい、大学進学で教育学部の美術系に進んで、そこでできた友達がイラストを描いていたので、私も絵を描くのを再開したんですね。そしたら在学中から少しずつイラストのお仕事をもらえるようになっていて、就職は全然違う業界に進んだんですけど、並行して副業でやっていて。少し軌道に乗りはじめた頃、独立してイラストレーターになりました。

―初めてイラストを依頼された時、どういう気持ちになりましたか?また、お仕事をしてみていかがでしたか?
みなせ先生:今まで趣味で描いていたものに価値がついて、それでお金が頂けるっていうのが嬉しかったし、新鮮でした。初めての仕事は、当時の自分の中では割と頑張った!できた!って思ってたんですけど、今見るとやっぱり全然だなって思いますね(笑)

―先生が憧れた、目標にしたイラストレーターさんはいらっしゃいますか?
みなせ先生:女の子の絵を描くきっかけになったのは、いとうのいぢ先生ですね。それまでは男の子キャラクターとかモンスターとかを描くのが好きだったんですけど、いとうのいぢ先生の作品に出会ってから、私も可愛い女の子を描きたいなって思って、そこから女の子にシフトしたので、そう考えると人生の起点だったのは、いとうのいぢ先生です。

みなせ先生が絵を描いていない時期があったことや、昔は男の子やモンスターのイラストを描いていた、というお話は意外で驚きました。女の子のイラストは一番後から始めたのに、大学在学中には既にお仕事をいただいていたんですね。しかし、いとうのいぢ先生さすがの人気です。5月号でインタビューした藤倉琉音先生も憧れだとおっしゃっていましたね!

イラスト1:🌸

みなせなぎ先生の作品「🌸」

ここからは、みなせ先生のイラストについて掘り下げていきます。1枚目は桜の枝を持った女の子の絵「🌸」です。

―このイラストの1番のポイントを教えてください。
みなせ先生:片目を桜で隠しているんですけど、作品を見る人がその意図を想像するようなポージングにしてるところです。あえてかっちりしたシチュエーションは決めていなくて、見る人に解釈を委ねています。

―先生の絵は制服の描画が多いと思いますが、制服を描く際の一番楽しいと思うところはどこですか。
みなせ先生:楽しいと思うところは配色を決めるところかなと思います。先に画面全体のテーマカラーみたいなのを決めるんですけど、それに合わせて考えるのが楽しいです。

―イラストを描く時はまず配色から描かれるんですか?
みなせ先生:イラストにもよります。大体は構図等を決めた上で、その後に配色を決めるんですけど、テーマが先に決まっている場合は、そのイメージに合う色、またその色に沿ったモチーフなどを入れています。

先に全体のテーマカラーを決める、というところで色のバランスや統一感をキープしているのですね!このイラストも、桜のピンク色をメインにしていて差し色にグリーンを使われていますが、この配色バランスの良さが、見る人の目を惹くポイントなのだと思います。

イラスト2:💗

みなせなぎ先生の作品「💗」

みなせ先生:この絵はイベントで頒布するイラスト本用に描いたものですが、その本のテーマが「色」だったので、ピンク色をメインにした絵にしようと思って描き下ろしたものです。

―みなせ先生の描かれる絵は目が特徴的だと思うんですが、どういうところにこだわって目を描いてますか?
みなせ先生:瞳って、映り込みがあるじゃないですか。実際に人間の瞳をよく見ると、外の背景が瞳の中に映り込んでいると思うんですけど、そういうのを絵にも落とし込んで、細かいところまで描き込むことによって瞳の透明感を出すようにしています。ただ、細かく描き過ぎちゃうと分かりにくい絵になってしまうので、少し抽象的に描くことも意識しています。

―色使いで気をつけていることとか、意識してることがあれば教えていただきたいです。
みなせ先生:メインで使う色を決めていて、その色に相性がいい色を組み合わせて構成していて、例えばこのイラストだと、メインでピンクを使おうっていうのを決めて、ちょっとその水色を入れたらアクセントにもなるし、相性もいいなって思ったので水色を入れたって感じです。あとは、見てて情報量が多すぎて疲れちゃうイラストにならないようにしてます。

―何か色の勉強はされてるんですか。
みなせ先生:一応大学が教育学部の中の美術学科で、その美術学科の中のデザイン専攻で少しだけ色彩学をかじったんですけど、美大とかと違ってめちゃくちゃ専門的にやるわけではないので、少し知識がある程度です。あとは小さい頃から親が絵本とかを買い与えてくれていたので、それで自然と色彩感覚が養われたのかなって思ってます。

描き込むところは細かく描き込む、ただし細かく描きすぎず、情報量を増やしすぎない、というお話がありましたが、このバランスを掴むことが、イラストを描く上で重要なことなのかもしれないですね。色づくりに関しては得意不得意があると思いますが、先生のおっしゃるようにメインの色を先に決めておいてから色を組み合わせていく、というやり方なら、配色が苦手な方でもできそうですね。

イラスト3:Pomum Aurantium

みなせなぎ先生の作品「Pomum Aurantium」

みなせ先生:この絵は配色から決めたパターンなんですけど、秋の絵と、黄金のりんごを描きたかったので、オレンジと黄色を中心に色を決めて、描いています。

―モチーフから膨らませていく場合もあり、配色から決める場合もあり、その時その時で描き方は様々なんですか?
みなせ先生:そうですね。ほんとちょっと前までとかは、わりとシチュエーション寄りの絵が多かったんですよ。2020年あたりとかだと、制服の女の子の色んな葛藤を描いた絵とか、そういったシチュエーションの絵が多かった気がします。そこからデザイン寄りにシフトしたいっていう気持ちがあって。最近は、色とかをテーマにした作品作りをしています。

―絵の収まり方をすごくこだわっていらっしゃる印象を持ったので、このイラストだと正面を向いているんですけどちょっとシンメトリーになっていて、配色だけでなくそういうところからもデザイン性を感じました。
みなせ先生:そうですね。やっぱりその辺りも、「デザインを見せたい」っていう方向にシフトしてるのが現れていますよね。

―どういう工程をやってる時が一番楽しいですか。
みなせ先生:ラフが一番楽しいですね。ラフでどういう絵を描こうかって考えてる時が楽しくて。ただ思うような構図が浮かばずに、しんどいなと思うこともあるので、結構落差はあるんですけど。

この絵のメインは女の子だと思うのですが、「黄金のりんごを描く」というのが先に決まっていたのは面白いですよね。モチーフから連想して色を決めたりデザインを決めたりするのも、とても楽しそうです。

イラストレーターとしての多忙な毎日

イラストの仕事で忙しい毎日を送っているみなせ先生。多い時は月に15枚ほど描く時もあるそう…!そんな超多忙なみなせ先生が、ハードスケジュールをこなす中で工夫していることや大切にしていることとは、一体何なのでしょうか。

―イラストには大体どれくらいのお時間かけてますか。例えば先程のイラスト3枚だと、1枚あたりどれぐらい時間がかかってますか?

みなせ先生:私は休憩も挟みながらじゃないと集中力が続かないので、だいたい1枚につき3日くらい欲しいなぁって感じです。

―効率化するために工夫されていることは?
みなせ先生:やっぱりずっと集中力をキープするのはなかなか難しいことなので、適度に息抜きすることが大事だと思います。ここまでやったらちょっとゲームしていいとか、自分で決めて、ストレスをコントロールすること。集中力があった方が生産性は上がるので、描けば描くほど仕事量がこなせるじゃないですか。

―忙しいときも大切にしていることはありますか?
みなせ先生:忙しくてもインプットはできるだけするようにしています。私は結構アイドルの写真集が好きなので、写真集からヒントを得たり、同ジャンルのイラストの作品集や、絵画などの他ジャンルの作品も幅広く見たりして、インスピレーションを受けています。去年は仕事が忙しくてアウトプットばっかりだったので、今年はインプットの時間をもっと多く取りたいなって思ってます。やっぱりアウトプットばかりだとスキルアップできないので。

―今後、こういうお仕事に挑戦してみたいなどありますか。
みなせ先生:色々あるんですけど、最近はキャラクターデザインのお仕事をするのが楽しいので、そのデザインの幅を広げたいですね。今まではVtuberさんのデザインなどをしていたんですけど、Vtuberさんだけでなくゲームのキャラクターデザインなどにも挑戦したいです。
あとは、今までのお仕事で書籍の挿絵を描いているんですが、まだ引き受けたことのない学園モノとかのジャンルもやってみたいです。

―最後に、ファンの方から「イラストもなぎ先生ご自身もかわいらしくて大好きです これからも応援してます!」とメッセージが来ていますので、コメントお願いします。
みなせ先生:ありがとうございます。嬉しい!恐れ多いんですけど、素直に嬉しいです。本当にありがとうございます。

みなせなぎ先生、ご協力ありがとうございました!


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次回もお楽しみに!


インタビュー: 大森 康政/萩谷 勇也
記事:橘 爽香

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