数分間のエールを
きっかけはなんだっただろうか。
ヨルシカさんのMVで知ったんだと思う。
普段はMVを見てもその制作者のことまで調べたりしないけれど、その時はなぜか調べて、ぽぷりかさんの作った映像を片っ端から見た覚えがある。
それから数年、ぽぷりかさん、映画作ってるってのを目にして、見たいな〜って思って見に行った。
Twitterのタイムラインではちらちら上がる絵、でも他の情報は見ないようにして、映画館に行ってから全部感じようと思って。
結論からいうと、あまりにも良かった。でも苦しかった。でも、それでも元気になった。
彼方のものづくりに向かう姿勢は、こうありたかった、こんな気持ちで作っていたい。ってなるし、織重先生の積み上げても積み上げてもどこにも届かなくて、やめてしまおうか、の葛藤、あともう少しの感情、どれほどの夜を超えて100曲積み上げたのか。そんなのを想像して苦しくもなったし、お前は才能があっていいよな、なんて言われたトノのきもちたるや。そうだよな、才能なんてものが本当にあったらいいよかったのにな…なんて思ったりもする。
積み上げた努力は自分のためで、自分に才能があるなんて思えないからこそただ積み上げるしかできなくて、でもうまくいかなくて。
三者三様の感情移入でバグってました。
あと曲も良すぎる。
100曲、全部聞きたい。
その後の(という設定の)曲も良い。
曲の雰囲気の違いが時間を感じられてそれだけでまた泣ける。
彼方が織重先生の曲を最初に聞いて、衝撃を受けた時、その映像を作りたいって話す姿とかあんまりにも良くて、わかる〜ってなってた。
実際に作り始めて、歌詞考察だとか、キャラデザとか、背景だとか世界観だとか作ってる姿、細かいところまで写実的なんだけどイメージも入り混じってて、一つの世界を作ってる感じが没入している彼方の気持ちを見てるみたいで見てて楽しい気持ちになったし、つくりて〜って気持ちにさせられた。
熱量がすごい。
二本目に作り直したMV、思わず手に力入って呼吸も忘れるくらいで、苦しい、それでも、それでもって感情がすごい伝わってくる。
先生は今まさに諦めてしまった。けど、まだ胸に灯る火はあるかもしれない。筆を置いて去っていく人。自分との戦い。
行進をやめないで、はもしかしたら自分に言ってたんだろうか。
いろんなことを考えて、考えて、作り上げたMVだったんだろうなあ。
MVだけ見てもたぶん泣いたと思うけど、映画を見てそのバックグラウンドを知ったからこそより深く刺さってしまった。
こういうのって多くの創作にも言えるよな〜なんて思った。作品自体に良さもあるけど、製作者の背景を知るとより深く刺さる。
時系列バラバラになってしまったけど、多くのクリエイターに見てほしい映画でした。
単純に映像としても素晴らしいと思ったし、コマの切り替えの仕方、制作風景の表現の仕方、雨の色とか跳ね方とか、MVの視点とか…上げればキリがないけど。BGMとか環境音とか声の位置どりとかも自然なのに臨場感あるし。ストーリーも人物の感情も背景も一つ一つに物語を感じて、言葉にするのも難しい。この感情だけひとつもって、自分自身の灯火としたい。
円盤出たら買います。