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弁護士の樋田早紀によるトーク「レズビアン・セクマイの未来」、公式レポート【PIAMYフェス2024】

レズビアン・セクマイが出会えるSNS型マッチングアプリ「PIAMY」が7月14日(日)、参加者600人の大規模イベント「PIAMYフェス2024」を開催しました。

 日本では全国各地でパートナーシップ制度が導入されつつあるものの、法的な同性間の結婚は認められていません。そのため、法律婚と同等の保障が受けられないLGBTQ+カップルがたくさんいます。

 今回、フェスに来場した参加者の中にはカップルさんも多かったですし、これから未来のパートナーを見つけたいと思っている方も「同性婚はいつ実現するのか」「パートナーシップだけではダメなのか」など、パートナーとの未来について不安に感じる人も多いことでしょう。

 そこで、弁護士の樋田早紀さんをお呼びし「レズビアン・セクマイの未来」と題したトークをしていただきました。その中でも「同性婚はいつ実現する?」のテーマでは、お客さんから拍手が聞こえることもあり、当事者の未来に希望が感じられました。

 当日お話しいただいた内容をレポート記事としてまとめたので、今一度レズビアン・セクマイの未来について考えていきましょう。

今の日本のLGBTQ+を取り巻く現状

樋田早紀さん

ー今の日本のLGBTQ+コミュニティの現状について、ざっくり教えてください。 

私が生きてきた中で社会は大きく動いていることを実感しています。社会の動きの先駆けとなる事件としては、「府中青年の家事件」が挙げられます。

この事件では、同性愛者の団体が東京都の宿泊施設「府中青年の家」の利用申込みをしたところ、都の教育委員会が使用を拒否しました。その理由は、条例の使用不承認事由にあたるからということでしたが、具体的には「秩序を乱す恐れがある」、「管理上支障がある」という理由でした。

この事件は裁判に発展し、平成9年に東京高等裁判所が不当な差別であると判断。また、東京高裁は、行政当局が同性愛について無知であることは公権力の行使に当たる者として許されないことを明言し、ここから日本の社会は変わっていきます。

ー具体的に社会はどう動いたのでしょうか。
 
判決が出たのが1997年。それ以降、性的指向及び性自認の尊重は人権課題であるとの理解が広がっていき、2000年代以降、国や地方自治体においてさまざまな施策や啓発活動が実施されるようになりました。

特に2020年代は司法の動きが著しくなります。例えば、日本では男女の夫婦の片方が不倫をすると慰謝料請求が認められています。では、法的に結婚することができない同性カップルの場合どうなるのかというと、前例がなかったのでわからないという状況がありました。しかし、裁判所の判断で2020年3月4日、同性パートナー関係の破綻を理由とする慰謝料請求が認められました。

今年の3月には、犯罪被害者等給付金に関する最高裁判決が出されました。日本の法律では、犯罪行為によって死亡した被害者の配偶者は、遺族給付金を受け取れることとなっています。ここでいう「配偶者」には事実婚の方も含まれるのですが、同性パートナーは該当するのかといった内容が裁判で争われていました。結果、同性パートナーも含まれることを最高裁が判断しました。

パートナーシップ制度のアレコレ

樋田早紀さん

 ーパートナーシップ制度についても伺いたいです。東京都でもパートナーシップ制度が導入されるなど、徐々に全国に広まっていますよね。

パートナーシップ制度は各地方自治体がそれぞれ実施している制度なので、全国のパートナーシップ制度が全く一緒というわけではありません。一般的には、自治体が法律上同性間のパートナーシップ関係について証明、当事者となる2人が宣誓をし、それを地方自治体が証明するといった内容になります。

今、全国各地でパートナーシップ制度が広まりつつあり、人口ベースで85.1%※、458の自治体が導入しています。この数は2024年6月28日時点でのデータであり、その後も制度が導入されることが決まった自治体があるとのニュースを見るので、まだまだ増えていくと予想しています。

ーパートナーシップ制度を利用するメリットについて教えてください。

自治体によって内容が違うので一概にはいえないのですが、例えば公営住宅の入居申込みができるなど、行政サービスが受けられるようになるといったメリットがあります。

また、企業がパートナーシップ制度を利用している同性カップルに対して、異性の夫婦に提供しているサービスと同様のサービスを提供していることもあります。さらに、パートナーが病気になった時に一緒に病状説明を受けられるなど、事実上の配慮が受けやすくなる点もメリットです。

ーパートナーシップ宣誓したカップルが別れてしまった場合、どうなるのでしょうか?

自治体ごとに取り決めがあると思いますが、私が今まで見た中だと、パートナー関係が解消したことを届け出る必要があるとされていることが多いです。

※引用:渋谷区・認定NPO法人虹色ダイバーシティ「全国パートナーシップ制度共同調査

ズバリ、同性婚はいつ実現する?

樋田早紀さん

ー樋田さんは「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟の弁護団としても活動されています。活動を通して同性婚はいつ実現すると予想していますか。

少なくとも、最高裁判決で違憲となることを私は信じています。2019年に提訴されてから約5年間が経過しますが、その中で2021年の札幌高裁では、現在の法律が同性間の婚姻を許していないことは違憲であるとはっきり明示しました。

このような一連の流れ、たくさんの判決を重ねてようやくここまでたどり着きました。最高裁判決が出るのはまだ少し先です。1年半とか、もしかするとそれ以上かかるかもしれませんが、そのタイミングで必ず!と、弁護団員としても信じています。

ー少しずつでも社会が前進するために私たちができることとは何でしょうか。

前提として、自分ができる範囲で、できることを、と思っています。自分を大事にすることを優先し、無理をする必要はありません。参考までに私がやっていることの一例を挙げると、Marriage for All JapanのSNSは活発に動いているので、そこで関連する記事を読んで情報共有したり、訴訟について周りに話してみたりとかをしています。

ー裁判傍聴も応援になるんですよね。

そうですね。ぜひみなさんに来ていただくことで、社会の関心が高まっていることを裁判官に示すこともできます。東京では、9月26日(木)と10月30日(水)にも裁判期日があります。他の地域の期日についても、Marriage for All Japanや各地の弁護団のXなどで確認してみてください。

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レズビアン・セクマイが共感でつながれるSNSアプリPIAMYでは、何気ない日常や思うこと、考えていることなどを文字や写真で投稿して、共感するセクマイとつながることができます。

ぜひこのレポートの感想も、ピアリング「同性婚」「結婚の自由をすべての人に」などでシェアしてもらえたら嬉しいです。

「フェミニズム」「政治」も人気のピアリングなので、安心して話せる相手が見つかるかも。ぜひチェックしてみてくださいね。

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