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『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』制作秘話

倉井高志先生の最新刊、『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。

5年前に制作した『なぜローマ法王は世界を動かせるのか』(PHP新書)を書いた元バチカン公使・徳安茂先生の紹介で著者とお会いしたのは、ウクライナ戦争中の今年3月。倉井高志先生は昨年10月までウクライナ大使を務め、現地に駐在していました。以前にはロシア公使も務めていて、ウクライナとロシアの両国事情に精通する数少ない日本人の一人です。ゼレンスキー大統領とも面識があり、ウクライナの知人・友人と長年、交流を重ねてきました。

出版を決めた1カ月後のゴールデンウィークに、なんと全文が完成。異例のスピード出版となりました。最初に読んで感じた印象は、まさに「知らないことばかりだ」。
たとえば、日本から遠い国のイメージがあるウクライナですが、人道支援に関してじつは日本が最大のウクライナ援助国であったことを、みなさんはご存じでしょうか。2014年のマイダン革命(ロシアと接近したヤヌーコヴィチ大統領を国外に追い出した革命)以降でみると18億ドル、1991年のウクライナ独立以降では31億ドル以上のウクライナ支援を行なってきたそうです。この国において日本は特別の存在になっており、日本文化に対する関心も高いとのこと。
さらに、2022年は日ウクライナ外交関係樹立30周年にあたります。在ウクライナ大使館は、文化行事などで記念すべき年を盛り上げたいと考え、何度も議論を重ねてきたそうです。その矢先に、まさかの対ロシア戦争。関係者の思いは、想像するに余りあるものがあります。日本人として私たちはいま、ウクライナ人のためにできることを考えるべきではないでしょうか。
ロシアの軍事侵攻に対し、ウクライナ人が「最後まで戦う」という覚悟で抵抗を続ける精神的な背景には、ロシアとの歴史的関係、なかんずく近年のロシアによるウクライナへの仕打ちに対する思いがある、と著者は述べます。その「覚悟」「仕打ち」が何であったのかについて、ぜひ本書をお読みいただければと思います。

第一事業制作局 ビジネス・教養出版部 白地利成