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映画 正欲(ネタバレあり)

朝井リョウさんの原作を映画化した『正欲』を早速観てきた。
新垣結衣さん主演ということで超期待していた。
(推しの御家族という事ももちろん大きい)

結論から言うと私は好き!
自信を持っておすすめ出来る。
皆が好きかは知らんけど
それでもおすすめします。
注)以後大いにネタバレありです。

映画化が発表されてすぐに原作を読んだ。
これは読んでおくべき作品だと思ったし傑作だとも思った。
しかし正直に言うと好みのタイプの作品ではなかった。
他の朝井さんの作品を読んでいないので何とも言えないが、原作は言葉がとても尖っているようで読んでいて何だか痛かった。
私にはえぐみが強すぎて苦い印象の方が強く残ってしまったのかもしれない。

原作はそんな印象だったけれど映画ではそのえぐみ成分がかなり抑えめになっていて私にとってはとても喉を通りやすい作品になっていた。
その分受け取れたものも多かったように感じる。

全編を通じてキーワードになる「水」
冒頭の夏月のシーンで端的に「性欲」と「水」を結び付けていて原作読んでるから知ってるはずだけど衝撃を受けた。
この後も何度も登場する水の描写はどのシーンもとても美しかった。
余談だけど番宣で結衣ちゃんは外着のままソファに座るのが絶対許せないと言ってたから夏月ちゃんとはお友達になれないねと思った(笑)

夏月の食事シーンが何度も出てくるけど前半のその食べ方のがさつさに驚いた。
とても食事を楽しんでるようには見えずとりあえず生きるために仕方なく食べてるようでそこは痛々しかったな。
それに対して佳道と手を組んだ後はちゃんと咀嚼して食べているように見えた。目の前にいる相手をみて笑顔なのを見て何だか泣けてきた。

原作にはない啓喜と夏月が街中で出会うシーン。
ラストまで見るとこのシーンの重要性がよくわかる。
ここで夏月は啓喜から既婚者に見られたことに(=普通の人に見られたこと)とても喜んでいた。きっとこの世界でうまく擬態できているんだと思ったのだろう。
そしてラストの事情聴取。
ここでは啓喜から「有り得ない(=普通でない)」と切り捨てられた。
先の街中シーンとの対比のグロテスクな事ったらありゃしない。
さらにラストシーンにはもう一つ別の対比構造があって、普通の家族だった啓喜は妻子が「いなくなった」のに対し、とあるきっかけで小児性愛の疑いで逮捕されてしまった佳道への伝言として「いなくならないから」と言う夏月。思わず背筋がぞくっとした。

原作との違いに注目すると、原作は多様性の表現が個々に描かれているのに対して映画は人と人の繋がりによりフォーカスを当てているように感じた。
ただ結構人とのつながりが強調されていたので今一人でいる人が見たら辛くならないだろうかとは思った。

あと大也と八重子のシーンは原作ではもっとしっかり描かれていたけれど映画ではかなり割愛されていたので原作を知らない人には少し関係性がわかりにくいかな。

設定の違いや映画では描かれなかった部分はあるけれど、あのモノローグ多めな原作を見事に映像化した脚本は本当に素晴らしいと思うし、その演出や役者陣のお芝居もめちゃくちゃよかったです。

ライブビューイングで公開記念舞台挨拶も見ることが出来たけど、さっきまでモノクロでマットな目をしてスクリーンにいた人たちが役を降りた舞台の上ではキラキラ光り輝いていてその違いがすごかった(笑)

稲垣吾郎さん
新垣結衣さん
磯村勇斗さん
佐藤寛太さん
東野絢香さん

皆さん本当に素晴らしいお芝居でした。

さてここからは新垣結衣さん(とご家族のあの方について)。
以前からずっと思っていたけど彼女については外見の良さが逆にあだとなって彼女のお芝居への世の中の評価が低すぎると一人で憤慨していた。

今作でも新境地とか言われているけどそういう役に巡り合わなかっただけでこれまでもずっと役に合わせた新境地を切り開いていらっしゃったと思う。
このあたりについてはご本人が数々のインタビューで答えていた内容にとても納得した。

でももし結婚を機に鶴瓶さんの言葉じゃないけど自由になって今まで以上にのびのびとお芝居できるようになったのであればそれはそれでうれしい。

映画の内容もそうだけどインタビューで答えている内容も根っこの部分がご家族がこれまで発信してきたことと同じなのでどうしても後ろに背後霊が見えちゃう。勝手に背後霊にしてごめんなさい。

作中のセックス(の真似)シーンで正常位を、なにこれ変態じゃんって言うセリフにあの人を思い出さずにはいられなかった。

源さんも一視聴者としてもう見たかしら?
感想聞きたい。

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