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【試し読み】ぱちんこカルチャー入門編:はじめに
有料マガジン掲載記事の試し読みと同内容です!
春頃からぱちんこ(パチンコ・パチスロの総称として文中では扱う)に関する文章を書こうと試行錯誤してきた。地方も都会も関係なく日本全土にパチンコホールがあり、全国チェーンもあれば、地方ローカルもあるという特徴や、扱うコンテンツやシステムの豊かさを踏まえた時、いちカルチャーとして述べられる必要があると感じ、文章としてまとめている。
普段note記事を有料化することはないのだが、題材を鑑み、小景品1枚分の価値を定めたマガジンに掲載することにした。前置きが長くなるが、無料部分でしか参考文献や記述の意図などを載せられるタイミングがないため、ご容赦いただきたい。尚、当然のことながら文章に対しての批判や、有料パート含む文章の引用や言及について禁止しない。
※筆者が居住する北海道において小景品は500円、中景品は1000円、大景品は5000円の価値がある。都道府県によっては後述する三店方式で換金できる景品の最低価格が2,000円というところもある。国の諸官庁が管轄している公営ギャンブルと異なり、ぱちんこは都道府県公安委員会(つまりは、都道府県警)所管のため、地域差のある文化となっている。おそらく、性風俗も同様に風営法によって定められるもののため、地域色があるのだろう。ホールの営業時間についても、地域のイベント期間(札幌市であれば、雪まつりなど)で延長するなど、地方独特なものがある。地方文化としても興味深いが、これ以上本論では触れる機会がないため、ここにtips的に記す。※
筆者は、ぱちんこを遊び始めて1年程度にすぎないため、法改正や社会的な変化についてはあまり詳しくない。いわゆるニワカではあるが『新装版パチンコ滅亡論』(大崎一万発/ヒロシ・ヤング、2021年、扶桑社、以下『パチンコ滅亡論』)、『パチンコ利権』(宇佐美典也、2019年、ワニブックス)やWeb上のぱちんこメディア、コラムなどをベースに歴史や概観を押さえ、現在のぱちんこカルチャーについて考える。制度を語る、歴史を紹介するではなく、カルチャーについて考える、としているのは、マニアックなことを知っている、価値があると証明し認めさせる、ということを目的にしていないからである。あなたが好きなコンテンツと同じく、ぱちんこにも大枠から細部まで意味があること、読み取れることを示したい。
新装版パチンコ滅亡論/扶桑社
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594088293
本文に先立ち、注意書き的に記載するが、これはぱちんこが他の遊びや賭博と比較して優れていると述べるものではないし、当然のめり込むことを推奨するものでもない。前述した『新装版パチンコ滅亡論』『パチンコ利権』ともに、ぱちんこをプレイすること自体には肯定的な目線もあるが、依存が発生する機序や、射幸心を煽るような仕組みを用意し続ける業界の対応については辛辣な面もある。それでも体験してみたい、というのであれば『パチンコ利権』で宇佐美が書いているように、ゲームセンター等にある遊技機を触ってみるだとか、ホールで低貸(1円パチンコ、5円スロット等)のものを触ってみてもよいだろう。
※所詮演出が派手な確率抽選機だなと思える人に限る。確率に波があるとか、次は勝ちたいという気持ちが強くなってしまいがちな人や、ブラインド商品やスマホゲームのガチャを当たるまで回すタイプの人には、強く推奨しない※
文章を書くにあたり、アプローチとして『監殺』(古野まほろ、2015、KADOKAWA)やSammyのサイトで取り扱われる風営法・風営法施行規則・遊技機規則・内規などを軸に述べることや、『【座談会】若手パチンカーに聞く! アニメパチンコ座談会──物語を確率へとひらくメディアミックス、以下、若手パチンカー座談会』(早稲田大学負けヒロイン研究会、2022年8月13日、週末批評)をベースにした確率論的リアリズムの今について述べること、はたまた『ゲンロン8』(ゲンロン、2018、東浩紀編集長)の共同討議題にもズバリ入っている部分からゲームとしてのぱちんこを述べることも考えた。
それぞれについて、書き出してはうまく着地を見出せずにボツ原稿を積み上げて半年が経とうとしている。悩んでいるうちに、何が書きたいかわからなくなるので、整理は別にして、考えていることを書いていくことにした。
好きなコンテンツがぱちんこになってしまった!許せん!と義憤に駆られたり、失望したり、プレイされることを嫌悪する気持ちは理解する。しかし、それは酒や煙草が健康に悪いから悪であり、文化なんてないと無条件に爪弾きにすることと似た行為である。「酒や煙草」は「マンガ、アニメ、ゲーム、娯楽小説、収集行為」にも置き換えられる。自分の好きなものに対しての偏見に満ちた言葉と同じものを、ぱちんこに対して向けてよかったかどうかを見返す契機になれば幸いである。
文中では言及しないが、基礎知識的に触れた資料について並べておく。このほか、風営法の概論などを読むべきだったかもしれないが、今後の自分に期待しておく。
本論を書いている間に『少女☆歌劇レヴュースタァライト』のパチスロ化が判明した。これについて関連する記事もここに並べておく。
大分長くなってしまった。はじめよう。
敗戦という有史以来の大打撃を受け、経済的、精神的に暗澹たる無気力な状態にあるとき、ぱちんこ遊技が多くの人のリクリエーションとなり、娯楽となって、明日への意欲を奮い立たせたこともあったと思われる
『パチンコ利権』より孫引き
2024/11/07 ver.1.0 公開
続きは以下のマガジンから。
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ぱちんこカルチャー入門編
ぱちんこ文化について、いくつかの視点から評論的に述べたテキスト集。攻略情報や実戦情報などは特にないです。
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