ピアミーに込めた想い。どんなコミュニティになっていく?セクマイ向けサービスの展望
みなさんこんにちは。レズビアン・セクマイが出会える共感型SNS《PIAMY(ピアミー)》運営のマリコです。
今日は少しカタいタイトルなのですが、とても大事な話をしたいと思っています。
それは「ピアミー開発にはどんな想いが込められているのか?」ということです。
ピアミーができた経緯、どんな想いをチームが持っているのか、どんな風に育てていくのか。今語れる範囲で皆さまにお伝えするため、筆をとりました。
センシティブな話もあり、うまく書ききれるか緊張もしています。なるべく丁寧にお伝えできればと思いますので、よろしくお願いします。
レズビアン・セクマイ向けSNS「PIAMY(ピアミー)」誕生の経緯
女性と出会いたい女性向けのアプリで、みんなが「コレ!」と安心して使えるものがない。
そんな状況を、私たちが持っているテクノロジーの力でなんとかできないか。そう考えたのが、ピアミー誕生のきっかけです。
ゲイであればかなり多くの方が使っているアプリがいくつも発展しているにもかかわらず、レズビアンにはそれがない。その非対称な状況の原因を探ることから、プロジェクトは始まりました。
複数名の方にヒアリングに協力いただき、当初の仮説通りだったものも含め、以下のことがわかりました。
この結果から、「安全に長く使えること」、そして「共感でゆるやかにつながれること」この2点がアプリの重要な価値として実現すべきことになりました。
そこで、
この機能をもったアプリとして、ピアミーは企画・開発されていきます。
ピアミーの詳しい機能、つながれる秘密については、こちらのnoteをぜひご参照ください!
ピアミー開発への想い
このように経緯をまとめるととてもシンプルな作業に見えますが、企画開発は、とても深い話し合いを含む、ときに哲学的な問いにも向き合う、長い期間かかったものでした。
例えばわかりやすいところで言うと、
この問題については、アプリが存続できる状況が財政的にも実現されなければ解決できません。特に、安全性の保証は、24時間の審査や監視など、とてもコストがかかります。
ピアミーに取り組むからには、「やっぱりダメでした」で終わってはいけない、そういう使命感も持って、事業計画を練ったりしています。
また、そもそもなぜ失敗に終わりたくないかといえば、それは単に期待を裏切りたくないからとか事業だからということだけではなく、コミュニティを取り巻くさまざまな問題を解決する力がピアミーにはあると、私たちチームが信じているからです。
私たちは未来の担い手としての責任を感じながら、ピアミーというサービスにそれを託し、あるいはピアミーから使命を託され、一つひとつの機能と向き合ってきました。
出会いの形の再構築という可能性
ピアミーが担う可能性のひとつは、「出会いの形の再構築」です。
出会いは、その人をかたちづくるものです。
私たちが繰り返し述べているように、出会いは恋愛だけではありません。
友人や仲間、その日たまたま会話した人まで、全ての出会いが、人生を彩り豊かにするものです。
また、他者との関わりの中から、新しい自分自身に出会うこともできます。
出会いには、それだけの力があるからこそ、レズビアンである、セクマイである、というだけでそういった機会に恵まれないことがないよう、出会いの溢れる毎日を提供したいと考え、このアプリの開発に着手しました。
そして調査、企画を経て、従来のマッチングアプリが、見た目をきっかけとしてインスタントな出会いを提供している点に違和感を感じる人が多いことがわかりました。
顔、身長、年齢、年収、条件。
マッチングアプリが発展するほどに、こういったお手軽な条件によって、その人のアイデンティティが造られてしまっていないか。
他者との比較、マウンティング、自己否定、そういったものを強化していないか。
コミュニティと出会い系アプリの結びつきを研究しながら、そういった疑念が深まっていきました。
ピアミーは、従来のマッチングアプリの常識を覆すアプリです。
ユーザーは、SNSで自分を表現し、すれ違う人から微笑みかけられるように「いいね」が来たり、よく顔を合わせる人と「フォロー」関係になったり、気が合いそうだなと感じてきたら、「メッセージ」でお誘いをしてみる。
こういった人間的営みを再現できるサービスにしていきたいと考えていきます。
これは女性同士の出会いだからこそ、見えてきたニーズかもしれません。
ただ、ゲイや異性愛者にとっても、従来のインスタントで効率的なマッチングへの疲れを癒すこと、ヒエラルキー的構造の解体などに転用されることが期待できます。
実際に、このような設計をしたことで、レズビアンだけでなく、AセクシュアルAロマンティックの方など、多様なセクシュアリティの方が使いやすいアプリとなりました。
マッチングアプリ業界に、マイノリティの視点で新しい風を吹かせていきたい、という野望がピアミーには隠れています。
女性の力が、セクマイの力が、もっと生きるマーケットをつくること
新しい風をどうやって吹かせていくか、影響力のあるものにしていくか、作戦は色々あるのですがここでは語りません。
ただそれが成功したとき、「女性の力で、セクマイの力で、新しいマーケットができる」ということになると信じています。
ピアミーが多くの支持を集めてモンスター級のユーザー数を誇るアプリになれたら。
ピアミーは多くの人が必要な会社になり、雇用を生みだすことができます。
企業はマーケティングに利用したがり、私たちの声を無視できないことになるでしょう。
ピアミーのプラットフォームを利用して商売する、女性向けサービス、セクマイ向けサービスがユーザーから生まれることも、想像するだけで嬉しいです。
今は小さくバラバラなコミュニティが、大きなうねりを生み出すマーケットになること。
それによって女性、セクマイの活躍が推進されること、世の中に存在を証明できること。
それがピアミーの目指すことのひとつです。
オンライン上の女性のセーフティスペース構築
もうひとつ、ピアミーが担うもっとも重要な使命は、言わずもがな「オンライン上の女性のセーフティスペース構築」です。
これは、コミュニティ外の人に話すと、最初はポカンとして、信じられない、そんなことがあるの?と苦笑いする人がほとんど。
とんでもないことが起きていると言ってよいでしょう。
こういった現状は、男性による女性の性的対象化、そしてレズビアンが長く男性向けポルノの一ジャンルとして性的に消費されてきたことなどに起因しています。
実生活でもレズビアンがセクハラや性被害に遭うことも少なくありません。
レズビアンに限らず、女性に対するサイバーハラスメントの問題は増え続けています。エアドロップ痴漢、SNS上の女性への執拗な攻撃、一方的な性的なメッセージの送信等。
そして、一般的に社会的抑圧はマイノリティが受けやすくなっています。
少しテーマは違いますが、4月公開予定の、成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録すると何が起こるかを検証したチェコのドキュメンタリー「SNS 少女たちの10日間」も、弱い立場の女性がオンライン上でどういった危険に晒されるのかをよく表す作品でしょう。
女性が女性のことを女性自身の言葉や写真で表現する。
これすら難しい状況は、生活におけるデジタル領域が今後ますます拡大していく世の中において、看過できるものではありません。
少し堅くなってしまいましたが、それだけ私たちは女性のセーフティスペースの問題を重く捉えています。
「女性(・セクマイ)の城」をつくることは本質的な解決ではないことも承知しています。
ただ、女性が他者の目線なく自己表現できる場所があまりにも少なすぎることが、女性一人ひとりのアイデンティティやコミュニティの意識にも大きく影響しているのではないでしょうか。
ピアミーチームには私以外にも女子校出身者がいるのですが、揃って言うのは「女子校時代にはジェンダーがなく、いろんな可能性・選択肢を持った人間でいられた」ということ。
ピアミー上で対象化されない女子校体験を再現することで、“対象化されている自分”から解放され、自分の内的な感情や欲望にもっとじっくり向き合える機会になってほしいと言う願いがあります。
ピアミーにとって「女性(・セクマイ)の城」の疑似体験は、通過点でしかないと考えています。
城で育った一人ひとりが、これからどんな世の中を作っていきたいか、話し合い、行動を起こせるようなパワーを持って、外に繰り出していくこと。それがピアミーが達成したいことです。
重い課題、ピアミーが抱える矛盾
ここまで「女性」という表記をたくさん使ってきましたが、実はピアミーは「女性限定アプリ」ではありません。
「現状、戸籍上女性であることが確認できる人だけが使えるアプリ」です。
つまり、自認する性別は関係なく、戸籍上現在どちらの性別とされているか、のみを基準とすることにしました。
自認が男性の方、Xジェンダー、ノンバイナリーの方のうち、戸籍上女性である人は使える設計です。逆に、自認が女性であるにもかかわらず戸籍上男性とされてしまっている人は現状使えません。
もともとこのプロジェクトが、レズビアンや女性と出会いたい女性のためのサービスとしてスタートしたにもかかわらず、そういった女性の中で利用いただけない方が出てしまうことについて、大変申し訳なく思っています。
トランスジェンダーの戸籍変更のハードルが非常に高いこと、さまざまな社会的困難に直面している現状をもちろん認識しており、本アプリの審査がそれを助長しかねない運用であることについてチームとしても悩み続けています。
ここでは、ピアミーがどういった展望をもっているのか、ということを最後に記そうと思います。
価値に忠実に、共存とグラデーションを表現したサービスにしたい
ピアミーの価値は「共感でつながれる」ことだと考えています。
つながるためにピアリング機能があり、つながりを促進するような通知機能の工夫もしています。
この価値をより磨いていくにあたって、
この点をしっかり実現できるよう、監視通報システムはもちろん、レコメンドの機能やより使いやすいコミュニティの住み分けができる仕組みを今後強化していく予定です。
現時点で、ピアミーにはレズビアン、バイセクシュアル、パンセクシュアルだけでなく、Aセクシュアル、Aロマンティック、ノンセクシュアル、グレーセクシュアル、デミロマンティック、Xジェンダー、トランスジェンダーなど、多様なセクシュアリティの方が共存することを想定しています。
ピアミーは恋愛だけでなく友情での出会いのためにも使えますし、その人を知って共感して関係が深まるから、ふたりだけの関係も築きやすく、これらのセクシュアリティの方にも使っていただきやすいサービスになっています。
レズビアン・セクマイコミュニティには、かなり幅広いセクシュアリティや出会いのニーズ、思想、趣味嗜好、経験が混在しています。
例えば、過去に傷ついた経験からバイセクシュアルの方を避けたいレズビアンの方がいる一方、そういった見方に傷つけられているバイセクシュアルの方がいます。FtMトランスジェンダーの方は、性別移行前に歓迎されていたコミュニティで、"らしい"自分になっていくほどに、拒絶されることがあります。トランス女性に関しては大変不甲斐ないことに、ピアミーが傷つける側になっている現状があります。
傷が多いこのコミュニティを癒しながら、お互いに嫌な気持ちになることなく、共存していける社会をピアミーの中に実現していきたいです。
それは単に国境を引いて断絶するようなものではなく、偶発的に人々が交じり合いながら理解や気づきが生じる可能性も残しながら、人々の意思で発展していけるものであってほしいと思っています。
そういった考えから、「つながれる/つながらないこともできる」の機能強化を段階的に実現していきながら、より多くのセクマイが楽しめるコミュニティづくりに励んでいきます。
もちろんこの理想は一朝一夕に実現できるものではないでしょう。
機能を実現するという意味でもちろん財政的・技術的な問題が立ちはだかりますし、女性のセーフティスペースを並行して実現していかなければなりません。ピアミーが存続していける状況を保ちながら、既存のユーザーへ理解を求めていく過程もあります。
さまざまなユーザーの方々と対話をし、アイディアを出し合いながら、一歩一歩、歩んでいきます。
ユーザーの皆さまと対話を続けていきます
以上、ピアミーが現時点で考えている今後の展望でした。
もちろん私たちは常に正解を選べているとは思っていません。
迷いや悩みが付きまとい続けています。
私たちがいまだ想像すらいたっていないこともあるかもしれません。
ぜひこのnoteを読んで、より発展させていくためのご意見がありましたら、TwitterDMやメール(piamy@artreoss.com)などで私たちにお聞かせください。
今後もユーザーの皆様と対話をやめることなく、サービスの改善に努めていきます。
ピアミーをどうぞよろしくお願いいたします。
PIAMY(ピアミー)のダウンロードはこちらから
※ なお現在iOSでの配信は行っておりません。