私信、手紙1
ニートの自分には土曜の夜なんて関係ないのだけれど、まぁ世間的には土曜の夜だしなにか書こうかなって思って書くことなんて決まってないのにパソコンを開いた。
いつもは何の気なしにしているツイートから話を膨らませて書いていて、だからツイートをすこし簡略化してタイトルにすることが多いのだけれど今日はまだタイトルも決まっていない。
なので今日はお手紙を書きます。
お元気ですか、私はいま海の近くの町に住んでいます。
ここは生まれ育った町で東京より寒くて、きっとあなたの住んでいるところと比べたらずっとずっと寒い遠くの町です。
だけれど、あなたが一緒に行こうと言ってくれた南極よりは暖かだなぁと思っています。たった数ヶ月前の話だけれど何の気なしに言ったあなたは多分覚えていないかもしれませんね。
あなたが言った、君のことは今は好きにはなれないよ、のあの本当にやさしい声がずっとずっと私の頭から離れません。
好きではないのならそんなやさしい声で私に話さないで欲しかった。
欲張りな言い方をすれば、私のものにならないのなら近くにいないで欲しかった。
だけれど、そんなあなたが好きでした。今だって大好きです。
実家から車で小一時間行ったところにおおきな橋があります。
そこは中学生の頃に修学旅行で会津若松に向かうバスの中で、目を閉じて息を止めて渡り切ると願いが叶うんだよというジンクスを聞いた橋です。
私はそこを通るたびに今でもあなたが健やかでありますようにと目を瞑り息を止めます。
神様なんて信じていませんが、その橋の上でだけ私は神様に手を合わせます。
あんまり長い文章を読むのが好きではなかったあなたなのでここまでは読んでないかもしれないですね。
でも、私はあなたに才能があるから好きなわけでも、努力家だから好きなわけでもないことを忘れないでいてくださいね。
プライドの高いあなたはそんな未来は認めたくないだろうし、何度も口を酸っぱくして耳にタコができるくらい伝えたから聞き飽きたかもしれないけれど、私はあなたがバーテンダーでもベーシストでもキャベツ農家でも毎日縁側に座って庭を眺めながらお茶を飲んでいても変わらずに大好きです。
星は特別な光を放ったあと、死ぬそうです。
頑張り屋さんなあなたが少し心配です。
長い手紙を書いてしまいました。
私信なのできっと届けたいところには届かないでしょう。
でもそれでいいんです、誰にも読まれなくていい。
タイトルはまだ決まらない。
また手紙を書きたくなるかもしれない。
何も決めずにダラダラと書いていたらこんな時間になってしまった。
でも土曜の夜なので夜更かしも許されるはず。
明日はパウンドケーキを焼こう。