ウインターカップ活動報告 メンタルコントロール 福岡第一高等学校戦

ウインターカップ準決勝。福岡第一高等学校戦。
なかなか書けませんでした。
この試合の前半は記憶に残っている人もいると思いますが、選手たち(特に富永)のパフォーマンスは圧巻だった。そして、その後の後半に入ると福岡第一の反撃に遭い瞬く間に負けてしまった。
この時、私は2つのミスをしました。書けない理由はここにもありました。そう、トレーナーとしての後悔です。

勝負はアップ会場から始まっていた

試合会場にはいつも2時間前に到着するように行動しています。
会場に着き、着替えて準備していつも通りにウォーミングアップをする。ベスト8からはアップコートはバスケットコート1面が使えるようになり、反対側のコートには対戦相手がいる状況でした。それまでは、8つにコートが小さく区切られていて対戦相手も遠くにいるような配置でした。

通常、対戦相手も同じようなスケジュールで動くことが多いのですが、この時は違いました。

福岡第一は、コーチ陣も揃っている状態でいつでも戦えるような雰囲気を漂わせていました。朝から会場に入り既に練習したのではないか?と考えるほどの雰囲気とアップ会場の空気が張り詰めるほどの緊張感が溢れていました。

異様な雰囲気の中で選手たちも準備が終わりアップを開始しますが、やはりいつもの雰囲気ではなく、異常な静けさがチームを包んでいました。

ここまでの福岡第一の戦いぶりを目の当たりにしてきた選手にとって非常にやり難い相手です。また、本大会で福岡第一は飛龍に圧勝しています。

飛龍とは何度も対戦しており、その強さを選手たちは知っています。しかし、本大会での飛龍の敗戦、その後の選手の姿をロッカールームで私たちは観てしまいました。

ロッカールームは選手たちが着替えることができる唯一の部屋でユニフォームのカラー別で決められています。そのため、先に試合を終えた飛龍とこれから試合をする桜丘が同じ部屋を使うことになったのです。

ロッカールームでの様子は選手たちに配慮して割愛しますが、東海地区でも全国でも戦ってきた相手のダメージを想像することは容易な状況です。

私としては見せたくなかったっという一言に尽きます。

どちらにしても、対戦するためには準備をしなければなりません。
こちらとしては一戦一戦レベルが上がり、チーム力も上がっています。同じ高校で戦えない訳がないのです。

戦いは既に始まっています。ウォーミングアップとはいえそこから勝負していかなければ一気にワンサイドゲームになってしまいます。

それは避けなければなりません。


強いチームと戦う時にするべきこと

強いチームと戦うときにすべきことを皆さんは知っていますでしょうか。強いチームが相手となると選手たちは相手のことを強く意識してしまいます。そうなってしまえば相手の思うツボです。

バスケットだけではなくあらゆるスポーツにおいて相手を強く意識してしまう事はデメリットに働きやすいです。相手の事ばかり気にしてしまい本来の自分の良いところや試合で実行しなければならない作戦のことを忘れてしまいます。

そのような状況になってしまうと本来のパフォーマンスが出ることもなく本来の調子ではない状況で試合が終わってしまいます。多くの場合は気がつくのはその試合の後です。ああしていればよかったこうしていればよかったと言うたらればで試合を振り返ることになってしまいます。

トレーナーとしては選手の心身を最高のレベルに引き上げてコートに送り出すことをしなければなりません。そのためにやるべき事は、いつものことをいつも通りに当たり前のことを当たり前にやるのです。

特別大きな声を張り上げて気合を入れてみたり、特殊なアップ方法を取り入れてみたりなどとする事はなく、いつもの練習と変わらぬ雰囲気でいつもの試合前のアップをします。

これを読んでいる選手たちに覚えてて欲しいのですが、練習では常に試合を意識して練習に取り組んでほしいと思います。

基本的には試合ですごい力が発揮できると言う事は一切なく、これまで練習でしてきた事が全て出てきます。すごいパフォーマンスが発揮できると言う事は、いつもの練習に加えて心身の状態が良い状態で合わさった時に最高のパフォーマンスが発揮できるのです。いわゆるゾーンと言う状態です。ゾーンの状態に入る事は極めて難しく心身の状態が良くなければ条件が揃う事はありません。すごいプレイには魅力的な要素がたくさんあり憧れることもありますが基本的には当たり前のことが当たり前のようにできると言う選手が長い時間を通して魅力的な選手といえます。

話を戻して
ウォーミングアップについてですが、この時いつも通りのアップをしようとしました。しかし、雰囲気は重く選手たちの表情もなかなかよくなりません。無理もありません隣を意識するなと言ってもしてしまいます。

ただ私も冷静に考えてみるとここまでような雰囲気を作り出す福岡第一は、夏で負けたと言う緊張感危機感を背負っていると言うことを感じさせます。

逆を言えば相手も相当プレッシャーを感じていると言うことです。

相手も私たちと同じようにプレッシャーを抱えていると言うことをまず戦士たちは理解しなければなりません。そこでウォーミングアップを一旦止め選手たちに集合をかけこの話をしました。異様な雰囲気を感じていた選手としても相手もプレッシャーがあることを理解しすれば幾分か表情は和らぎいつもの雰囲気が出始めてきました。


試合開始10分前

試合開始前のウォーミングアップをコートで始める前に会場が満員に近い状況であるということを選手たちは楽しみ始めていました。ベストフォーまで勝ち上がると最終日まで試合をすることができます。全国の高校バスケットの中でも最後まで試合ができるチームが4チームとなるわけです。前評判ではここまで勝ち上がるとは誰も考えていなかったと思います。

高校生は時に大会期間でものすごく成長します。この時チームは正にそれでした。戦うごとにレベルを上げ、自信を付けて堂々と試合をしてきました。それと同時に選手たちはこの状況をより一層楽しめるようになっていました。

楽しまないともったいない。という言葉はここからも来ています。

良い準備ができたと思い後は試合が始まるのを待つばかりでした。


1つ目のミス

私はミスをしました。
選手たちのメンタルコントロールがうまくいっていると思い込みスターティングメンバーのガードの状態をしっかりとフォローすることができていませんでした。

試合開始直後、ガードが本来の動きをせずチームオフェンスが混乱してしまいました。ガード本人も気がつかないほど頭の中が混乱していたようです。ウィンターカップの準決勝はそれほどまでのプレッシャーであると言うことを改めて知ることになりました。

前半のゲーム展開はご存知の通りです。チームの作戦も効果を示しある程度ゲーム的展開としてはこちらの思う通りだったと思います。

2つ目のミスハーフタイムのフォロー

前半を良い形で終えることができ後半戦に備えるためにベンチを離れケアを開始しました。いつもならばこの時前半の修正することや3Qの入り方など選手たちにいくつか注意を伝えるのですがこの時は私がその判断を誤りました。

後半の入り方を気をつけるように伝えることを怠ったのです。

福岡第一のプレスはとても強力でコートサイドで見ていてもそのプレッシャーを感じることができました。選手たちは、気持ちの準備ができておらず後手を踏みました。富永にはボールが渡らずチームはどんどんリズムを狂わされていきました。

トレーナーはコーチのライセンスがなければベンチに入ることができません。またタイムアウトの時も現地に行くことができません。これは現在高校バスケットにおける課題の1つでもあると考えますが選手のフォローアップをするタイミングはそれほど多くありません。

もちろん選手への指導等は戦術における事は一切しません。ただ気持ちの切り替えやメンタル面のフォローなどをする事はあります。

特に今回のような強い相手と戦う時は、精神的な部分のフォローは大きな役割を果たします。

福岡第一戦では後半の終わり方が今までにないほど最悪の状態だったと考えられます。選手の精神的ダメージはかなり残ったことと考えられます。

しかしウインターカップは3位決定戦があります。

以前チームはウィンターカップの3位決定戦に敗れ4位で大会を終えた経験があります。その時、私は精神的な充実があるチームの方が後半は有利であると言うことを学びました。

つまり、福岡第一戦に負けた直後から翌日にあるサイン決定戦に向けたフォローが既に始まっていました。

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