ピアニカたろうの『ピアニカを吹きながら』#5 「落語に学ぶ粗忽者の思考」を読んで
ピアニカたろうです。
ぼくが顔面帯状疱疹治療中に読んだ本がとても面白かったので紹介したいと思います。
『落語に学ぶ粗忽者の思考』立川談慶 著
を読みました。
『粗忽者』とは「あわて者」「そそっかしい人」という意味。落語の登場人物のキャラクターのひとつ。
著者の立川談慶さんは、慶応大学を卒業後ワコールで3年間のサラリーマン経験を経て、1991年立川談志さんの18人目の弟子として入門。9年半の前座修行を経て二つ目に昇進、約4年後に真打ちに昇進した落語家さん。
愛読書PHPの増刊号で談慶さんは一時期、二つ目の落語家が主人公の小説『花は咲けども噺せども』を連載していたのでお名前は知っていました。
この小説、気持ちよく笑えて、ほろりとくるいい小説だったんですね。
そんな談慶さんが伝統芸能・落語に登場する人物たちの振る舞いから、
"生き苦しい"現代を穏やかに生きていくための『心の在り方』を身につけるヒントを紹介しているのがこの本です。
この本の『はじめに』には、
江戸庶民の社会は、現代よりもはるかに『多様性を許し、少数派さえも優しく受け入れる社会』『はみだし者や"弱者"でも、息苦しくない社会だった』と思われる
と書かれてました。
顔面の痛みと腫れに耐えながら『江戸庶民の社会って、いいな…』と思ったぼくは、それまで意識してなかっただけで、いまを"生き苦しい"と感じているのかもしれないとも思いました。
そして、ぼくは落語をまともに聴いたことがありません。
『はじめに』を読んだだけでかなり興味をひかれ、気づいたら帯状疱疹の痛みと腫れを一時忘れるくらい、本の世界に引き込まれて夢中で読んでいました(この夢中って感覚、いつ以来かなあ)。
この本は、6章で構成されています。
第1章 粗忽者に学ぶ「人との関わり方」
第2章 粗忽者に学ぶ「自分の許し方」
第3章 粗忽者に学ぶ「仕事の考え方」
第4章 粗忽者に学ぶ「ひとりの過ごし方」
第5章 粗忽者に学ぶ「生き方の哲学」
第6章 気持ちがふっと楽になる落語⑩選
ぼくにとっては全章面白く、「そうだよなあ」と唸る内容なのですが、なかでも印象に残った項目を2つ紹介します。
第3章にある「休んではいけないと思ってしまう」(ぼくもその傾向が強い)場合→
「休まない」はデメリットだけ。未来の自分のために休むことが大切だと「皿屋敷」という噺が教えてくれます。
第4章にある「いらないもの、人、情報を捨てる」→定期的に物事との距離を調整して常に身軽にしておくことの有効性を「堪忍袋」「笠碁」という噺が教えてくれます。
この本を読むと、『落語』が聞いてみたくなってきます。
顔面帯状疱疹は笑うと痛いし汁が出て辛いので、瘡蓋になって落ち着いてからYouTubeで「皿屋敷」「堪忍袋」「笠碁」を聞いてみました。
実際聞いてみると、とても面白くて笑いました(帯状疱疹落ち着いてから聞いて正解でした)。何より落語家さんの表現力はすごいと思いました。
伝統芸能・落語は面白い、すごい。
ぼくは落語好きになりました。ある意味、顔面帯状疱疹のおかげかもしれません。
立川談慶さんの『落語に学ぶ粗忽者の思考』は、落語をよく知らない、聴いたことがない人にもおすすめしたい本だと思い、紹介しました。
最後に、各章末にある粗忽者の挿絵のコメントからひとつ紹介します。
まずは今のまんまの自分を認めてやって、
悪くねえなと思うことだよ。
自分を低いところに置いておくってのは、
「優しさ」と「強さ」がないとできねえ
尊いことなんだ。
今回もnoteを読んでいただきありがとうございました。
たろう
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