【歌集】平和あれ
皮爛れ水を飢えて彷徨える人群の中母をば探す
焼け焦げた街を逃れて疎開する少女の瞳に映る残像
瞬間に阿鼻地獄なる現実の影の吾れ等の背後に迫る
数十億死せど恐らく麻痺したる惰眠貪る吾が神経の
焼け焦げる北半球の列島で何も言えない言葉が出ない
広島で二十歳の夏の原爆忌余りに悲惨で考えられない
原爆忌祈りの向こうそれはある絶えてしまった思い出の群れ
壊れたる心持て余し夏の空火薬の音が遠く喧しい
狂ひたる天下泰平天晴れな吾狂人ぞ何も云はすな
祭礼は銀河の彼方聞き飽きて地球は僕にどうして欲しい
「イェスウィーキャン!」確かに言ったが駄目だった 危機に瀕するアフガンの空
"Yes, we can!"
I said so but even we
couldn't do that.
Afghanistan is in
desperate crisis.
アメリカとイラクとアフガン泣いていた身の破滅する17の僕
文明の衝突そんな言葉など皆んな忘れた壊れた地球
美しき人達の住むウクライナ憧れの国破壊は一瞬
トルストイ、アイヴァゾフスキー、プーシキン、ロシアを嫌いになれない理由
文化的交流は常に戦争の抑止力となるだから言葉を
平和とは命の尊厳奪はれぬ全ての悲惨癒されし世か
絶望も希望も温い激動は静かに拒む君の命を
原水爆魔王の爪を捥がむとす先師の師子吼未だ鳴り止まず
平和あれこの現世に常しへに並べての悲惨癒されてあれ
追悼す全ての地獄の苦しみに吾決然と目醒めむ時か
人類の行手担はむ吾等かな死屍累々の屍の上で