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【月刊pic-step 10月号】syuri22先生インタビュー

こんにちは、月刊pic-step編集部です!
今回は、イラストレーターのsyuri22先生のインタビューをお届けいたします。



syuri22 (シュリニィニ)
X(Twitter)のフォロワー数は13万を超え、14万人に迫る人気のイラストレーター。ゲーム系イラストレーション、キャラクターデザイン、
Vtuberのキャラクターデザインなど幅広く活躍している。
書籍では 人気ライトノベルのコミカライズ作品
「軍人少女」全二巻が一迅社より刊行中。


syuri22先生は美麗な女の子の光をたたえた瞳や、つややかな唇の描写が人気のイラストレーターです。背景の隅々まで行き届く、深みがあり、光を感じさせる着彩が高い技量を感じさせます。
syuri22先生がイラストレーターとして影響を受けた作品や、絵を描くときに気を付けていることを、ファンの方から寄せられた質問に絡めてご紹介していきます。


いつのまにかキャラクターデザインを始めていた


―それではよろしくお願いいたします。早速ですが、ファンの方々から寄せられた質問をご覧いただきたいと思います。無理のない範囲で構いませんので、お答えいただければ幸いです。
 

syuri22様の絵柄が好きで、SNSにイラストが投稿されるたびに拝見しています。いつ頃から絵を描き始めたのですか?

ファンの方からの質問


 syuri22先生: 自分でも記憶がないくらい幼い頃から絵を描いていたと母親から聞いたことがあります。改めて子供の頃を思い出してみると、小学校では絵を描くことだけではなく、図画工作系が全般好きでしたね。

これが創作のきっかけだったなと思う作品はありますか?

ファンの方からの質問

syuri22先生:私が影響を受けた作品はたくさんありますが、創作のきっかけとしてどれかひとつの作品を特定するのは難しいです。私の場合は、小学校のころにはもうオリジナルキャラクターを大量にデザインするようになっていたんです。自由帳にオリジナルキャラクターをどんどん描いていって、図鑑のようなものを作っていました。そういうことをいつの間にか始めていたので、自分でも何がきっかけだったのかよく分からないんです。
漫画で言うと、子供のころは少女漫画を見ていた覚えがあります。
 

―ジャンルとして特に少女漫画がお好きなんですか?
 
syuri22先生:そういうわけではないんですけけど、環境として、手が届くところにあったのが少女漫画だけだったという感じですね。

ーそうだったんですね。実際に将来の夢として、クリエイターになりたいと思ったのはいつ頃でしたか?

syuri22先生:「クリエイターになりたい」という夢を持ったのは中学生になってからです。中学生になって、少年漫画やテレビゲームを始めたんです。少年漫画に出会って衝撃を受けました。テレビゲームもCGがすごく綺麗で、「なんて絵がうまいんだろう」「こういうものを作れる人になりたい」と思うようになりました。
 

―少年漫画との出会いで感性が磨かれたのですね。
続いての質問は、ファンの方からもいただいたのですが、先生は学生時代、どんな絵の練習をしていましたか?

 
syuri22先生: 高校から大学まで美術系の授業を受けられる学校に通わせていただいていたので、基礎から順番に学んでいきました。
実をいうと自分がイラストレーターになれるとは思っていなくて、お仕事としてイラストを描かせていただくようになったのもここ数年の話なんです。元々はゲームのグラフィックを作るCGクリエイターを目指して長い間そのための勉強をしていたんですが、色々なことが巡り巡って、気が付いたら絵を描く人になっていたという形です。
イラスト制作から完全に離れて裏方に回っていた時期もありました。それでも絵を描くことが好きでなんとなく続けていたら、今に至ったみたいな感じです。
 

―どんな状況でも、やはり描き続けることが大切なんですね。

いつも大変素晴らしい絵を下さりありがとうございますm(_ _)m
質問なのですが、目の塗り方や唇が印象的ですが、何か気をつけている、若しくは参考にしていること等はありますか?

ファンの方からの質問


 syuri22先生:そう言っていただけることが多いので、もしかしたら私自身このあたりを意識していたのかも知れないと気付かされたように思います。
私はキャラクターを描く時、この子はこういう性格だからこういう事をするだろうとか、個性を大事にしながら描くようにしているんです。
手癖に頼りすぎないで、自分が今描こうとしている対象に集中するように気を付けてきたつもりです。ただ、その中でも、おそらく顔は気合が入っているパーツなんでしょう。周りの方に指摘していただいて、だんだんと自覚するようになりました。
 
―パーツとして顔がお好きなんですか?
 
syuri22先生:パーツで言うと、私は人体そのものがすごく魅力的な形をしていると思っています。指先や、足先、髪の毛など、そのひとつひとつを大好きな人が世の中にいると思うんです。自分が好きな部分に気合を入れるだけじゃなくて、その人たちが喜んでくれるものを描こうという気持ちで制作しています。
 

ファンの目線を反映して絵を描くことを意識していらっしゃるsyuri22先生、ここからは、イラストのご紹介と併せて、イラスト制作の裏側を伺っていきたいと思います。

イラスト1:「sweetie」

「sweetie」

―sweetieという作品についてお伺いします。キャラクターに描かれている耳は馬の耳でしょうか?
 
syuri22先生:これは右の子が馬の耳で、左の子が兎の耳なんです。私は以前から馬キャラを推してきました。兎は個人的に好きで…それこそ、リアルに兎を飼っているくらいです。馬は自分では飼えないですけど、競馬の中継を見ては「ああ可愛いな」と昔から思っていました。その流れで自分でも馬のキャラクターを創作するようになったんです。
 

―そうなんですね、先生のアイコンもウサギっぽくてかわいいです!
 
syuri22先生:兎が本当に好きなので、兎と、モチモチした物体をイメージして造形してみました。動物の耳にも色んなニュアンスがあるんですよね。その中でも私は兎や馬のようなニュアンスの耳が特に好きなんです。よく見ると実際は結構違うんですけど、好きなポイントをピックアップしてアイコンに使用しています。
 
―確かに、犬や猫とはまたちょっと違った魅力を感じます。
 
syuri22先生:縦長でキュっとしたあの形がすごく好きなんです。この魅力を皆さんも感じていただけたら嬉しいです。


ーこちらの作品では衣装がとてもカラフルで素敵ですね。ポップな感じの色使いがかわいいと思います。

 
syuri22先生:ありがとうございます。これは完全に趣味で描いた作品なのですが、ちょうどその時描きたいと思ったものを試験的に描いてみたんです。ちょうど夏だったので、爽やかなイメージがあるレモンだったり、
クリアケースみたいな透けている感じの衣装だったり、りんご飴だったり、自分の好きなもの、好きな衣装、兎とか馬とか、ニュアンスを含めて、好きなものを詰め込んだイラストです。
 

―実際に何かを参考にして描かれたんですか?
 
syuri22先生:写真などの資料を何枚も見て、参考にしながら描くようにしています。
 
―とても細かく描き込まれていますよね。色使いについてはどのような感覚なのでしょうか。
 
syuri22先生:色使いは自分でも割と得意だと思っていて、大切にしようと思っている部分なんです。頭の中にいわゆる「色相環」はある程度入れているので、色の相性は常に意識しつつ、作品ごとにコンセプトやイメージに合わせて彩色していくようにしています。
「sweetie」はジューシーな感じにしたくてこういうイメージになった感じです。

イラスト2:「お嬢様とレトロ喫茶」

「お嬢様とレトロ喫茶」

―次は「お嬢様とレトロ喫茶」という作品について伺います。兎の耳としっぽがありますね。こちらはどのような作品なのでしょうか?
 
syuri22先生:これは次の作品と繋がりがあるイラストなんです。あくまで裏設定ではあるんですが、次のイラストで出てくる馬のキャラクターと、このイラストで描いた兎のキャラクターが恋人同士なんです。
彼女が働いている喫茶店に遊びに来たというシチュエーションです。この子はお嬢様という設定があるので、そういうイメージに合うように衣装も気を使っています。

 
―とても素敵ですね。先生ご自身もこういった清楚な印象の服はお好きなのでしょうか?
 
syuri22先生:一時期はよく着ていました。最近は自分の中でブームが変わってきたので、どちらかというと「sweetie」で描いた衣装に近い服が好きです。
 

―スポーティーなイメージでいいですね。こちらの作品は背景まで植物が細かく描き込まれていてすごいですね。
 
syuri22先生:背景を描くのが好きなんです。落ち着いた場所にあるレトロ喫茶のイメージで、昔からある空間というイメージで描き込んでいます。
 

身体を寄せあっていたり手を繋いでたり見つめあっていたり百合百合しくて素晴らしい作品ばかりですが百合へのこだわりは何がきっかけですか?

ファンの方からの質問


 syuri22先生:百合へのこだわりを語り始めたら長くなってしまうんですが……。私にとって「百合」は単なるこだわりを超えて、「美学」と言っていいくらいの思い入れがあるんです。子供のころから私が自分で好きになるのは基本的に女の子のキャラクターだったのですが、百合のバイブルと言われている『マリア様がみてる』との出会いが特に大きかったですね。この作品は私にとって聖書なので、やはりその影響は確実にあると思います。『マリア様がみてる』から学んだことを大事にしようという意識を常に持っています。

イラスト3:「純喫茶の看板娘🐴さん」

「純喫茶の看板娘🐴さん」

―最後の作品です。年配のマスターがいそうな喫茶店という雰囲気ですが、こちらはどんなイメージで描かれた作品ですか?
 
syuri22先生:馬のキャラクターが雇われマネージャーをしているお店というイメージです。先ほど申し上げたように、「お嬢様とレトロ喫茶」とリンクしたイラストです。制作時期にタイムラグがあって細部は少しずつ変わっているんですけど、舞台は同じです。
この喫茶店の名物がマスター手作りの人参ケーキで、それをお客様に差し出しているシーンですね。
 

―実際にこういう喫茶店に行かれて、参考になさったんですか?
 
syuri22先生:ここまでレトロな喫茶店というのはなかなか見つからないんですけど、もう少しモダンな喫茶店でしたらよく行っています。
本当に古風な純喫茶もいいですよね。年配のマスターの方がいて、喫茶店がその方の好きなものとか、やりたいことを集めたお城のような感じで存在しているのがすごく好きです。
その方の理想の店がそこにあるというのが、素敵だと思うんです。
 

―ご意見に共感いたします!ちなみに背景に注目すると、コーヒーを淹れる機械などもちゃんと細かく描き込まれていますね。このイラストで一番こだわったポイントはどこですか?
 
syuri22先生:女の子が手に持っているケーキが美味しそうに見えるようにというのは、こだわりました。やはりこの喫茶店の名物ですので、少し明るく、美味しく見えるように表現してみました。
 

―後ろの植物がガラスの球体に映り込んでいるところとか、窓ガラスの光の反射とか、すごいと思います。ここまで描き込まれると完成までどれくらい時間がかかるのでしょうか?
 
syuri22先生:このイラストは2日くらいで描きました。正確な時間は測っていないんですけど、だいたい20時間くらいだと思います。私がイラストを描く時はとにかく集中して描くようにしているので、一気に描き上げる形です。作業が途切れると完成に至らないこともあるので……。
キャラクターがたくさんいるとか、サイズがとにかく大きいとか、そういうケースではまた事情が変わってきますが、こういうイラストではそれほど時間がかからないんです。
背景を描き込むのは楽しいですし、細部の描き込みがリアリティーを支える部分だと思うんですね。そういう所をもっともっと描けるようにして行きたいと思っています。
 

いいなと思ったものはすぐに取り入れる


 
―これから新たなものに興味が沸いたら、絵の系統が変わってくることがあるんでしょうか?
 
syuri22先生:描く対象が突然変わることはないと思います。いいなと思ったものはなるべくすぐに取り入れてアップデートするようにしているので、2~3年かけてゆっくりと変わっていく可能性はありますね。

作業用BGMが知りたいです。

ファンの方からの質問


syuri22先生:私が好きなアニメのオープニングに使われている曲や、ゲーム実況をよく聞いています。時間がかかる工程の時にはゲーム実況を聞くことが多いですね。他にはラジオもよく聞きます。
 

―その時聞いている音楽が絵に影響することはありますか?
 
syuri22先生:どちらかというと気分に合わせて音楽を選ぶので、BGMが絵に影響することはないです。
 

―ご自身のメンタルの方が絵に影響するということでしょうか?
 
syuri22先生:私はメンタルの影響が絵に出ていると思います。
私にとって一番仕事がはかどるBGMはホラーゲームの実況中継なんですけど、音楽が絵に影響するとしたら面白いですよね。ホラーゲームの実況中継を聞いているのに、描いているイラストは全くホラーではないんですから。ホラーゲームの緊張感ある演出や、緊張感ある実況の雰囲気が私にはすごくフィットするんです。
本当に疲れている時はただ水の音を聞いたりもします。
 

いつも楽しくイラストやご本を拝見しております。質問ですが、よくイベントなどでも移動されることが多いと思いますが、旅行先でコレがよかった!みたいなものがあれば教えてください。

ファンの方からの質問


syuri22先生:イベントのために出かける時は仕事なので、コンディションを整えるために時間を使っています。そのためにも、お風呂が独立しているかどうかなど、宿泊施設の設備はきちんとチェックしておくようにしています。
 

―旅行先の風景を絵に取り入れることはないのでしょうか?
 
syuri22先生:私が絵を描く時は全部実写を参考にしています。自分で見たものを写真に撮ることもありますが、インターネットで参考画像を探すことも多いです。出かける時は確実にそういう目線で世界を見ていますね。
「この景色は参考にできるかな」「どう描いてみたらいいかな」という感じです。
道端に咲いているタンポポですら尊いと思って、日々生活しています。

今後について

ー先生の今後の方針について教えていただけますか?

syuri22先生:今後とも、好きなことと真剣に向き合いながら、のびのびと活動したり成長したりしていきたいです。
ぽっと、目に留まって誰かの心の栄養になる絵を描いていけたらと思います。

ー最後にファンの方々に向けて、メッセージをお願いします。

 syuri22先生:温かく見守っていてくださる皆様、いつも本当にありがとうございます。
私の作ったものが、少しでも貴方の心に留まり続けてくれたらいいな~とほんわり願っております!


syuri22先生ありがとうございます。今回のインタビューでは、syuri22先生の創作活動に大きな影響を与えた作品などを伺うことができました。イラスト制作では常にファンの目線を意識していらっしゃるとのことで、ご自身も素晴らしい作品との出会いを大事にしておられるのだそうです。
ご自身が素晴らしいと感じる作品との出会いは、syuri22先生の創作意欲を掻き立て、活動の原動力になっているのだといいます。
アウトプットする側として、インプットすること、アップデートし続けることが大事だとおっしゃるsyuri22先生は、一度はイラストの制作から完全に離れたものの、それでもあきらめずに絵を描き続けたのだとか。諦めずに絵を描き続けたことが、結果的にsyuri22先生の現在につながったわけです。

夢は必ず叶うわけではありませんが、身に着けた技術は「あなた」の貴重な財産です。その技術がいつか「あなた」の背中を押してくれるかもしれません。夢を叶える土台になるかもしれません。syuri22先生のインタビューが、皆様の参考になりましたら幸いです。
syuri22先生、この度は本当にありがとうございました。


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よろしくお願いします。
次回もお楽しみに!


インタビュー:林 真一
記事:葉月 によ







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