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高利回り(APR20%以上)!ステーブルコイン運用プラットフォーム5選
本記事では、暗号資産(仮想通貨)の世界で注目を集める「Stablecoin(ステーブルコイン)」の運用プラットフォーム5つ――Ethereal(Ethena Labs関連)、Multipli、Harmonix、Resolv、そしてSoSoValue――について、それぞれの特徴やリスク、実際の運用を踏まえた比較・考察を行います。最初に結論となるポイントを整理し、その後に各プラットフォームの詳細とメリット・デメリットを解説します。
本コンテンツは情報提供のみを目的としており、投資助言・勧誘を行うものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。
結論・要点
Stablecoin運用の魅力
ボラティリティの少ない資産を使いながら、高い利回り(APR/APY)を狙うことができる点が最大の魅力。しかし「安定資産」であるはずのStablecoinにも、運用戦略や使用プロトコルのリスクは存在する。高利回りの背後にはリスクがある
Stablecoinを運用して20〜30%超の利回りを得られるプラットフォームは、ほぼ例外なく「デルタニュートラル戦略(ロングとショートの組み合わせ)」や「オプション戦略」「ペーペルファンディングの金利差」などを活用している。これらは理論上価格変動の影響を抑えるものの、想定外の市場変動や取引所リスクが生じる可能性もある。「Airdrop(エアドロップ)」報酬が存在する
一部プラットフォームでは、独自トークン配布や他プロジェクトのAirdrop獲得が運用上の追加インセンティブになる。こうした報酬は短期的に大きなリターンを得るチャンスだが、トークンの価値や流動性が不透明な点には注意が必要。ネットワーク・ロックアップ・最低入金額などの制限は様々
各プラットフォームによって、利用可能なネットワーク(Ethereum L1 / L2, Arbitrum, BNB Chain, Baseなど)やロックアップ期間、最低投資額の要件に違いがある。手数料やガスコストも考慮しながら選択することが重要。最終的には自分のリスク許容度次第
安定重視であれば「損失耐性の高いStablecoin」を選び、大きく稼ぎたいなら高リスク・高リターンの運用に挑戦する。どの選択肢も絶対に“安全”とは言えず、十分な知識と分散投資が鍵となる。
Ethereal(Ethena Labs関連)
プロジェクト概要
Etherealは、Ethena Labsが手がけるエコシステムの一部として開発中の分散型取引所(DEX)です。Ethena Labsが発行するステーブルコイン「USDe」を核とした運用を行い、デルタニュートラル戦略(stETHのステーキング報酬+ETHのショートポジション)によって利回りを得る仕組みが特徴とされています。
主要な特徴
利回り(APR/APY)
過去には18%程度の年利から、2024年には高いときで27%近くまで上昇した例があるなど、変動幅が大きい。これはファンディングレートの状況に左右されるため、マイナスファンディングとなれば利回りが急落・マイナスになるリスクも存在する。エアドロップ(Airdrop)
ガバナンストークン「ENA」をステーキング(sENAに変換)して保有しているユーザーに対し、今後リリース予定のEtherealのトークン(名称未定)を15%分エアドロップする計画が発表されている。エアドロップは投資家にとって追加のインセンティブになり得る。対応ネットワーク
主にEthereum Layer-1上で動作し、将来的にはレイヤー3の実装によりスケーリングを目指すとされる。現状はETHメインネットとの連携を重視しており、今後のL2連携にも期待が集まっている。最低入金・ロックアップ
特にハードキャップなどの制限はなく、USDeをミントする際のETHデポジット量やENAステーキングの最低数量に明確な制限はない。ただし、7日間のクールダウン(アンステーキング後の待機期間)が設定されている点には注意。リスクと強み
リスク
ファンディングレートがマイナス転換した場合、利回りが大幅に落ちるか逆に損失を被る可能性。
CEX(中央集権型取引所)でのヘッジを利用しているため、その取引所自体の信用リスクもある。
強み
透明性の高い設計や主要投資家のバックアップがある。
完全に暗号資産のみを担保としているため、銀行リスクを排除できる。
DEX「Ethereal」ローンチに伴うさらなるユースケース拡大。
Multipli(Multipli.fi)
プロジェクト概要
Multipliは、複数のチェーンに跨って**デルタニュートラルの裁定取引(アービトラージ)**を行うプロトコル。ファンディングレート差や先物と現物の価格差などを活用して、理論上は市場の価格上昇・下落に左右されにくい安定的な利回りを追求する。
主要な特徴
利回り(APR/APY)
通常時でも5%〜60%と幅広い数値が提示されており、Stablecoin(USDC/USDTなど)で20%前後が目安とされている。市場環境が良いときは50%超もあり得るとされ、かなり高い可能性を秘めるが、やはりファンディングレートや裁定機会に左右される。エアドロップ(Airdrop)
トークンはまだローンチされていないが、今後の発行が予定されており、テストネットの利用者向けにポイント「tORB」が付与されるプログラムがある。将来的にトークン化される際、これらのポイントがエアドロップされる見込み。対応ネットワーク
マルチチェーン対応を掲げており、Ethereumメインネットだけでなく、BNB Chain、Arbitrum、Polygonなど複数のEVMチェーンをサポート予定。ZK技術を取り入れることで、オフチェーンでの取引執行とオンチェーンでの決済を組み合わせている点が特徴。最低入金・ロックアップ
最低入金額は$10程度からスタートできるとアナウンスされている。
ロックアップ期間は設定されておらず、原則いつでも入出金が可能。ただし、実際の戦略においてポジションを組み直すタイミングがあるため、即座の引き出しには若干のタイムラグが発生する可能性がある。
リスクと強み
リスク
中央集権型取引所への依存(取引所リスク、カウンターパーティリスク)。
裁定機会が減ったり、ファンディングレートが予想外に変動したりすると利回りが大幅に下がる場合がある。
強み
様々な取引所・チェーン間の裁定取引を自動化し、安定収益を狙いやすい。
大手VC(Panteraなど)が支援しているほか、BNB Incubationプログラム受賞実績もあり、一定の信頼感がある。
Harmonix Finance
プロジェクト概要
Harmonixは、Arbitrum上で稼働するDeFiの「イールドファーミング(資産運用)プラットフォーム」。複数の戦略を組み合わせた自動運用「ボルト(Vault)」によって、Stablecoin・ETH・BTCなど様々な資産の運用を最適化するとともに、「他プロジェクトのエアドロップをまとめて獲得できる仕組み」を提供している。
主要な特徴
利回り(APR/APY)
Stablecoinに対しては20%前後のベース利回りを示すことが多い。さらに、提携先のプロトコルが将来配布するトークンのポイントも加算され、理論値では100%を超えるケースもある。実際にはポイントが後日どの程度の価値になるか不確定要素は大きいが、高い報酬の可能性は魅力的といえる。エアドロップ(Airdrop)
Harmonix自身のネイティブトークンは未発行だが、他プロジェクト(EigenLayerやZircuitなど)の**“将来のエアドロップ”**を利用者に還元する仕組みがある。プロトコル同士の協業で得られるレベニューメリットやポイントをユーザーに割り当てることで、「複数のAirdropを一括で狙う」メリットがある。対応ネットワーク
Arbitrum Oneでの運用がメイン。ユーザーはArbitrum上のUSDCやETHをVaultに預けるだけで、自動化された戦略にアクセスできる。また、Jumper.Exchangeなどのブリッジを利用して他チェーンから資金を移せるようにもなっている。最低入金・ロックアップ
入金額の明確な制限はなく、基本的には少額から参加可能。ロックアップ期間も基本的に設定されていないため、資金の入出金が比較的自由に行える。ただし、各Vaultはリバランスやオプション売買など一定の周期があるため、タイミングによっては出金に多少の時間がかかるケースも考えられる。リスクと強み
リスク
複数のプロトコルを組み合わせた戦略であるため、スマートコントラクトリスクが拡大する可能性。
実際の利回りの一部が「将来のトークン報酬」に依存するため、トークン価値が期待通りにならない場合も多い。
強み
分散投資や保護された収益(オプション戦略、Pendleでの利回り分割など)を活用し、リスクを相対的に抑えながらも高利回りを追求。
多くの提携先との協業により、Airdropファーミングの効率が高い。
Arbitrum上というガスコストの低さ・高速性を生かせるメリット。
Resolv(USR Stablecoin & RLP Pool)
プロジェクト概要
Resolvは、**「USR(Resolvのデルタニュートラル型Stablecoin)」と、「RLP(保険的役割を果たすリスク資産)」**の2トークン構造で運用するプロトコル。USDと価値を連動するUSRは、ETHのステーキングとショートヘッジで価値を安定させ、RLP保有者がリスクを負う代わりに高利回りを享受する仕組み。
主要な特徴
利回り(APR/APY)
USR:基本的に$1前後の安定を目指すため、単体での高利回りは期待できない。しかし、Resolvや提携先のPendleなどでステーキングすることで追加リワードを得る余地がある。
RLP:システムが得た余剰利回りを吸収する“ジュニアトランシェ”であり、運用成績が好調な時は15〜70%程度の年利を得られることもある。一時的に1,000%超のAPYが観測された時期もあるが、TVLが増えれば利回りは落ち着く傾向がある。
エアドロップ(Airdrop)
ガバナンストークン「RESOLV」のローンチがQ1 2025に予定されており、USRやRLPを保有・活用しているユーザーにポイントを配布し、そのポイント数に応じてトークンがエアドロップされる計画。USR1枚につき一定数のポイントが貯まるなど、継続利用に対してインセンティブを付与する設計が特徴。対応ネットワーク
現在は主にEthereum L1で展開しているが、Base(Coinbaseのレイヤー2)上にも流動性を一部拡張している。主たる担保はEthereumでロックされる形だが、ユーザーはBase上でPendleのYield Tokenを購入するなどして間接的にUSR運用へ参加できる。最低入金・ロックアップ
特に明示的な制限はなく、数十ドル程度のETHでもUSRをミントできると考えられる。RLPも同様に、資金量を問わず参加が可能。ロックアップ期間はなく、基本的にはいつでもUSDeやRLPを引き出せる。リスクと強み
リスク
長期的にファンディングレートが負となったり、想定外にETH価格ヘッジが崩れたりすると、RLP側が大きな損失を被る恐れがある。
それでも吸収しきれないほどの損失が発生すれば、USRのペグ維持が揺らぐリスクもありうる。
中央集権取引所を利用したヘッジが多いため、取引所の信用リスクはゼロではない。
強み
USRはフル担保型のデルタニュートラル設計を採用し、銀行リスクを伴わないクリプトネイティブなStablecoinを目指している。
システム内でリスク資産(RLP)を明確に分離しているため、安定志向の利用者はUSRを使い、高利回りを狙う投資家はRLPを買う、と目的別の参加がしやすい。
急激にTVLが伸びており、市場で一定の信頼と需要を獲得している。
SoSoValue(USSIインデックス)
プロジェクト概要
SoSoValueは、**「AI駆動の投資リサーチ」と「カスタマイズされたインデックストークン」**を提供するCeDeFi(セミ中央集権型×DeFi)プラットフォーム。USSIは、その中でも「デルタニュートラルの高利回り」を目指すインデックストークンとして位置づけられている。
主要な特徴
利回り(APR/APY)
BTC、ETH、BNBなど時価総額の大きい複数銘柄を保有し、それを同額分ショート(先物)することで値動きの影響を相殺(デルタニュートラル)し、主にファンディングレート収益を狙う。市場が強気(先物価格が現物より高い)だと、資金提供者として安定的に利息を得やすい。10〜30%程度が一般的とされるが、強気相場でファンディングが高騰すれば100%超のリターンが発生する場合もある。エアドロップ(Airdrop)
SoSoValueは独自トークン「SOSO」を過去に複数回エアドロップしてきており、SNSタスクなどを完了するともらえる仕組みがある。ただし、USSI自体にはエアドロップはなく、プラットフォーム利用者が追加のタスクをこなすことでSOSOトークンを獲得している事例がある。対応ネットワーク
主に**Base(Coinbaseが運営するレイヤー2)**で発行される。SoSoValueプラットフォーム自体はセミ中央集権的に資産を保管しており、カストディ先はCoboやBinance Ceffuなどが担うという形をとっている。最低入金・ロックアップ
USSIはERC-20トークンとして発行され、売買も容易なため、最低投資額やロックアップは特になし。売買による価格変動で利益(または損失)が出るというよりは、トークンを保有し続けることでファンディング収益が蓄積される仕組みに近い。リスクと強み
リスク
カストディが中央集権的に運用されるため、スマートコントラクト単独で完結しない部分がある(“運用者への信頼”が必要)。
ファンディングレートが逆転(マイナスファンディング)すれば、想定利回りが得られなくなる可能性。
コントラクトがアップグレード可能であるため、運営が権限を濫用するリスクもゼロではない。
強み
全自動で複数銘柄のロング+ショートを組み合わせるため、管理の手間がほぼ不要。
メインストリームの銘柄を対象にしているため、流動性が高く大きな金額も扱いやすい。
AIリサーチや他のインデックスサービスも提供しており、投資リソースとしての拡張性が見込める。
プラットフォームの比較と選択のポイント
1. 利回りの安定性と変動幅
Ethereal / Resolv / SoSoValue
いずれもデルタニュートラル戦略をメインとしているが、ファンディングレートの変動により高利回りと低利回りを行き来しやすい。Multipli / Harmonix
こちらも裁定取引や複数の戦略を駆使するが、プロトコルによって得意とするマーケットや参加する取引所が違うため、その時々の相場環境によって利回りのブレは大きい。
2. リスク許容度と運用方針
低リスク志向
完全に“リスクなし”は存在しないが、複数の保険メカニズムを備えたResolvのUSRなどは価格安定重視とされる。一方、RLPのようにリスクは高いが利回りが段違いに高い通貨も同一プロトコル内で選べる点が魅力。高リスク・高リターン志向
ファンディングレート上昇時にはEthereal、Harmonix、Multipli、SoSoValueはいずれも高いリターンを期待しやすい。特に“マーケットの強気度合い”が高いシーンでは30%〜100%超のAPYが見込める可能性がある。
3. ネットワーク手数料と利便性
Ethereum L1はセキュリティや流動性は高いもののガスコストが割高になりやすい。一方、Arbitrum、BNB Chain、BaseなどL2や他チェーンは手数料が低い代わりにプロトコル・ブリッジリスクが追加される。
どのチェーンに慣れているか、または運用資金量(ガスコスト許容度)なども考慮しよう。
4. エアドロップや付加的な報酬
Ethereal、Multipli、Resolvは今後のトークンエアドロップが明示されている。
Harmonixは独自トークンがないが、提携先のトークンエアドロップを一括獲得できるメリット。
SoSoValueはプラットフォームトークン「SOSO」のエアドロップキャンペーンを不定期で開催。USSI保有だけで自動的にエアドロップがあるわけではないが、タスクをこなすと上乗せ報酬が狙えるかもしれない。
5. 中央集権度合いと担保形態
完全オンチェーン vs. カストディ依存
EtherealやResolvなどは基本的にオンチェーン上で完結する設計が主だが、CEXを利用したヘッジはある程度CeFiリスクを内包する。一方、SoSoValueは大手カストディ業者を使うため「伝統金融に近い安全性がある」と捉える人もいるが、DeFiの完全な分散型とは言えない面がある。
まとめ
Stablecoin運用を行う上で、注目の5つのプロトコルを総合的に比較しました。いずれも「Delta-Neutral(デルタニュートラル)戦略」を基盤に据えており、市場全体が強気の状況では魅力的な利回りが期待できる反面、ファンディングレートや取引所の状況次第でリターンが激しく変動する可能性があります。
もし「安定第一」で運用を検討するなら?
ResolvのUSRなど、設計的に価格ペグを重視している通貨を選び、その上で少しだけ追加利回りを得る方法(Stakeや提携プロトコルの運用)を模索するのも良い選択肢です。もし「高利回り」や「Airdrop」に期待するなら?
Ethereal、Multipli、Harmonix、SoSoValueなど、いずれも複数の報酬源やトークン配布プログラムを用意しています。特にまだトークン未公開のプロジェクトへの早期参加は、エアドロップによる思わぬ大きなリターンにつながる可能性もあります。
最終的には、自身のリスク許容度と、どのプラットフォームの経済圏が成長していくかという展望を加味して選ぶことが大切です。暗号資産は依然としてボラティリティが大きく、流動性リスクやスマートコントラクトリスク、中央集権的な取引所への依存など様々な要素が絡むため、投資する際は十分に調査し、分散投資を検討することをおすすめします。