書店員さまが選ぶ! 当店のイチオシ
「54字の物語」シリーズ 氏田雄介著
ジュンク堂書店 藤沢店 児童書ご担当 鈴木沙織さま
取材・文=東部書店普及部 東部書店普及課 瀬田成俊
当店は、JR東海道線・小田急江ノ島藤沢駅に連結する商業ビルの7階・8階にあります。また江ノ島電鉄藤沢駅からも徒歩5分と、便利な場所です。
平日の午前中はご年配のお客さま、夕方からは学生・仕事帰りのお客さま、休日は家族連れのお客さまと、日々の時間帯によって異なった幅広い客層のお客さまにご利用いただいています。
今回、私がお勧めする書籍は「54字の物語」シリーズです。私が本書の大きな可能性を知るきっかけとなったのは、文芸書の担当者から「この本を児童書コーナーだけじゃなくて、一等地で仕掛けてみたら売れるのでは?」とアドバイスをもらったことでした。テレビの人気クイズ番組でもよく採り上げらえているから、と。
たしかに、どんどんと読み進められる簡潔なつくりの本なので、「これは児童書以外の客層にも、アピール次第で売れるかもしれない」と感じました。
展開場所は、レジ前近くの文庫の棚のエンド前に机を置き、シリーズの1巻目と最新刊(当時)である『54字の物語』『54字の百物語』の2点を積んで、パネルを用意して展開しました。初月から売れはじめて、5カ月間で2点累計105冊の実売、継続して売れ続けています(『54字の物語』は初月から4カ月連続の販売冊数が全国一だったと、あとで聞いて驚きました)。
本書が売れ続けている理由は、解説を読むとハッとする秘密が文章に隠されているところにあると思います。そのため、普段あまり本を読み慣れていない方でも、お話を読む楽しさを実感できるからではないでしょうか。児童書のお客さまだけでなく、幅広い客層に「こんな面白い本もありますよ!」という提案がうまく伝わり、たいへん嬉しく感じています。
この文章が公開されるころには発刊されていますが、シリーズ最新作『旅する54字の物語』が楽しみです。いま、「旅」にちなんで旅行ガイドとコラボフェアなども面白いのではないかと、いろいろと展開方法について考えているところです。
昨年はコロナの影響でたいへんな一年でした、そんななかでもたくさんのお客さまに足を運んでいただき、あらためて「本」という商品の力強さや柔軟性を感じました。コロナの状況が落ち着き、娯楽の選択肢が増える世の中に戻っても、ずっと選び続けてもらえるような地域の本屋でありたいと思います。