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ギロックの『ウィンナーワルツ』で感じるウィーンの旋律

18世紀末から19世紀初頭かけて、ウィーンを中心に発展したウィンナーワルツ(Viennese Waltz)は、軽快で優雅なリズムと華やかな旋律が特徴の舞曲です。この伝統的なスタイルにインスピレーションを受け、アメリカの作曲家ウィリアム・ギロックは、彼自身の独自の解釈でピアノ曲「ウィンナーワルツ」を生み出しました。

この記事では、ギロックの「ウィンナーワルツ」を演奏する際のイメージを広げるために、彼がインスパイアされたと考えられるウィンナーワルツのエッセンスを紐解きながら、その代表的な作曲家や作品を取り上げていきます。


作曲家ギロックの人生と背景

ウィリアム・ギロック(William Gillock, 1917–1993)は、アメリカの作曲家で、特に子ども向けのピアノ教育曲で広く知られています。彼は「子どもたちが美しく、楽しく演奏できる音楽を提供したい」という願いを持ち、多くの魅力的な作品を生み出しました。彼の作品は、初心者でも音楽の楽しさや美しさを感じられるよう工夫されています。

ギロックの「ウィンナーワルツ」は、1950年代から1980年代にかけて彼が活躍した時代に作られました。この時期、クラシック音楽はアメリカの一般家庭でも親しまれるようになり、ギロックの作品は、子どもから大人まで幅広い層に支持されました。

ギロックのウィンナーワルツ

興味深いことに、ギロックは一度もウィーンを訪れたことがありませんでした。それでも、彼の「ウィンナーワルツ」は、19世紀のウィンナーワルツからインスピレーションを得た魅力的な作品に仕上がっています。彼の豊かな想像力が、その雰囲気を見事に表現しています。

ウィンナーワルツのステップと動き

ウィンナーワルツは、ダンスとしては旋回(回転)が特徴的です。曲全体が回転するような流れる感覚を持っており、時計回り(ナチュラルターン)反時計回り(リバースターン)を繰り返します。この回転が、永続的な動きを感じさせ、観客に優雅な印象を与えます。

ウィンナーワルツと拍子感

ウィンナーワルツ特有の魅力として、独特のリズムの扱いにあります。通常の3拍子ワルツに比べ、ウィンナーワルツでは2拍目をやや早めに演奏するスタイルが特徴です。このわずかなずれが、音楽に独特の揺れや流動感をもたらし、ワルツ特有の優雅さと心地よい浮遊感を作り出します。そして、このリズムの扱いが、ウィンナーワルツを情緒豊かで洗練された音楽にしているのです。

以下に、ウィンナーワルツの代表的な作曲家とその有名な作品を紹介します。

ウィンナーワルツの代表的な作曲家と作品

ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss II)

ヨハン・シュトラウス2世は、「ワルツ王」とも称されるウィンナーワルツの代表的な作曲家で、その音楽は19世紀ウィーンの華やかさと優雅さを象徴しています。彼はウィンナーワルツの黄金時代を築き、多くの名作を世に送り出しました。

・「美しく青きドナウ」(An der schönen blauen Donau)

この曲は、シュトラウス2世の代表作であり、ウィンナーワルツの中でも特に有名です。ウィーンの伝統的な舞踏会や音楽会で欠かせない一曲で、ドナウ川の美しさを音楽で描写しています。

フランツ・レハール(Franz Lehár)

フランツ・レハールはオペレッタの作曲家として広く知られていますが、ウィンナーワルツのエッセンスを取り入れた美しい楽曲も数多く手掛けました。彼の音楽は特に劇的で感情豊かな表現が特徴で、舞踏会や劇場で愛され続けています。

・「金と銀」(Gold und Silber)

この曲はレハールの代表的なワルツで、華やかなオーケストレーションと流れるようなメロディが魅力です。特に1:40あたりから始まる部分は、優雅さと感情的な高まりが絶妙に融合した印象的な場面として知られています。

ヨーゼフ・ランナー(Joseph Lanner)

ヨーゼフ・ランナーは、シュトラウス一家に先駆けて活躍し、ウィンナーワルツの基礎を築いた重要な作曲家です。彼の音楽は、シュトラウスの華やかでダイナミックな作品とは異なり、より素朴で温かみのある家庭的な雰囲気が特徴です。そのため、当時の市民層に親しまれ、ウィンナーワルツの発展に大きく寄与しました。

・「シュペリッツのワルツ」(Die Schönbrunner)

この曲はランナーの代表作の一つで、ウィーンのシェーンブルン宮殿をイメージさせるような優雅さと親しみやすさを兼ね備えています。

この曲で学べるピアノスキル

ギロック作曲の「ウィンナーワルツ」を練習することで、次のようなスキルを伸ばすことができます:

  • 3拍子のリズム感
    ワルツ特有の軽やかなリズムを感じる力が身につきます。

  • 表現力
    右手でメロディーラインを際立たせ、左手の伴奏と音色を弾き分けることで、情感豊かな演奏ができるようになります。

  • ペダルの使い方
    音を響かせるタイミングを学び、美しい音色を作れるようになります。


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