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対話体小説集

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地の文を使わず、全編会話文だけで構成された物語のことを、対話体小説といいます。 代表的な作品として、マヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』や恩田陸の『Q&A』、小林泰三の『アリス殺し…
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#対話体小説

警部、お願いします!

【scene1】

「警部、お願いします!」
「これは、なかなか厄介なヤマだな」
「ということは、何か分かったのですか?」
「あぁ、幾つか興味深いことがな」
「……と言いますと?」
「先ず、これは明らかに単独犯、又は複数名による計画的、若しくは衝動的な犯行だ」
「なるほど。と言うことは……」
「そうだ。犯人は、おそらく内部関係者、或いは外部の人間だろう」
「だとすると、仰るとおり、厄介なヤマになり

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警部、お願いします!(12)〜秋ピリカ、ボツ作〜

警部、お願いします!【scene12】

(本文1,200文字)

「警部、お願いします!」
「なんだ? 密室と聞いて楽しみにしていたのに、窓が空いてるじゃないか!」
「いえ、警部、ここはタワマンの30階です。ご存知かと思いますが、この窓はほんの少ししか空きません」
「だから何だ?」
「そのぉ……ここから人が出ることは不可能です。もし出られたとしても、落ちて死ぬだけです」
「だとしても、脱出ルート

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警部、お願いします!(11)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene11】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「ほぉ、見立て殺人か。俺も初めてだ」
「見立て殺人……ミステリに出てくる、童謡とか伝説に準えて事件が起きるという、アレですか?」
「分かってるじゃないか」
「で、何に準えているのですか?」
「殺人数え歌だ」
「ど、どういうことでしょうか?」
「一つ、死因は窒息死!」
「え?」
「分からんのか? イチゴだよ。ガ

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警部、お願いします!(10)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene10】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「死因は分かったか?」
「はい、米を喉に詰まらせ窒息死、事件性はない可能性が高いとのこと」
「いや、これは撲殺だ」
「え? な、何故…」
「見ろ、辺り一面ご飯だらけだろ?」
「自治会の祭りで配るおにぎりを、大量に作っていたそうですので」
「つまり、凶器はおにぎりだ。杖のような棒状にまとめると、そこそこの鈍器に

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警部、お願いします!(9)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene9】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「分かってることを教えてくれ」
「はい、ガイシャは佐藤太朗、二十二歳の大学生。ホシの田中次郎は、吹奏楽部の一つ後輩。二人は同じ高校出身で、高校時代も吹奏楽部で先輩後輩の間柄でした」
「なるほど、何者かによる暗殺……厄介な事件だな」
「動機は、アルハラです。ガイシャは下戸の田中に日常的に飲酒を強要し、断ると暴力を

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警部、お願いします!(8)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene8】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「何だ、この床は! マーガリンでも塗ったのか?」
「いえ、マーガリンではなくバターです。ガイシャは足を滑らせ、打ち所が悪く、ほぼ即死。ガイシャの友人のユーチューバーがイタズラで床にバターを塗り、撮影していた線で調べております」
「何故、そう思う?」
「実は、カメラが二箇所に仕掛けられており……」
「そうじゃない

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【緊急対談!】〜宴の魅力について〜(※フィクションのパスティーシュ小説です)

——本日は、まもなく開宴する、第2回「54字の宴」というイベントの魅力について、主催者の櫟さんに直接お話をうかがおうと思います。では、紹介します。櫟さん、こちらへどうぞ!

こんにちは。櫟です。よろしくお願いします。

——早速ですが、いよいよ来週には宴が始まりますよね。でも、リスナーからは「宴ってなんぞや?」って声も寄せられておりまして、先ずはその辺のことからお話をうかがいたいのですが、ずばり、

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警部、お願いします!(7)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene7】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「なんだなんだ、こんな所で銃殺か?」
「まだ調査中ですが、おそらく刺殺です」
「しかし、この匂いはなんだ?」
「まだ調査中ですが、酢の匂いかと」
「それは分かっている。知りたいのは理由だ」
「まだ調査中ですが、ガイシャはこの店でカレー屋を経営しており、客と揉めていたそうです。こちらに、らっきょうと福神漬けのスト

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平和とは何か?( #シロクマ文芸部 )

「平和とは何か? だって。ねぇ、平和って何?」
「ママと一緒に考えてみる?」
「うん!」
「じゃあね、逆に平和じゃない世界ってどんな感じかな? 想像してみて」
「んーとね、殺し合いしてるの。あと、暴力とか泥棒とか、悪い人がいっぱいいて……あ、そうだ、テロとか戦争も!」
「そうだよね。じゃあ、そういうのがない世界だったら平和かな?」
「うん、戦争とか暴力とかなくて、悪い人がいない世界は平和だと思う」

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矛盾がままに予想して

「ねえ、今少しだけ、話出来る?」
「ええ、いいわよ」
「良かった、前から一度、君と話をしてみたかったんだ」
「で、何の話かしら?」
「それがね、特にこれといった議題はないんだけど」
「ふふ、変な人ね。矛盾していない?」
「どうかな? 矛盾の定義にもよるね」
「辻褄が合わない現象のことよ。例えば、話がしたいと言っておきながら、話題を提示出来ないようにね」
「いや、違うね。元々辻褄なんか

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「かもめのジョナサン」はロマンティストか否か?

「あなたの尊敬する人って誰?」
「そうだなぁ……尊敬とはちょっと違うし、しかも人じゃないけどね、昔からジョナサン・リビングストーン・シーガルに憧れてるよ」
「人じゃないって、何なの、それ?」
「お前、『かもめのジョナサン』ぐらい、知らないと恥ずかしいぞ」
「なにその言い方……確かに読んだことはないし、『かもめのジョナサン』ってタイトルぐらいしか知らないけどね、ちょっと読んだことあるってだけ

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クラムボンは笑ったよ

——ということでして、本日は賢治童話の研究においては第一人者と言ってもよいでしょう、花巻文化大学の鈴木孝志教授、そして、先月に『クラムボンの意外な正体』という著書を出版されました、フリーライターの鶴田光義さん、両氏にお越し頂きました。お二方、どうぞよろしくお願いします。

「こちらこそ、よろしくお願いします」
「あぁ、どうもどうも」



——では、早速ですが……鈴木教授の見解では、やはりクラ

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極限まで進化した生命は簡素化に向かう

「ねえ、知ってる? 私達の祖先にはね、“テ”というモノが付いていたんだって」
「何それ?」
「物の表面に触れたの」
「何のために?」
「痛みや温度を感じ取ったみたい」
「そんなもの……“テ”なんてものがなくても感じ取れるよ」
「そうね、いつもあなたを感じているわ」
「僕も。どうして“テ”は無くなったの?」
「“テ”だとね、人の心には触れられなかったそうよ」

「ねえ、知ってる? 

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