やはり聴くことから始まる
久しぶりに紐解いた、モーツァルトのロンドKV485。
子供の頃から何十回となく聴いて、耳馴染みがあり過ぎるくらいの曲です。
モーツァルトの意外な転調でも書いた通り、モーツァルトの特に後期の作品は思いがけない転調がたくさん見られますが、この曲も同じ。ニ長調がいきなり変ロ長調に行って、またニ長調に戻ります。いきなりといっても自然な感じでサラッと行ってしまうのがモーツァルトの天才所以でしょうか。
こういう転調って気をつけていないと聴き逃してしまします。子供の頃、何十回と聴いてた時は「ふーん」で終わっていました。その頃は和声はもちろんのこと、調性も「シャープが2つついてるから二長調」という程度の認識しかなく、近親調とか転調の概念も弱くて、いわば何もわかっていない状態でした。
このような転調は音楽大学でピアノ科の学生が学ぶレベルの和声の授業では追いつかない和声でもあるので、逆にピアノ科学生が和声を学ぶ意味を理解できないというのも、ちょっぴりわかります。学んだことが活かせないという視点から考えると、本当はもっと早くから和声の基礎を学ぶ方がいいのでは?と思うこともあります。
実際、当時の私の師匠は「祐己子ちゃんに時間があれば和声を勉強させたい」と思っていたようで、その頃の私は進学校である私立女子校に遠距離通学していたのもあり、先生が紹介したい和声の先生のお宅も遠かったこともあり、で時間が取れず、でした。今思えば残念な話ではあります。
ただ、こうして50歳を過ぎて、聴いただけでこの和声の美しさを味わえるようになれたのは、ピアノ科時代の基本的な勉学に加えて、1年間だけではありましたが個人レッスンで受けた和声の学び、藝大での通奏低音を始めとする演奏系の授業、和声、対位法の授業の影響に加え、フランスで受けた聴取のコメントの授業で得られたものが大きいと思います。
聴いてわかると音楽はもっと深く楽しめます。
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