【歌集】心思 − うらおもい
耐え切れずあの日の星を銃殺す生き血の滲んだ幼い憧憬
惜春の燕が低く飛ぶ午後はレゾンデートルふっと思いて
ごめんやでほんまごめんな堪忍な何ぼあんたが許す言うても
おやすみのキスとハグとで安らいだ幼い僕の星屑の夢
堕落せし薄汚れたるボロ切れの内に潜んだダイヤの塊
貴様には判らぬだらう永劫に判る必要などもないがな
自死したる輩ありて沮喪せる吾を励ます友のありし日
生死をも美醜で分ける理不尽さお前の見つけし光のありしや
誰が為に言の葉一つ笹舟に海迄行けよ遠き陸地に
蝉の歌愛と死とをば織り込みてけたたましくも夏雲届く
真昼日の忌み詞ある炎天に行き交ふ児等の鴉の鳴き真似
泳ぎ切れ・・・ − − − ・・・嵐の中の彼の難破船
僕等もし出会えた日には嘲って汚くなった僕の命を
いつの日か羽化する時は晩秋の寂しい油爆ぜる終末
さよならを言う事もなく出かけたら終わりの季節待っている犬
「君の事分からなくても別に良い」そう言う君を分かろうとする
終わる夏上滑りする言葉だけ終わる世界の最後のパーティー
沈黙は饒舌だった意味もなく君と話そう取り留めもなく
夕まぐれ蜩の歌響く頃かくれんぼする記憶見つけて
狂人は身の程知れと憧れは浮世彷徨う妖怪の群れ
盲ひたる完全な身の闘牛士狂へる身にぞ何をか問はむ
人間が簡単過ぎて詫び入れる貴方が思うよりも場当たり
春秋は一つにならず時折の火花散らして唯の残り火
枯れかけの花に涙を注ぎますそれでも足りぬ血を注ぎます
希望あれ全ての叶わぬ想い達謳え止めを刺される前に