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【ネタバレ】DQ10 ver3感想:信仰の罠と悪気ない正義が渦巻くナドラガンド[2021/10/06記事]

竜 族

って聞くだけでゾワゾワしちゃうんですけど。右も左も竜族だらけのver3。

多分2021年の8月くらいにクリアしました。今更ながら、ちゃんと感想をまとめたいと思い。

あと、一番最後の『吼えろトビアス』の感想はぜひ読んでほしいっす!笑

**

個人的には、

ver1
どらてん総合オリエンテーション。

ver2
THE 勧善懲悪。

ver4
望郷への執念。


と、キーワードが思い浮かぶんだけどver3は何だろう。

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ん~~書きたい事いっぱいある!

けど、強いていうならば。THE 人間。かなー(?)

いや”竜”族でしょ。って。

違うんですよ。登場するのは竜族だけど、凄く現代社会描いてるなver3!!と思っちゃったんです。

理由は、大きく二つあります。

①信仰の罠
②悪気ない正義

これよこれ。
ナドラガンドにずーーーーーーーーーっと横たわってる、これ。
現代社会じゃん!?!?!?!?

**

①信仰の罠

ナドラガ神を信じれば救われる。
だから辛い世界でも頑張れると思いこむ民。
ゆるやかな現状維持で、根本解決されない。
民は基本的に、他力本願。

ほらーーーー!!
人間じゃん!!!(?)

もうね、のっけから共感しかないんですよね。あるあるなんですよ。
冒頭からこれで、ぐいぐい感情移入しちゃいます。
信仰のためのストーリーは、人をまとめるためのストーリーなんです。
手段としての、ストーリー。

まんっま現代社会すぎて。

竜族が登場するということで、きっと強い竜族と何かをブチ倒す話かな!?

と思いきや。

強いはずの竜族がしんなりしてるし、苦しんでるし。
何なのこの地盤ぐらぐらの世界は!!と意表を突かれましたよね~。

ver3の後半になるにつれて教団の思惑がほころびていく感じ。スリリングで最高でした。

これにまんまと踊らされるトビアス。
リスキーだけど道を外れて未来への模索に走るエステラ。

ver3は、この二人の対比のおかげで、世界を深く理解することができました!!

**

②悪気ない正義

はい。

私はトビアスがとても好きです。素晴らしいキャラだと思います。

悪気ない正義を振りかざしている不器用な人だからです!!

失敗という体験を、まざまざとプレイヤーにさらしてくる、ドラマチックなキャラだからです!!

話それますけど。

もう、正しい人が正しいことをするシナリオなんて飽きちゃってるんですよねー。わたし。

多分、世の中も、そんなトレンドですよね。
2021年5月にNetflixで大ヒットしたヴィンチェンツォというドラマ。これ大好きで盛らずに5周見てるんですけど、それの展示会で、制作者からこんな言葉があったんです。

『西欧英雄叙情詩は、限界』

衝撃走りましたね。
そうそう、これよ!!

もっと新しい世界(シナリオ展開)見せてよ!って。

ヴィンチェンツォがそのようなコンテンツ世界の停滞状態をどう打破したのかは、語るとそれだけで記事が終わるので飛ばしますが。

半沢直樹も似たような感じですよね。最近多くなってきましたよね。

清く正しい人が、清く正しいことをする……という形式ではないシナリオ。

ver3もそうだと思うんです。

ナドラガンドに入った瞬間こそ、『へぇー。ここは厳しい環境のなか、信仰にあつい竜族が暮らしている。そんな世界なんだー』と理解しました。

でも、そこで語られている正義・大儀は、シビリアンコントロールのためのツールでしかなかった。

でも、ここで面白いのは、ナドラガンドのシビリアンコントロールは悪意がない、という点。

半沢直樹の場合は、裏ボスが権力掌握のためにアレコレを動かしていたので、勧善懲悪の悪がはっきりしていたんだけど。

ver3の場合は違う。

これを強調したい。

ナドラガ神は、
竜族を愛していたから
こんなこと
しちゃってるんです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

『言われるまでもない。
我は 竜族の神ナドラガ。
お前たちを……
愛しているに決まっている。』

ぎゃ~~~~~~~~~ここだよここ! ここがver3のいっちばん好きなところ。

ver3ラストバトルでの、エステラの問いに対する、ナドラガの答え。

そんなスタンスのナドラガ神を信じて疑わなかった、トビアス君!!

そして、生まれてからず~~~~~っと信じていた信仰が崩れた時のセリフ

『オレたちは いつから 間違っていた……!?』
ストレート、かつ、衝撃的すぎる。
ナドラガのセリフに続き、個人的に好きなセリフです。
トビアスって普段、とても丁寧でかたい口調なんですよ。一人称も、基本的に『私』だし。

『オレ』って言っちゃってるよ。感情がたかぶっちゃってます……。

人間らしい……。

あぁ~トビアス。床に突っ伏しちゃって。

ああつらそう。

でもこの虚しさは、この悲しみは、いつか君を救うから頑張れ。
この過ちを認められた分、君の伸びしろはでかいから。

プレイ時、マジでそう思いました。

ナドラガさんも、トビアス君も、悪気ないのよ……。

よく考えると、我々の周りで、こういう事めちゃくちゃあるんですよね。みんな自分の視野で、自分の意志のまま突き進むので、齟齬が出ちゃう。でもみんな悪気が無い。普通のコミュニケーションでも、仕事でも、一緒。

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こういう、立ち止まって一考させられるような展開があったので、ver3のシナリオはとても好きでしたね。

今後もちょくちょく、ナドラガンドに遊びに行こうと思いました。読みこぼしている本棚や、サブクエも残っているので。

◆その他メモ

・水の領界で、フィナにとどめを刺すかどうか?の選択肢が出た時。

竜族の未来のために、ここでこいつを斬る!!!!

という選択を3回くらいしてしまって、ヒューザに『マジで考え直して』と止められた良い思い出。

・フィールド音楽が全体的にツボでした。特に氷の領界。DQ8のフィールド音楽でぶちあがりましたね。

・『吼えろトビアス』クエスト最高でした。

信じていたものが崩れ落ち、人生のどん底のような体験をして、挫折を経たトビアスの、その後の物語。

ああ、トビアスに救いがあって良かった。と思いました。

描かれ方がすごく良かった。

さて。

ver3の最後の宴会で、エステラは『トビアスが誰よりも血と汗を流してきた』と言ってました。私達も、ver3の一連の物語を通じて、トビアスがいかに各地をわたり、現場で頑張っていたのかを知っています。

なので、ナドラガンド協団代表として各地をつなぐ努力を描いていくと思いきや。

ルビーちゃんがめちゃくちゃ良いスパイスになってる。

彼はずっとナドラガ神を盲目に信じていました。一方、このルビーは、彼を全力で信じています。トビアスからすると、これまでにしたことが無い体験ですよね。『信じられる側』の立場。

さらに、ルビーは予想不能で、トビアスの事情を無視した行動を繰り返します。まるでトビアスの子ども。

”トビアスのその後”を描くにあたって、彼の努力を単純に描くだけじゃないんですよ、このクエスト。

まるで彼の子どものような存在のルビーちゃんを通じて、彼の中で育まれていく父性みたいなものを併せ描いている。それで、とんでもない成長のさせ方してるなと。協団のリーダーとして、だけでなく、ヒトとして。

与えられた役割、認識している役割、それ以外に、自分だからこそこれができる、と思う役割。プラス。思い入れ。それによって彼は竜になれたのでしょう。

ああなんてよいサブクエ。本当に運営チームに感謝です。

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