はじめてのフルコースと「魔法を召し上がれ」
雲海チャレンジは失敗に終わっています。どうも、神山です。
先日、初めてトマムリゾートに宿泊して、フルコースを堪能しました。オーソドックスなテーブルマナーのあるフレンチのフルコースよりカジュアルよりだけど、ちゃんとしたフルコースでした。そりゃそうだ。
食べながら、過去に読んだ本を思い出したので、その本についての感想記事を作ろうかと思います。はやみね考察待ってる人ごめんね・・・。令夢とほかの赤い夢の話、ちゃんとやるから・・・。
港町のレストランでテーブルマジシャンとして働いていた主人公ヒカルと、老マジシャンから預けられた少年ロボットミチルの物語。帯文のキャッチフレーズは「マジシャンはノーと言ってはいけない。相手が恋人を殺した男でも」。
作者は「パラサイト・イヴ」「デカルトの密室」「小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団」の瀬名英明。生物とかロボットとかにまつわるSFを多く執筆している作家です。ぼくも彼のロボットものはいくつか読んでおり、この「魔法を召し上がれ」も、それらとのリンクが少しだけあったかと思います。
フルコースを食べながら、並べられる食器類や演出など、それぞれにちゃんと意味があり、コース料理がひとつの物語になっていることを認識しながら、「魔法を召し上がれ」のなかで、それらの演出のひとつとしてマジックと高度なテクノロジーが同居し、料理が振る舞われることが、一線上にあることを感じていました。
物語は4つの中編から成り、それぞれのなかでヒカルとミチルの成長と、全体を通して語られる「かつての恋人の死の謎」。料理とマジックの演出の語り、登場するレストランやその客とのかかわりのなかで、ヒカルは様々な可能性に出会い、選択してゆきます。
瀬名の作品はそれが人間にせよロボットにせよ、丁寧にジュブナイルをやっていく、少年少女が大人になっていく中での物語をやっていきます。ヘビーに見える長編ですが、それこそコース料理のように、終わってみれば必要十分な分量とペースでのエンターテイメントを提供してくれます。作家が物語を紡ぐのも魔法の一種、どうぞご賞味あれ。
ではでは。