2021/04/14 PCR検査のあれこれ
こんにちは!
フィシスノア・クリニックです。
今回は、「PCR検査のあれこれ」というテーマでお話しします!
2020年に入り「PCR検査」という言葉を初めて知ったという方も多いでしょう。鼻に綿棒のようなものを挿入して、それを何やら機械で検査する試験という印象が大きいですね。
そこで、皆さんが疑問に感じていることをQ&Aでまとめてみました。
Q. PCR検査とは?
PCRは、「Polymerase Chain Reaction法(ポリメラーゼ連鎖反応法=PCR法)」といい、遺伝子を増幅する方法を使い、ウイルスの遺伝子を増殖して検出しています。現在コロンビアでは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、EBウイルス、水ぼうそうウイルス、単純ヘルペスウイルス、SARSコロナウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)にPCR検査が使われています。
Q.PCR検査の原理は?
原理は、患者さんかの検体に含まれる1本のDNAから、該当するウイルス遺伝子を倍々に複製することでウイルスの遺伝子が増幅されて検出できるというものです。
Q. コロナウイルスの検査の方法は?
新型コロナウイルスは「RNAウイルス」のため、PCR検査の前に、RNAをDNAに変える「逆転写」という作業があります。PCRの原理は「1本のDNAからウイルスの遺伝子を増幅する」ということなので、逆転写が必要になります。
Q. リアルタイムPCR検査って何?
「Real time RT(reverse transcription)-PCR法」という手法で、Real timeとは、検査途中でもウイルスの量を測ることができ、通常のPCR法よりも10倍から100倍に検出感度が高い=少ないウイルス量でも測ることができる方法です。ちなみに、Reverse Transcription(RT=逆転写)とは、RNAウイルスのRNAからDNAに変える作業のことです。
実際の検査として、リアルタイムPCR法でウイルスの遺伝子を増やす時、DNAを増やしながら「蛍光試薬」という光る試薬を取り込ませます。遺伝子が増えれば光が強くなるので、この光の強さでウイルスの遺伝子を検出できます。逆に、ウイルスに感染していなければ、遺伝子は増えず、光も強くなりません。
Q. なぜ新型コロナの検査でPCR検査を使うの?
PCR検査だと、ウイルスの遺伝子配列さえ分かればすぐに検査ができるからです。また、PCR法はSARS-CoV-2だけにある遺伝子配列を増幅して検出するため、間違えて陽性としてしまうことが少ないからです。PCR検査で陽性と出た場合は結果が正しい可能性が高いということです。
Q. PCR検査は他の検査と比べるとなぜ時間がかかるの?
PCR検査には、コロナウイルスの遺伝子を取り出す作業が必要だからです。また遺伝子を増幅するPCR法も時間がかかり、キャビネット内で小さな容器を何十個も並べて作業するなど、細かい操作が必要なためです。条件に依りますが、最速で計2〜3時間は必要です。
Q. そもそもPCR検査は正確なの?
まず、「感度」と「特異点」という指標を理解する必要があります。
感度とは、今回のCOVID-19の場合、本当に感染している人の中で、どのくらい感染者の把握ができるのか?ということです。100人の本当に感染している人がいる場合、100人すべてを把握できれば、感度は100%です。
一方で、感染していない人を陰性と把握することも大事です。これは特異度という指標で表現します。新型コロナウイルスに本当に感染していない人、100名に対して、100名に感染していないと言えれば特異度は100%となります。感度・特異度がともに100%が理想ですが、これはとても難しいです。
現状の検査ではPCR検査が最も感染者を発見できる方法だとされているため、ほとんどの国で採用されています。ただ、感染していても20%~30%くらい確率で陰性が出てしまうこともあるので、日を置いての再検査等が必要になります。
番外編
Q.日本政府所定フォーマットにあるLAMP法ってなに?
LAMP法は、簡易PCR検査ともいわれ、PCR法と同じく検体からRNAを検出する方法で、PCR法に比べて増幅効果が高く、短時間で検査できる検査です。現在コロンビアでは、LAMP法による検査を行なっている検査機関は、ほぼありません。
Q. 日本政府所定の他の方法は?
TMA法、TMC法、Smart Amp法は、PCR法と同じく遺伝子を増幅する検査法ですが、PCRよりも簡易的に出来る方法です。現在はアメリカ合衆国で多く用いられているCOVID-19検査方法で、検出感度もとても高いと言われています。コロンビアではほとんどこれらの方法で検査を行う期間はありません。
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