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アメリカのジェンダークリニックに行ってきた (その3)

数日前、初めてのホルモン投薬と皮下注射のトレーニングに行ってきました。クリニックで名前を呼ばれると、いつもどおり体重、体温、心拍数、そして血圧検査のチェック。とても緊張していたので今回の数字は高めでした。

そして看護師さんと軽く雑談したあとに、皮下注射の方法について懇切丁寧に指導してもらいました。COVIDやインフルエンザの予防接種なんかの注射って一瞬で終わる感じでしょう?だけど、実はいくつものステップを踏まなくてはならない複雑なものだったことを学びました。そしてプロの方の仕事って早いなぁって改めて感心してしまいました。そんな複雑さゆえに、皮下注射のトレーニングはこの先3回行われます。

そしていよいよ人生初のホルモン投与。なんだか現実味が感じられなくて、これはもしかしたらこれは夢なのかも、って何度も何度も疑いました。喜びよりも不安。嬉しさよりも緊張。本当にこれでよかったのか、きっと私は間違ったことをしているのかもしれない、という疑い。

「ほんとうにこの治療は安全ですか?」

最後の最後で看護師さんに、そう質問をしてしまいました…

すると、こう答えてくれました。

「ここで働いて4年になるけど、今まで後悔した患者さんに一人も出会ったことはないよ。だけど、もし後悔して元に戻したいって気持ちになっても全然大丈夫だから、その時はドクターに伝えてもらえばいいわ。だけどあなた、長い間これを待ち望んでたんでしょう?どれくらい待ったの?」

『ニューハーフ』という存在を知ったのは小学生の低学年でしたから、そこから逆算して「35年ほど待った」と伝えると、その看護師さんは、アメリカ人らしいテンション高めのノリで、テンション低い典型的な日本人の私を励ましてくれました(笑)

人生なんて完璧じゃなくていい。短命の家系に生まれた私の命の残りは、きっとそんなに長くはない。どうせ残り短い人生。やらなくて後悔するよりも、やって後悔して、スッキリとした気分であの世に行きたい。そう思って、「OK, I'm ready」と看護師さんに伝え、皮下注射を打ってもらいました。

ホルモン注射を打つと気分が悪くなったり、気持ちが不安定になるなんて聞いていましたが、そんな副作用は一切ありませんでした。あまりにも何もなさすぎて、まるで暖簾に腕押しを食らった気分。今現在、2日が経ちましたけど、副作用はなにも感じられません。

こんな感じで1回目の投与は終わりました。当然ですが今の時点で何の変化が起こるわけもなく、いまだにホルモン治療を始めたことが信じられません。この先、上手く生きて行くことができるのかは分かりませんが、この奇妙な人生を丁寧に歩み続けたいと思います。

* * *

私は典型的な『トランスジェンダー』ではないって自覚しています。

だから、違和感が緩和して、髪を短く切る日が楽しみなのです。今は違和感を軽くなるからって理由で髪を長くキープしてるけど、ひっそりと生きていたい私は、そんな目立つ格好から早く卒業したいです😭 男装して生活しても苦にならないくらい、体の違和感が少なくなればいいなって思ってます。

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