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透明感のある50mmで殴っていく。~Z50mmF1.8~

最近50mmの画角が難しいと感じる。

僕は50mm帯のレンズが大好きで、AFだろうがMFだろうが最新だろうがオールドだろうが関係なく基本的に50mm帯を使ってきた。そんな50mm大好き人間だったんだけど、35mmや85mmのレンズを送ってもらったんですよね。案件です。

どっちもYouTubeでかなり話題になったレンズで、連絡頂いたときは飛びついたんだけど、まあ使ってみると撮りにくい。35mmは何撮ってるのか分からないぼんやりした感じになるし、85mmは逆に日の丸構図しか撮れない。

そんなレンズたちを四苦八苦しながら使って、久々に50mmに戻るとめっちゃ50mmが難しい。

35mmは広角っぽく撮ったり、背景にパースを効かせてデフォルメ感を楽しむことが出来る。85mmは圧倒的なボケ感や圧縮効果を得ることが出来る。50mmのレンズって、ちょうどその中間なんですよね。人間の目に見える自然な画角に近いってことは、逆を言えばデフォルメ感がない。本当に見たまんまの自然な感じに写る。だから、自分が「撮りたい!」と思う感性が写真の魅力に直結する。

これ、めっちゃ難しいなって。てか、50mmばっかり使ってときには気が付かなかった。ありのまま、見たままで勝負するってすごく勇気がいる。オールドレンズとかクセのある描写をするレンズを好んで使っていたのも気が付かなかった理由の一つかもしれない。

で、今までだったらクセ玉に逃げて一件落着なんだけど、今回は写真が上達するチャンスかもしれないと思い、いつもと逆のアプローチをしてみた。

50mmっていうデフォルメ感のない画角に対し、レンズの描写も無味無臭。ありのままを透明感たっぷりに写してくれるレンズ、Z 50mm F1.8を導入した。

画角のデフォルメ感がないのなら、おなじ無味無臭方向でとんでもなくクリアな描写をするZ50mmF1.8で殴っていこうってスタンス。結局レンズの力に頼る点はオールド頼りだったときと変わらないけど、このレンズの難易度はかなり高いと思う。

もちろんボケはきれいだし解像感は高いから、被写体によって撮ればただのプランターだってなんだかフォトジェニックになる。

でも、ちゃんと考えないと「なんだかよく分からない写真」が量産される。もちろん透明感と解像感がものすごく高いので「スキャンした写真」みたいにはなるのだけど、それだけ。別になんだかよく分からない。

35mmや85mmは画角そのものに難しさがあって、さらに工夫することでデフォルメ感というか「非日常感」が出たから、その分一枚一枚結構しっかり考えて撮ってた気がする。

だから50mmでもちゃんと考えて撮る必要があるんだけど、50mmでしっかり考えて撮るって、35mmや85mmよりも難しい気がする。なんせ見たまんまの画角だから。デフォルメ感に頼ることが出来ない。「何に魅力を感じたか?」「何を残したかったか?」がそのまま写真に直結する。難しい。

でも、Z50mmF1.8はちゃんと撮れたときのあたりがすごく大きい。

余分な味付けがない分、本当に自分が「この光景、いいな」と思ったそのまんまを残してくれる。(正確にはだいぶきれいで大きいボケをセットで残してくれる。)

難しい50mmの画角だからこその、あたったときの攻撃力がめっちゃ高い武器でぶん殴っていく感じ。

もしかしたら「スナップの爽快感」って部分だとちょっと低めのレンズかもしれないけど、写真の修行にはちょうどいい。スナップするのにはちょっとだけ大きくて重たいレンズなのも修行っぽくていい。

修行したい人にはおすすめのレンズ。

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