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35mmの難しさは「中途半端な情報量」ってところ。
35mmって標準画角として人気な反面、苦手とする人も多いですよね。よく50mmと35mmでどっちが標準画角かって議論も聞きます。
僕の感覚だと35mmって当たる時めっちゃ当たるんですよ。特に開放F値が小さくて良い描写をする35mmレンズで当たるとマジで自分の写真が2段階くらいうまくなったと錯覚します。
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ただね、その打率がめちゃくちゃ低いんですよね。ストレートに言えば失敗写真を量産します。この当たりの少なさが難しさを感じるポイントなのかもしれない。
で、なんでこの難しさが生じるのかって考えたら、35mmのレンズは「中途半端な情報量」を切り取る画角だなって気づきました。
24mmより狭く。50mmより広く。
当たり前なんですが、35mmは24mmより狭いし、50mmよりは広いです。
なので、レンズの特徴を箇条書きにすると以下のようになります。
・広角として使おうと思うと予想以上に狭く、切り取りたい光景の一部しか切り取れない。
・そのくせ、気をつけないとパースがついて歪みが生じる。
・50mmよりは広いので、中途半端な距離で撮ると余計な情報が増える。
・ボケの量も同じF値の50mmには負ける。
なので、何も考えないで適当に撮ると情報をたくさんいれることも制限することも出来ない、なんとも中途半端な写真になるんですよね。
この写真なんかはまさに35mmの画角を見誤ったもの。
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モップのアシンメトリーな感じが面白いなと思って撮ったのですが、35mmだと被写体との距離が離れすぎていたため、モップは画角の中で非常に小さく、周辺に余計な情報が入っています。(ちなみに、これは歩道橋から撮った写真なのでこれ以上距離を詰めることが出来ませんでした。)
一方、この写真を50mmくらいの画角までクロップするとこんな感じ。
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35mmのときに比べ、被写体がよりクローズアップされ、周辺の情報もスッキリしたため写真としてまとまりが出ました。
一方今度は広角として使おうとした場合の失敗例。
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この写真は天井から優しい光が入ってきている温室の全体像を捉えたかったのですが、画角の狭さから一部分のみしか入らず、結果すごく平面的な写真になってしまいました。(ここもスペースの関係でこれ以上は後ろに引けず。)
35mmってレンズは、24mmよりは狭いから広角として使うには被写体との距離をしっかり取らないといけない。逆に50mmよりは広いから、標準レンズとして主題をはっきりさせるためにはいつもより寄らないといけない。
この、絶妙にどっちつかづな画角なので被写体との距離感の掴み方や、距離を調整出来ない時の切り取りが難しく、結果として中途半端な情報量になってしまうのが失敗写真を量産する原因だなと。
「空気感」を切り取るには最高の画角
これまで書いた内容だと、完全に35mmはいらない子だと思うんですよ。24mmや50mmがあればいい。ただ、なんでこんなに多くの人を惹きつけるかというと、それは「空気感」を切り取るのに一番適した画角なんですよね。
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50mmの画角より一回り外側まで写してくれるということは、被写体の周囲の環境まで写してくれるということ。その周囲の情報があると、僕達の脳はよりリアルに写真から読み取る情報を補完してくれる。僕はこれが35mmの空気感の正体だと思ってます。
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肉眼で見たときの周辺視野を切り取るような感じなので、その印象も脳内での空気感の補完に一役買っている感じがする。
しっかりと距離を取れる場所なら、風景を撮っても広角より「その場の空気感」を感じる。
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結局は距離感次第か?
ここまで書いていて、結局35mmという焦点距離を使いこなすためには「被写体との距離感」が一番大事何じゃないかと気が付きました。
しっかり情報を整理しきれる距離を保つことで、その場の空気感まで切り取っていく。これが35mmレンズと付き合うために必要だなと。35mmのレンズって、M型Leicaを使っている人が好むイメージがあったのですが、なんとなく納得。
この画角もまた、使いこなすと写真がめちゃくちゃ上達する画角だと思うので、積極的に使っていこう。