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[プロンプト配布] 生成AIでユーザーインタビューを実施|DX風林火山【火の術】壱の巻⑬
はじめに
皆様、こんにちは!
株式会社フォネット 教育事業部 ICT/DX推進課の長田(おさだ)です。
このDX風林火山シリーズでは、フォネットが社内DXで実行したノウハウを手順書としてまとめて公開しております!
ご利用にあたって
企業・行政・教育機関など、あらゆる組織のDX推進に無料でご活用いただけます。
内容のブラッシュアップのために、コメント欄で感想やフィードバックを頂けると幸いです!
著作権は株式会社フォネットに帰属しますので、自組織外向けにご利用になる際は、著作権者の許諾が必要です。
▼前回
【火の術】壱の巻:実践!生成AI×ビジネスDX
ワークショップの全体像
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※〇月という表記は、社内でワークショップを毎月実施する場合の目安です。
このワークショップの目的
実践的なワークを通して生成AIの活用スキルを身に着ける
ビジネスモデルのDXに必要なマーケティングアプローチを実践から学ぶ
(座学より手を動かすことを重視)
ワークショップの流れ
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テーマと目標設定
テーマに関する簡単な解説
1回3つのToDoとそれに基づくプロンプトを配布
配付されたプロンプトを使い、個人で実践
プロンプトと生成内容をドキュメントに転記・保管
習うより慣れよ…ということで、早速やってみましょう!
テーマ:顧客課題へのフィット検証
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目標
ビジネスアイデアが顧客課題にフィットしているか検証する
ToDo
ペルソナシート量産:多様な視点を獲得し、ビジネスの可能性を広げる
ジャベリンボード作成:ビジネス開発成功のための仮説を検証する
プロブレムインタビュー実施:ビジネスが成立するための前提条件をインタビューで確認する
今回は、
3. プロブレムインタビュー実施:ビジネスが成立するための前提条件をインタビューで確認する
を実践します!
3. ビジネスが成立するための前提条件をインタビューで確認する
ジャベリンボードの残りのマスを埋める
前回は、前回はジャベリンボードの分析から仮説を導き出すところまで完了しました。
「最も検証すべき(不確かな)前提条件」が特定され、今回はその前提条件が成り立つかどうかを検証する段階です。
検証方法・検証基準の設定も完了しており、インタビュー項目が手元にあります。
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生成AIを使ってインタビューをする際の注意点
1. 誘導尋問を避ける:
生成AIは質問に対してポジティブに答える傾向があり、批判的な意見が出にくいという特徴があります。
これは実際のユーザーインタビューでも気をつけるべき点ですが、生成AIの場合はより慎重になる必要があります。
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2. 事前情報の制限:
生成AIを使ってインタビューを始める前に、新しいチャットを開始する(前回のチャットの履歴から始めない)ことが重要です。
前回、ジャベリンボードを実施した際、最初にリーンキャンバスを読み込ませましたよね。
これは、実際のインタビューで、リーンキャンバスをユーザーに渡してインタビューするのと同じ状況を作り出してしまうということなのです。
特に、生成AIは質問に対してポジティブに答えるように設計されている特性があります(…と筆者は感じています)。
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リーンキャンバスなどの事前情報を与えてしまうと、生成AIが「良かれと思って」ポジティブな回答をしてしまうようなのです。
その結果、「あなたのビジネス、とてもいいですよ」といった回答をされ、ユーザーの本音が引き出せなくなってしまう可能性が…。
というわけなので、チャットを新しくしてから、今回の生成を始めましょう!
3. ペルソナ情報の適切な設定:
インタビューを行う際は、(今回はジャベリンボードの1列目を完成させたいので)1人のペルソナに絞って実施します。
余力があったら前々回生成した3名のペルソナを使ってディスカッションをさせるなど、遊んでみてください!
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4. 批判的な視点の維持:
生成AIとの対話を通じて得られた結果に対しては、常に批判的な視点を持って評価することが重要です。
ペルソナ設定は適切か
インタビューの返答がポジティブすぎないか
前提条件は本当に妥当か
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生成AIを使って、実践しよう!
プロンプトはこちら①
次のペルソナシートについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自のペルソナシートをマークダウン形式でコピペ**
次の共感マップについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自の共感マップをマークダウン形式でコピペ**
次のAsIsカスタマージャーニーマップについて、インプットしてください。
理解できたら、「はい」とだけ答えてください。
**各自のAsIsカスタマージャーニーマップをマークダウン形式でコピペ**
あなたは、以下 の [ペルソナ名] です。あなたは今、プロブレムインタビューに参加しています。
[ペルソナ名] :**各自のペルソナの名前をコピペ**
次のインタビュー項目に答えてください。
**前項からインタビュー内容をマークダウン形式でコピペ**
▼出力結果(Copilot使用)
例:訪日観光客(リピーター)を対象としたディープな日本の地方を体験するツアープランのビジネスアイデア
基本情報
1. 私の名前はエミリー・ジョンソン、28歳です。
2. 現在の職業はバックパッカーで、旅行ブロガーとして活動しています。低予算で世界中を旅し、ブログでその経験をシェアしています。
3. 旅行の頻度は非常に高く、ほぼ常にどこかを旅しています。
旅行の目的とスタイル
4. 旅行の主な目的は文化体験と観光です。地元の文化や人々との交流を重視しています。
5. 旅行中に特に重視していることはコストの節約と現地の体験です。低予算で深い文化体験を求めています。
6. これまでに訪れた国や都市で特に印象に残っている場所は、インドのバラナシとペルーのマチュピチュです。
交通手段と課題
7. 日本での移動手段としては、主に電車やバスを利用しています。
8. 日本の公共交通機関を利用する際に感じた課題は、路線や時刻表の複雑さと、英語の案内が少ないことです。
9. 高額な交通費については非常に不満を感じています。特に長距離移動の際にはコストが大きな負担です。
言語の壁とコミュニケーション
10. 日本での言語の壁については、特に地方に行くと英語が通じにくいことが多く、困難を感じました。
11. 言語の壁を感じたときは、翻訳アプリを使ったり、簡単な日本語を学んで対処しています。
サービスのニーズと期待
12. 公共交通機関の利用ガイドがあれば、移動がスムーズになり、時間とコストの節約に役立つと思います。
13. カスタマイズツアーについては、地元の文化や生活を深く体験できる内容を期待しています。
14. 多言語対応のリアルタイムサポートについては、非常に心強く感じます。困ったときにすぐにサポートが受けられるのは大きな安心です。
現在の利用状況と満足度
15. 現在利用している旅行関連のサービスやアプリは、Hostelworld、Google Maps、Instagramです。
16. それらのサービスに対する満足度は高いですが、特にHostelworldのレビュー機能が役立っています。
17. これまでに利用したことのあるガイドサービスについて、良かった点は現地の詳しい情報が得られること、改善点は対応のスピードです。
未来のサービスに対する期待
18. 理想的な旅行サポートサービスとは、低コストで効率的に移動でき、現地の文化を深く体験できるものです。
19. 旅行がもっと快適になるためには、リアルタイムでの多言語サポートや、カスタマイズ可能なツアーがあると良いと思います。
20. リモート・コンシェルジュのサービスに対しては、低コストでの移動手段提供や、現地のディープな体験をサポートしてくれることを期待しています。
プロンプトはこちら②
インタビュー結果から、以下の[最も検証すべき前提条件]は成り立ちますか?
[最も検証すべき前提条件]:**各自の最も検証すべき前提条件をコピペ**
▼出力結果(Copilot使用)
はい、成り立ちます。インタビュー結果から、バックパッカーであるエミリー・ジョンソンは低コストでの移動手段とカスタマイズツアーを強く求めていることが確認できます。
ポイント:ここで出力された回答を鵜呑みにしないこと。
批判的視点をもって、生成AIの出力結果を検討してください。
プロンプトはこちら③
以上の内容を、下記のジャベリンボードのフォーマットに沿って表形式で出力してください。
1. 顧客
2. 課題
3. 解決法
4. 最も検証すべき前提条件
5. 検証方法と達成基準
6. 結果と判断:生成AIの回答を要約し、[前提条件] に対する意見や行動を具体的に記述
7. 学んだこと:生成AIの回答から得られた示唆を記述し、[前提条件] の妥当性や修正点、マーケティングへの活用方法などを考察
※ジャベリンボードの1列目を、上から順に埋めていくイメージです。
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▼出力結果(Copilot使用)
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プロンプトはこちら③
他の**n-1**人の**同様のペルソナの属性**にインタビューしても、この前提条件は成り立つと思いますか?
※検証基準が「20人にインタビューを実施」だった場合、「n-1」とは「20-1」=19人
※同様のペルソナ属性とは、ターゲット層のこと(今回のケースは「バックパッカー」)
▼出力結果(Copilot使用)
はい、成り立つ可能性は高いと思います。エミリー・ジョンソンのインタビュー結果から、低コストでの移動手段とカスタマイズツアーがバックパッカーにとって重要であることが確認できました。他のバックパッカーも同様のニーズを持っている可能性が高いです。
ただし、確実に成り立つかどうかを判断するためには、実際に他のバックパッカーにもインタビューを行い、データを収集することが重要です。これにより、前提条件の妥当性をさらに検証できます。
生成AIもこのように回答しているので、機会があったら是非実際のユーザー(になりそうな人)にインタビューを実施することをお勧めします!
プロンプトはこちら④
他に検証すべきペルソナの属性や課題、解決策、前提条件はありますか?
▼出力結果(Copilot使用)
はい、他にも検証すべきペルソナの属性や課題、解決策、前提条件があります。以下のような点を検討すると良いでしょう:
ペルソナの属性
- 年齢層: 若いバックパッカーと年配のバックパッカーではニーズが異なるかもしれません。
- 旅行経験: 初心者と経験豊富なバックパッカーで異なる課題があるかもしれません。
- 出身地: 出身国や文化によって、求めるサービスやサポートが異なる可能性があります。
課題
- 安全性: 特に女性バックパッカーにとって、安全な移動手段や宿泊施設の情報が重要です。
- 健康管理: 長期旅行中の健康管理や医療サポートに関するニーズ。
- ネット環境: 安定したインターネット接続の確保。
解決策
- 安全な移動手段の提供: 安全性を重視した交通手段や宿泊施設の情報提供。
- 健康サポート: 旅行中の健康管理に役立つ情報やサービスの提供。
- インターネット接続: 安定したWi-FiスポットやSIMカードの情報提供。
前提条件
- 安全性のニーズ: バックパッカーは安全な移動手段や宿泊施設を求めている。
- 健康管理の重要性: 長期旅行中の健康管理が重要である。
- ネット環境の必要性: バックパッカーは安定したインターネット接続を求めている。
検証方法と達成基準
- インタビューやアンケート: 上記の属性や課題について、他のバックパッカーにインタビューやアンケートを実施。
- 達成基準: 80%以上の回答者が同様のニーズや課題を持っていると回答すること。
これらの点を検証することで、より包括的なバックパッカーのニーズを把握し、サービスの改善に役立てることができます。
これで、ラスボスことジャベリンボードが1列完成しました。
もしインタビューの内容如何で顧客・課題・解決策いずれかをピボットする必要がある場合は、ジャベリンボードの2列目を使って同様の検証&インタビューを実施してください。
おわりに
いかがでしょうか?
DX風林火山では、このnoteのようなノウハウ集の配布に加え、勉強会の実施・オンラインコミュニティでのサポートを実施します。
孤独になりがちなDX推進担当者を全面バックアップし、組織DXを成功に導くお手伝いをさせていただきます!
※画像は、イラストACの絵師様の素敵なイラストを使わせていただいております。