私が人生で1番、後悔している事
私が初めて一眼レフを手に入れたのは、確か23歳くらいの秋。
知人が所有していたMINOLTAの一眼レフ。フィルムカメラ。
嬉しくて、早く試してみたくて。
私はカメラを貰ってすぐ、mixiで知り合ったある女性に連絡を取りました。
彼女は当時、仙台でモデルとして活動を始めるところで、styleも良く手足もすらっと長くて、とても綺麗な人でした。会ったことはなくmixiだけのやりたりだったけど「カメラを手に入れたのでモデルさんしてください!」という無茶振りに快く答えてくれました
そして約束の当日17時。道すがら新しいフィルムを買って装填。わくわくしながら待ち合わせ場所に向かいました。
やってきた彼女は、写真で見る以上に綺麗な…正直、病的に細く見えました。
待ち合わせしたSS30は、その頃の仙台の、正統派ポートレート撮影のスポットといいますか。シンプルかつデザイン的に湾曲した壁があったり、流れる水があってライトアップされてたり、モデルさんがとてもスタイリッシュに撮れる場所。私自身も何度もそこでモデルをしたことがありました。
だからね「ここオススメなんですよ」なんて話をしながら、歩いて撮影してたんです。
にこにこ応じてくれる彼女。でもね、当時の私は知らなかったんです。
フィルムには感度というものがあって、夜は暗いから感度の高いフィルムじゃないと撮れないこと。撮れたとしても、シャッタースピードが長くなるから手ブレに充分気をつけないといけないこと。
そうとは知らずにフィルム一本使い切り「じゃーこのままスピードプリントに出すので、一緒にお酒でも飲みながら待ちましょう」と言って、フィルムをプリント屋さんに出して、近くの飲食店に入りました
食事する間、彼女は色々な話を聞かせてくれました。病気のこと、夜も働き始めたこと、今の彼氏のこと、実家は衣川というとても星のきれいな街だということ。
終始穏やかで、私と出会えたこの日を大事にしようとしてくれてる事が伝わってきました
そうこうしているうちに時間がたち、プリントが出来上がる時刻になったので、私は一旦店を出てプリントを受け取り、ふたりでわくわくしながらプリントされた写真を見てみました
結果はもう😭
フィルムが夜も使うものじゃなかったんだもん
暗くて全然だめだったり、
かろうじて顔が明るいものも
思い切り手ブレしてたり
せっかく来てもらったのに、楽しくすごさせてもらったのに…泣きそうなくらい落ち込む私を彼女は、おんなじ様に暖かく励ましてくれて、
また会おうね、上手くなるね と約束して、その日は終わりました
しばらくして、彼女に連絡を取ってみましたが何日経っても返事がありませんでした。ブログもmixiも更新すらログインの跡すらなく。
そしてなんとなく嫌な予感がして、mixiの友達リストから、彼女の彼氏っぽい人を見つけて連絡しました。「以前撮らせてもらったものですが、彼女と連絡がつかないんです。元気ですか?」
そこからまた、何日か経って、その方から連絡が来ました。
「彼女がどうしているか僕は知ってます。ただ重い話になりますが聞きますか?」「はい」そんなメッセージのやりとりが何度か続いて
前々から苦しんでいた心の病気が悪い方向に動いて、彼女が自殺してしまったことを知りました。
私と撮影してから、1、2週間後。携帯電話の待受は、私と一緒のプリクラの写真だったそうです。
その後、彼氏さんの紹介で、星がきれいな町に眠る彼女の実家を訪問させていただきました。私が撮った下手くそな写真は、ネガごと、ご両親にお渡ししました。どんな写真でも彼女が写っているものは全部欲しいというので。
もっと私が、綺麗に撮ってあげられたら。
また会いたいと彼女が強く思ってくれたら。
ちゃんと彼女を喜ばせてあげられたら。
自分の未熟さへの後悔の気持ちは今でもなくなりません。
そして
これからだって
そういう瞬間はきっと来てしまう
秋。
多分、そろそろ彼女の命日。
死後かなり経過して見つかったので正確には分からない。
あの時は想像もつかなかったけど
私は今、
人しか撮らないカメラマンをしています