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サイトとチャットで組織の情報管理を最適化|Microsoft Teams & SharePoint 解説編|DX風林火山-風の章


はじめに

皆様、こんにちは!
株式会社フォネット 教育事業部 ICT/DX推進課の長田(おさだ)です。

このDX風林火山シリーズでは、フォネットが社内DXで実行したノウハウを手順書としてまとめて公開しております!


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1. 今回のテーマ

今回は、MicrosoftのSharePointとTeamsを活用して、社内の情報管理を最適化する方法を解説します。


業務上の情報伝達あるある

あれ、あの情報どこだっけ?

日々の業務で、チャットやメールで情報が飛び交い、必要な時に情報が見つからず、古い情報を参照してミスをしてしまうこと、ありませんか?

たとえば営業担当者が毎回経費精算の手順を間違えて経理部門から指摘を受けるというケース。


大事なのは、行動デザイン

これは単に、営業担当者が悪いわけではありません。
実は、業務における重要度の優先順位が部署によって異なることが根本的な原因かもしれません。

営業担当者にとって、最も重要なのは顧客との関係性や売上目標の達成です。

一方、経理部門にとっては、経費精算の基準を正しく守ってもらうことが重要です。

この認識の違いを踏まえた上で、営業担当者が無理なく正しい手順で申請できる仕組み作り、つまり「行動デザイン」が必要になってきます。

この記事では、TeamsとSharePointを効果的に活用して、情報共有をスムーズにし、業務効率を劇的に改善する手順を解説します。

なお、Google Workspaceをご利用の方も、Googleスペースとサイトで同じことができますので、ぜひ参考になさってください!


2. なぜ社内サイトが必要なのか?

①情報固定と拡散の重要性

まず、なぜ社内向けサイトを作る必要があるのか、顧客向けの情報発信を例に考えてみましょう。

あなたは、顧客向けセミナーの集客を担当することになったとします。
どんな方法をとるでしょうか?

一般的には、まずウェブサイトを開設し、セミナーの基本情報や申し込み方法を掲載します。

そしてその情報をSNSやメールで拡散して申し込みを募ります。

  1. 基本情報をウェブサイトに掲載(固定)

  2. SNS・メールで周知(拡散)

  3. 情報更新時は必ずウェブサイトを先に更新

  4. 更新後に改めて拡散手段で周知

このように顧客向けの情報発信では、すでに「情報の固定と拡散」が実践されています。

これに対し、社内の情報発信では拡散手段のみに頼っていることが多いのではないでしょうか。

たとえば社内ルールが決まった時、担当者がWord文書を作成してPDF化し、メールや社内SNSで添付して周知する。
内容変更時は前回の文書を流用して新しく作り直し、再度周知する。

これでは、情報が固定されておらず、社員はどの情報が最新か自分で判断しなければならず、ミスが起こりやすいのです。


②顧客(ユーザー)視点の重要性

社内ユーザーも「お客様」と捉え、ユーザーの視点に立った情報設計が重要です。

例えば、経費精算の手順を間違える社員がいる場合、それは社員が悪いのではなく、情報へのアクセスや手順が分かりにくいのが原因かもしれません。

情報発信する側は、「社員にどうすれば正しい行動をしてもらえるか」をデザインする必要があります

さらに、社内サイトは単なる情報の固定の手段ではなく、組織のナレッジの基盤となります。
全文検索をすることにより、社員による疑問の自己解決が可能になります。
また、今後生成AIが組織のプラットフォームに搭載される場合は、それらの統一された・オンライン上のナレッジが必要です。
社内サイトを作るということは、AI-Readyの状況を整えるということでもあるのです!


③社内におけるサービス提供者とユーザーの分類

社内には、情報を発信する側と受け取る側の2つのタイプがあります。

  • 間接部門(人事、経理、総務など):社内ユーザー向けに情報発信が多い。

  • 直接部門(営業、開発など):社内には顧客を持たない。

間接部門は、部署内での情報共有と全社的な情報共有の両方を最適化する必要があります。
例えるなら、「部署内=バックヤード」、「社内ユーザーと接する場所=店頭」のようなイメージです。


3. SharePointサイトの構築

サイトの種類

SharePointサイトには、主に2つの種類があります。

  • チームサイト:部署内向け。原則プライベートサイト。

  • コミュニケーションサイト:社内ユーザー向け。


部署内向けサイト(バックヤード)

①サイト種別

部署内向けサイトは、部署内での情報共有検討や段階の文書管理を目的とします。
チームサイトとして作成し、プライベートな環境で運用します。

②作成単位

各部署の大フォルダ、または中フォルダ単位で作成します。
例えば、総務部、人事部、経理部という単位でサイトを作成します。


③作成目的

業務データ管理の最適化、属人化の解消が目的です。

クラウドストレージ上に情報を集約し、誰でも、どこからでも、必要な情報にアクセスできるようにします。


④チームサイトで扱う情報例

  • ミーティングの議事録や資料の共同編集

  • 日報・月報・売上報告などの各種報告書

  • 部署内ルール(上司から部下への展開用)

  • 部署のカレンダー(定例ミーティングなど)

  • 評価関連資料(評価基準・評価シート)


Teams連携の注意点

チームサイトをTeamsと連携すると、ドキュメントライブラリの構造が変化します。
Teamsのチャネルと連動したフォルダが作成されます。

Teams化する前のSharePointドキュメントライブラリ
Teams化した後にTeamsにチャネルを追加
ドキュメントライブラリ内が変化し、チャネルに連動したフォルダが追加されている

Teamsをメインで使う場合、ファイルはTeamsのファイルタブに格納し、SharePointのサイトライブラリは使わない方が混乱を防げます。
また、ミーティングチャネルを作成し、議事録やレコーディングデータをまとめて管理するのがおすすめです。


チームサイトの運用Tips


①情報の固定と拡散

SharePointとTeamsを組み合わせた情報管理では、確定情報と流動的な情報を正しく切り決めることが重要です。
確定情報はSharePointに固定し、Teams上では固定情報へのリンクを共有します。
ファイルを両方に添付してしまうと、情報が重複してしまうため避けられます。


②アクセス性の向上

TeamsとSharePoint両方の運用は、実際問題として難しいです。
なぜなら、社員は出勤してPCを立ち上げたら、だいたいTeamsを開くから。
自分にメンションが来ていないかな?とか、とにかく行動の起点がTeamsになります。
Teamsは動的、SharePointは静的な情報管理なので、動きのある方に注意がいくのは当然といえば当然。

そうすると徐々にSharePointへのアクセスが遠のき、結局「あの情報どこだっけ?」になりかねません。
予防策として、Teams チャネルのタブに該当するSharePoint ページへのリンクを張っておくことをお勧めします。


③各種機能の活用

最初のうちは限定的な活用でよいのですが、徐々にいろいろな機能を試していきましょう。
例えば、Power AutomateとSharePointリストを連携させたり、Plannerを連携させると、組織のタスク管理や情報共有を効率化・自動化することができます。


④モバイルアプリの利用

外出先の社員でも必要な情報にアクセスしやすい環境を整えることで、情報の受け取り側のミスを減らすことができます。
特にWordやExcel、PDFファイルだと読みづらい情報を、SharePointページに記述するのがおすすめ。
レスポンシブ対応(デバイスに合わせた画面レイアウトの変更)によりユーザー体験が向上、情報が伝わりやすくなります。


プライベートチャネルの活用

Teamsのプライベート チャネルは、配置内でも特定のメンバーだけがアクセスできる空間を作ることができます。
例えば、上司が部下ごとにプライベート チャネルを作成し、評価書類や個別の指導内容を共有するような使い方が可能です。

プライベートチャネルのメリット:

  • チーム内の特定のメンバーだけで情報を共有可能

  • 上司から見た部下との個別情報管理が容易

  • 評価情報など機密性の高い情報の漏洩リスクを低減


ストレージの二元化

実は、すべての情報をクラウドに移行することは現実的ではありません。
情報の性質に応じて、基幹システムやファイルサーバーとクラウドサービスを使い分ける必要があります。

例えば、以下のような使い分けが考えられます。

基幹システム・ファイルサーバー:

  • 人事部の従業員個人情報

  • クリエイティブ部門の容量の大きい作業データ

  • 高度な機密情報

SharePoint(クラウド):

  • 日常的な業務文書

  • 外出先でもアクセスしたい情報

  • 共同編集が必要なファイル

このように、機密性と利便性のバランスを考慮しながら、適切なストレージを選択することが重要です。
無理に一元化を目指すと、どちらかが犠牲になってしまう可能性があります。

「二元化は必要」と割り切って、その部署なりのバランスを見極めていってください!


コミュニケーションサイト(社内ユーザー向け)

①サイト種別

社内ユーザーサイトは、確定した情報を全従業員向けに公開する場です。
コミュニケーションサイトとして作成し、配置の業務内容に応じた情報を提供します。

これらの部署別ポータルを束ねる全社ポータルも作成することで、社員は朝一で必要な情報にアクセスしやすくなります。


②作成単位

サービス提供部署ごとに作成します。 例えば、人事部ポータル、総務部ポータルといった形で作成します。


③作成目的

社内ユーザー向けの情報を固定し、見やすく、分かりやすくすることが目的です。


④Teams連携

Teams連携は、SharePointコミュニケーションサイトではできない仕様です。(この記事を投稿した時点、筆者調べ)
全社チームを設けて、そこに様々な部署ポータルからのお知らせを投稿するのが運用としては適当かと思います。


コミュニケーションサイトで扱う情報

コミュニケーションサイトに掲載するのは、会社が社員に提示したい情報のすべてです。

総務部ポータルの例に、掲載する情報として以下が考えられます。

  • 会社案内・業規則

  • 福利厚生制度の説明

  • 社内イベント情報

  • 各種申請フォームへのリンク

  • 社内報

  • Q&A:よくある質問


コミュニケーションサイト運用Tips

社内ユーザーのコミュニケーション サイトは、部署内向けとは明確に分けて構築する必要があります。
なぜなら、アクセスするユーザーが全く違うからです。
例えば総務部の場合、部署内向けサイトは総務部員のみがアクセスしますが、総務部ポータルは社員全員がアクセスします。

さらに、コミュニケーションサイトの編集権限を社内ユーザーに持たせないよう注意しましょう。
(誤って重要な情報を削除・改変されるのを防ぐため)


4. まとめ

この記事では、Microsoft TeamsとSharePointを活用した社内情報管理の最適化について解説しました。

情報の固定と拡散ユーザー視点Teamsとの連携ストレージの二元化を意識することで、業務効率を大幅に改善できます。

後編では、実際にSharePointサイトを設計する手順を解説しますので、ぜひご覧ください。


おわりに

いかがでしたでしょうか?

DX風林火山では、このnoteのようなノウハウ集の配布に加え、勉強会の実施・オンラインコミュニティでのサポートを実施します。
孤独になりがちなDX推進担当者を全面バックアップし、組織DXを成功に導くお手伝いをさせていただきます!

※画像は、イラストACの絵師様の素敵なイラストを使わせていただいております。

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