
楽譜を複数チェックする理由
私はピアノや音楽の知識が全くありません。業界のよくわからない慣例も含め、驚いたことは多々ありますがそのなかの一つが「出版社によって楽譜が違う」ということ。ピアノの世界におられる方には「何をいまさら」のお話ですが、素人の私には驚愕の出来事だったので記事に記しておきます。
購入する2種類の楽譜
「この楽譜は何版かな?」とピアノの先生に聞かれて「???」とフリーズした私。そこから調べまくり、10年以上娘のピアノコンクール生活をサポートしていると、さすがに私にも分かるようになってきました。我が家は、課題曲を決めると必ず2種類以上の異なる出版社の楽譜を購入します。
バロック・クラッシック(古典)は以下の2種類
・ヘンレ版(青い表紙・必ず改訂新版) なければウィーン原典版(オレンジの表紙)
・春秋社(白の表紙) または全音楽譜出版社(よく見る青い表紙)など
ロマンのショパンはパデレフスキ編。(ごく一般的)その他のロマンや近現代はその時々でいろいろな楽譜を購入しています。
「音」と「指番号」「その他」
・ヘンレ版またはウィーン原典版(原典版)
譜読みは必ずヘンレ版またはウィーン原典版で行います。練習やレッスンにも購入したヘンレ版またはウィーン原典版の楽譜本をコピーして使用しています。理由は「音が正確だから」。
・春秋社または全音楽譜出版社(校訂版)
ヘンレ版またはウィーン原典版で譜読みが終わったら、春秋社または全音楽出版社の楽譜を見ます。理由は、fやpの音楽記号の確認と、ヘンレ版やウィーン原典版で譜読みをした際に弾きにくいと感じた指使いを春秋社または全音楽出版社で確認して変更するためです。
ちなみに、スラーは基本的にはヘンレ版またはウィーン原典版に忠実に弾くようにしています。
ヘンレ版で譜読みをして春秋社で音楽記号や指番号を確認しても、まだ疑問が残る小節や弾き方の箇所がある場合は、さらに別の出版社の楽譜を買い求めています。「お金がいくらあっても足りない(涙)」と嘆きつつ、やはり楽譜は演奏に直結する大事なものなので、「ここはお金のかけどころ」と自分に言い聞かせて楽譜を購入しています。いやほんと、楽譜は高い・・・。
「原典版」と「校訂版」の違い
●原典版
作曲家が楽譜を書いた内容をできるだけそのまま再現して記譜した楽譜のこと。作曲家の考えが一番正しく反映されている楽譜といえます。
●校訂版
作曲家ではない第三者が、よい演奏ができるように原典版の楽譜から書き換えた楽譜のこと。原典版には記されていない音楽記号を加筆し、スラーの変更やフレーズをまとめるなど細かい指示を書き加えられています。
「音」が違うのは許せない
ピアノの素人だからかもしれませんが、指番号や音楽記号が校訂版によって異なるのは分かる気がするけれど、「音」がヘンレ版と校訂版を比べると異なるのは許せない!と思ってしまうのは私だけでしょうか・・・。ありますよね?たまに、ヘンレ版と明らかなに音が異なる校訂版の楽譜が。あれって誤植でしょう?
私はホテルに勤めてマーケティング・広報部門で仕事をしていたとき、パンフレットを作ったり、PRのために広告を出したときなど、誤字は絶対に許されない!のは当たり前でした。だって、電話番号の数字が1つでも違うだけでもオオゴトになりますよ?なんなら反省文を書かされるレベルのミス!
なのに、楽譜は?音が違うってどういうこと??一度暗譜をした音をもういちど別の音で覚えなおすというのは練習時間が長いほど大変なこと。一度イタイ目をみたので、娘は譜読みは必ず信頼のヘンレ版で!
笑える「おまけ」のお話
ホテルに勤めて広報マーケティング部門で働いていた時のこと。月刊の旅行雑誌にレストランのバイキング情報を広告掲載した際、あまりに忙しすぎて、いつもなら複数人で原稿をチェックするのですが、人手が無く、部門全員寝不足。上司が1人で原稿を書いてチェックをして出稿。そんなときに限って原稿にミスが!なんと、レストランの電話番号の箇所に上司が自分の自宅の電話番号を書いていたんです!!!えー!!!でしょう?(爆笑)発売されてから判明したので、上司の自宅の電話をホテルに転送して対応することになりました。いやー、あのときは、大変だったけれど今思い出しても笑える思い出です。