画素数マシマシアプリの比較
精密描写の為には、より画素数の多いデジタルカメラが必要ですが、とても高価になり容易には購入できません。
魅力的ではある高画素ですが、写真を楽しむ上で必要でしょうか、疑問も残ります。
少々トリミングして最大でもA3程度にプリントして不足を感じないレベルは、最も機種数の多い2400万画素付近ですね。
とはいえ、より高画素、高精細描写への興味はつきません
そこで今回は「リサイズアプリ」「アップスケールアプリ」「スーパー解像度」等々と称される手法をいくつか比較します。
1)Adobe CameraRAW 拡張機能「スーパー解像力」
2)総合画像加工アプリ「Luminar NEO」
3)専門職的加工アプリ「TOPAZ Photo AI」
4)RAW現像をDPP(Canon純正)+TOPAZ Photo AI
1〜3はRAW現像とリサイズ(アップスケール)を同時に行い、4は現像にはDPPを使用し、アップスケールはTOPAZ Photo AIを連携して使用
それぞれに特徴があり興味深い結果となりました
サンプルのデータは、EOS R5 RF24-50mm F4.5-6.3 IS STMで撮影。撮影したRAWの形式はCR3です。
アップスケール前の4500万画素データは以下のリンクからダウンロード出来ます
1)AdobeCameraRAW 拡張機能 「スーパー解像度」
Photoshop2025のCameraRAWでは、「ディテール」調整の中に「スーパー解像度」のチェックボックスがあり、そのまま現像作業も出来るし、DNG形式のRAWファイルを書き出すことが出来ます。
演算終了後「完了」ボタンでウインドウを閉じると、CR3ファイルのEXIF情報では、16384x10928ピクセルとなりますが、ファイル容量に変化は見られません。
現像した結果の部分を3カ所抜き出した画像が以下です
拡大により細部が甘くなる程度は確かに少ないですが、Photoshop 内で画像解像度による拡大処理と大差ない印象
高い有効性は見いだせません
2)総合画像加工アプリ「Luminar NEO」
追加有料の拡張機能によって「アップスケール」が選択できます
X2を選択し現像後の部分を3カ所抜き出しました
LuminarNEOではRAW現像時にAdobeCameraRAWのような、様々なパラメータ調整が可能です。アップスケール時のパラメータは倍率だけです
鮮明度においてAdobeCameraRAWと大差なく、細部の鮮明さは少し改善された程度にとどまります。
同時にLuminarNEOのもつ多彩なエフェクトを利用したい場合は、現像と同時に適用できる点は大きなメリットです。
3)専門職的加工アプリ「TOPAZ Photo AI」
アップスケール、ノイズ除去、シャープネスの機能を統合したアプリで、RAWファイルを直接扱うことが出来ますが、RAW現像時のWBや明るさ、階調調整等、普通に出来そうな調整は出来ません。AIによる画像診断を最初におこない、適切なパラメータをアプリが設定してくれます。機能を限定してますが非常に強力なツールです
X2倍で処理した画像の3カ所を抜き出しました
細部の切れの良さは見事で、被写体によっては拡大処理した事が全く分かりません。しかし、RAW現像アプリで備わるべき機能が全くないので、レンズ収差のRAW現像時補正やRAW現像アプリに備わる、明るさ、WB、階調、色彩等の当たり前の調整が出来ないのです。後から階調補正、色補正をPhotoshopで補正するには、RAW現像時の調整に比べ同等の結果を得る事は難しいでしょう。
4)RAW現像をDPP(Canon純正)+TOPAZ Photo AI
Canon純正のRAW現像アプリDPPを使って、階調やWBを含む色彩調整を行った後に、TOPAZ Photo AIによってアップスケースした場合は以下の結果です
DPPによる現像時アップスケールは、長辺が9999ピクセルという制限があり、もともと8000ピクセルを超えるR5のデータでは、意味がありません。小画素のカメラであっても、アップスケール時に特別なアルゴリズムは持ってないようで、有効性は期待できないと思われます。
DPP現像時に注意した点は、シャープネス調整です。一般的にはデフォルト設定の「アンシャープマスク」を選択しますが、後からTOPAZ Photo AIを使用するならば、より線の細い「シャープ」を使う方が繊細で良い結果が得られました。
TOPAZ Photo AI単独では出来なかった、収差補正や階調、色彩調整が行われた上にアップスケールが繊細に加わった結果、16000 x 10000ピクセルにふさわしい画像となりました。
まとめて4種を並べます
部分データのダウンロードも可能です
拡大処理の出来るアプリが他にも多数あると思いますが、収差補正や色彩、WB、階調、明るさ補正も同時に最適に行えるアプリは確認出来ていません。
今回のテストでは4500万画素のR5を使用していますが、4000万画素を超える必要頻度が少なく、普段は2400万画素クラスで十分だが、時々もっと緻密に仕上げたいと思われる人は、高画素機購入を悩む前に一度試してみても良いと思います。
写真を楽しむ場合でも仕事で撮影する場合でも、高画素機に踏み切るには大きな投資を強いられます。先進的なアプリで許容できるならどんなにかお財布に優しいことでしょうか。
投資金額は少なく見積もっても半分なので悩みますね