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大祓詞(私家版)改貳

(冒頭の寫眞は、石川縣白山市鹿島町より望む冬の靈峰白山)


1.經緯に就いて

◆「大祓詞」に就いて、此れまで以下2つの記事を投下して來ました。内容は簡單に言って、「大祓詞」の Word と PDF のファイルをアップロードしてネット上に置いたゞけ、のものですw

◆今囘は此れ等に、更に修正と加筆を施したもので、標題に「改貳」なぞと厨二病っぽい?字句が附いてゐたりしますが、「槪ね最終版」となるはずのもの、です、多分…? 以下2つのファイルが、其れになります。

◆今囘の記事の要點は、以降の事項でも觸れますが、イ)槪ね本字體に統一できたこと、ロ)「天津祝詞の太祝詞事」の一例を入れてみたこと、ハ)此の「私家版」を整理するに當たっての備忘錄を書いたこと、です。
◆「私家版」と書いてある通り、當初は「大祓詞」を自分が良いと考へる形で暗記することを目的として作成したものに過ぎず、其の後、偶に少しづゝ修正を加へて來たものです。自分は神道家でも硏究者でも何でもない、零感の一般人ですので、内容に就いて、とやかく言はれましてもねぇw
◆前2囘に於いても書いてゐますが、揉め事なぞが起こらない限り、自由に使って頂いて全く結構です。營利を目的とするものでなければ、改變も擴散も御勝手に何うぞ。

2.字體と書式に就いて

◆文字は記號の側面もありますが、呪術の側面もあります。大東亞戰爭後に「國語改革」と稱する破壞がなされましたが、我が國を靈的にも文化的にも墮落させる邪な意圖があったと思ってゐて、自分は之を否定します。故に、本字體(俗に謂ふ「旧字体」と槪ね同義)及び歷史的假名遣ひを尊重してゐます。
◆本來の書體は、「IPAmj明朝フォント」を使へば槪ね可能です。一般社団法人文字情報技術促進協議会のサイト「IPAmj明朝フォント」からフォントをダンロードしてインストールし、「漢字を検索する」から目當ての漢字を探して「コピーフィールド」とある箇所の文字をコピーし Word 等の文章に貼り附けて利用します(フォントは當然、PAmj明朝フォントを指定)。變體假名も採用されてゐて、ヤ行エ段等も使へます。未だ完璧と言へませんが、其れでも以前より大分〝マシ〟です。關係者の方々に感謝を申し上げます。
◆同サイトを利用する前に、例へば「新字体と旧字体相互変換ツール」等で字體を一旦變換しておくと作業が樂です。但し、變換結果は完璧ではないので、本字體に關する一定の智識は必要になって來ます。
◆振假名を弄ると、書式が崩れます。文字と振假名の距離が狂ってしまふのです。其の場合、「Alt」+「F9」のキーを押すと設定が表示されますので、「up 15」を「up 11」に「置換」して下さい。再度「Alt」+「F9」のキーを押すと、元の表示に戾ります。
◆本文の「段落」は「閒隔」を「25 p」に設定してゐます。改行後の空白行は「5 p」、標題は「10 p」。振假名を弄ると振假名が畫面から消えますが、此の「閒隔」を狹めてゐることが理由であり、データ自體は消えてゐないので、慌てる必要はありません。

3.天津祝詞の太祝詞事に就いて

◆最初の記事「大祓詞(私家版)」に於いて、「天津祝詞の太祝詞事」が何であるかは自分で探求しませう、と云ふ旨のことを書きましたが、既に歲月も經ってゐて、之を入れた形のものも揭載してみようと思ひました。入れた言葉は、今囘は伊勢白山道氏の說に據るものです。
◆自分は『伊勢白山道』の讀者(〝信者〟ではありませんw)ですが、同氏の、「天津祝詞の太祝詞事」が「天照太御神 天照太御神」の二十音だとする說は、以下2つの意味で肯定してゐます。
◆「天照太御神」の十音は「十言神呪」(とことのかじり)と云はれ、靈驗があるとされてゐますが、2囘繰り返すことで「二十祝詞」(ふとのりと)となる、と云ふ捉へ方は自然だと感じます。
◆黑住敎の祖、黑住宗忠氏は「天照太御神は癖のない神樣」と云ふ旨のことを仰ってゐて、效果の有無や其の程度は措いておいて、此の御神名の發語は靈的に安全だと思ひます(地味ながら非常に重要なのでは?)。
◆以下、伊勢白山道氏のブログに於ける初出の記事のリンクを貼りますが、彼は其の後も「二十祝詞」の重要性を繰り返し說かれてゐます。「大祓詞」自體以上かも知れません(ならば「大祓詞」なんて要らないのでは、なーんてw)。詳細は、「伊勢白山道検索」で檢索してみて下さい。
◆念の爲に斷っておきますが、此處に揭載するファイルは、伊勢白山道氏が公認するものでも推奬するものでも何でもありません。個人的な趣味の產物であり、同氏とは全く無關係です。

4.通常の大祓詞との相違に就いて

【全 般】
◆紙幅の都合(1枚に收めること、讀み易さを擔保すること)もあり、意義の少ない送假名は省略してゐます(例:成り出でむ ⇒ 成出でむ 等)。漢文的な一部の表現(例:如此 等)も、其の儘にしてゐます。
◆「之(の)」は固有名詞的な表現と判斷したものに限定することゝし、其の他のものや「乃」の字を振ってゐるものは適宜、「の」にしたりルビの中に埋め込んだりしてゐます。

【個 別】
川入 火燒
…『延喜式』にありませんが、『皇太神宮儀式帳』に國津罪として定められてゐます。何故『延喜式』に省かれてゐるかと云ふと(以下略
大中臣 …『延喜式』では「大中臣 天津金木を~」ですが、當時の宮中祭祀と條件が全く異なりますので「大中臣」を省略します。でも、例へば田中さんだったら、「大田中 天津金木を~」と遊んでみても良いかも知れません。
天照太御神 天照太御神 … 上述の通りです。通常は「天照〝大〟御神」ですが、「太」を用ゐる場合もあり、伊勢白山道氏も「太」を指定してゐます。
如此宣らば …『延喜式』では「如此〝乃ら〟ば」ですが、前半で「天津祝詞の太祝詞事を〝宣れ〟」とあるので、表記を統一してゐます。
伊襃理 …『延喜式』では「伊〝穗〟理」ですが、他のテキストを參考にし、音讀みの字に變更してゐます。
皇御孫命之朝廷を始めて … 通常は省略する文言ですが、祝詞と云ふものは、同じ文言や表現を繰り返すことで言靈を强めるものなので、前半で2囘既出の「皇御孫命」を後半で2囘再出させることを妨げてゐません。
落滾つ …『延喜式』では「落〝多支〟つ」ですが、平假名だらけにすると他の箇所との釣合に違和感があるので、「滾」の字を當てゝゐます。
速開津比咩 …『延喜式』では「速開〝都〟比咩」ですが、他の箇所で助詞の「つ」は「津」なので、表記を統一してゐます。
如此佐須良ひ失ひてば …『延喜式』では「如此失ひてば」ですが、前を承けた表現の方が言靈としては良いと思ひます。此處〝だけ〟は、大正3年以降の文言の方が優れてゐると思ひます。
罪と云ふ罪は不在と 遺る罪は不在と … 通常は「罪と云ふ罪は不在と」のみですが、「皇御孫命~」の項で書いた事柄の趣旨と同樣、既出の表現「遺る罪は不在と」も繰り返した方が良いと思ひます。

5.讀み方に就いて

【全 般】
◆實際に「大祓詞」を奏上する時に、淸音と濁音の何方を採るのか? 個人の嗜好や、其の時の氣分で選べば良いと思ひます。
◆自分が考へる、可能な範圍で淸音化を試みてゐます。「淸音 ⇒ 濁音」は容易ですが、「濁音 ⇒ 淸音」は難儀です。オカルトの見方では、日本語は一音一音に意味があり、〝要素〟を明らかにすることは、可怪しくはないと思ひます。
◆濁音化を否定してゐる譯ではありません。其の效果は、イ)前後の言葉の結び附きが强くなる、ロ)勢ひが附いて言靈が强くなる、と云ったところだと思ひます。
◆『ほつまつたゑ 解読ガイド』さんの「やまとことばのみちのく」みたいに日本語は全部、元は淸音だ! と割り切れゝば樂なのですがw

【個 別】
高天原 …「たかあまはら」。他に「たかまのはら」「たかまがはら」「たかのあまはら」と云った讀み方もありますが、「たかあまはら」が中庸な感じで好ましいので、之を採用してゐます。伊勢白山道氏も、此の讀み方を指定してゐます。
神留り …「かむつまり」。「とまり(留り)」の「と」がウ段の音に變化し「つ」になったものです。
皇親 …「すめむつ」。「すめみおや」「すめらがむつ」とも讀みます。素直な讀み方を採用してゐます。何故、大正3年以降に「すめらがむつ」の讀みを推すやうになったのか、自分には解りません。
神漏岐 …「かむろき」。「いざなき/いざなぎ」と同樣に、「き/ぎ」何方でも可能です。
八百萬 …「やほよろつ」。「よろづ」の「づ」は、ひと〝つ〟、ふた〝つ〟の〝つ〟が濁音化したものと考へられます。
神集へに集へ賜ひ 神議りに議り賜ひて …「かむつどへにつどへたまひ かむはかりにはかりたまひて」。「に」を省く讀み方もあります。
荒振神等 …「あらふるかみども」。「あらぶるかみ〝たち〟」とも讀みますが、『大祓詞』の世界で「荒振神」は惡神なので、前者を採用してゐます。
をは …「をは」。「をば」の古形。
樹立 …「こたち」。『延喜式』では「このたち」ですが、『萬葉集』等では通常「こだち」と讀みます。此れを何故、「きねたち(木根立)」に改める必要があるのでせうか? 「いはね(磐根)」には「根」の字があるのに、「樹立」には「根」の字がないのですから、「きねたち」とは讀まなかったはずです。「木根立」は木の切株のことですが、何故、自然に存在する磐や樹や草でなく、人が伐った後の切株が語問ふのでせうか? 「このたち」が變な言葉なので「きねたち」にしてしまった、と云ふのが事の眞相ではないでせうか?
四方の國中 …「よものくなか」。『延喜式』では「よものくになか」ですが、「くにうち」は「くぬち」に縮まるのに、「くになか」は「くなか」に縮まらないのは違和感があり、「くなか」としてゐます。
太敷立て …「ふとしきたて」。「本當は〝敷〟でなくて…」との說を讀んだことがありますが、個人的には〝敷〟で構はないと思ってゐます。
美頭 …「みつ」。「みいつ/みいづ(御稜威)」が縮まって「みつ(光)」「みづ(瑞)」になったと個人的には考へてゐます。『延喜式』で「水穗」を「美頭穗」とせずに書き分けてをり、必ずしも「みづ」と讀む必要はないと思ひます。
雜雜 …「くさくさ」。通常「くさぐさ」と讀みますが、淸音の讀み方も見たことがあります。
溝埋 …「みそうめ」。「みそはぎ(溝萩)」や「みそさゞい(溝鷦鷯)」と云った言葉もあり、淸音にしてゐます。
生剥 …「いけはぎ」。「いきはぎ」とも讀みますが、「自分が◯◯◯の皮を〝生け〟た儘〝剥ぐ〟」のですから、疑問です。「いきはぎ」は、「いき」と「はぎ」で主語が替はる言葉で、不自然に感じます。
屎戸 …「くそへ」。「くそと」とも讀みます。
許許太久 …「こゝたく」。通常「こゝだく」と讀みますが、淸音の讀み方も見たことがあります。
 …「はた」。人體と環境の境界線であり、「はた(端)」「はて(果)」の意から「はだ(膚)」の言葉が生じたと考へられます。「機」を「はた」と云ひますが、織物は〝第二の皮膚〟とも云へるので、通ずるものがあると感じます。
白人 胡久美 …「しらひと こくみ」。「しらひ とこくみ(白日 牀組)」との解釋が正しいとする敎團もありましたが(以下略
川入 …「かはいり」。水難事故ですが、「かはいれ」と讀めば、殺人です。後者も否定しません。
火燒 …「ほやけ」。火災事故ですが、「ほやき」と讀めば、殺人です。後者も否定しません。
短山 …「ひきやま」。「みしかやま」とも讀みます。
始めて …「はしめて」。「はし/はじ(端)」が動詞化し「はしむ/はじむ(始む)」になったものと考へられます。實際「はしむ」さんや「はしめ」さんと仰る方が存在します。
…「ゆふへ」。「ゆふべ」の古形。
大海原 …「おほうなはら」。「おほわたのはら」「おほわたはら」と云った讀み方もあります。
朝廷 …「みかと」。「かど(門)」の語源は「やかど(敷地戸)」の「や」が脫落したもので、「戸」は「と」であり、淸音にしてゐます。尙、實際に「門」を「かと」と云ふ地域もあるやうです。
佐久那太理に …「さくなたりに」。通常「さくなだりに」と讀みます。解釋が定まってゐない文言ですが、「太理」は「垂り」の意と考へられるので、淸音にしてゐます。

6.色遣ひについて

黑い字 …『般若心經』等の御經とは異なり、題目等は奏上しません。
靑い字 … 普通に奏上する部分です。眞黑だと味氣がないので、黑に近い靑を使ってゐます。伊勢白山氏のブログ本文(PC版)に使はれてゐる色に近いものですが、眞似と云ふより自分の好みです。色は、祓魔の思ひも少しあります。
赤い字 …「天照太御神 天照太御神」の〝二十言神呪〟です。上方に掲記した伊勢白山道氏のブログ記事に於いて、倭姫命は「ササヤクような微かな声」で發語されてゐたとのことなので、自分も内緖話のやうな小聲で奏上してゐます。色は、靑字と同樣、祓魔の思ひも少しありますが、御日樣なので、此の色が使ひたいのです。因みに「天照太御神 天照太御神」の位置は、日章旗も意識して紙面の略々中央に來るやうにしてゐます。
灰色の字 … 天津罪と國津罪の具體的な内容です。伊勢白山道氏のコメントでは、言靈としては惡いので奏上しなくて可い、とのことで、其れは其の通りなのですが、天津罪と國津罪を「此れでもか」と竝べ立てるからこそ、其の後の「如此出でば~」以降のカタルシスがあるのだと感じますので、發語はしませんが、文字としては〝薄墨〟で殘してゐます。祝詞はめでたい言葉にめでたい言葉を重ねに重ねるのが常ですが、祝詞の中の祝詞でありながら、「大祓詞」が他から全く懸隔してゐるのは、實に、此の部分にあるのです。徒ならぬ祝詞です。自分は、口パクで奏上?します。

7.發音に就いて

◆我々は現代に生きてゐる人閒なので、現代の發音で奏上するのが自然で、「祈る(意が乘る)」と云った觀點からは、適當なのかも知れません。拘り過ぎる必要はないと思ひます。
◆我々の祖先が日本語を何のやうに發音してゐたかなぞ、理解は中々難しいものです。但だ、言靈やら音靈やらと云った觀點からは、音の體系性を意識することに多少の意義はあるかも知れません。
◆昔は九州地方で、例へば「先生」を「shen-shei」と發音しゐたり、伴天連がハ行の發音を「pha 行」と捉へてゐたこと等、よく知られてゐて、嘗ての一時代の發音を復元することも、多少は可能です。
◆「上代特殊假名遣」の問題(嘗ては母音が6~8音あったかも?)なぞもありますが、此處で採り上げても混亂するだけなので、留保します。
◆嘗て、「け」は「kue」、「さ」は「tsua」と發音されて(以下略
◆實際に發音されてゐたことがあるのか判斷しかねるところもありますが、理念上(あくまで理念上)、次のやうな音の體系は考へ得ると思ひます。
 ・サ行 さ(sha)し(shi)す(shu)せ(she)そ(sho)
 ・タ行 た(ta)ち(ti)つ(tu)て(te)と(to)
 ・ハ行 は(pha)ひ(phi)ふ(phu)へ(phe)ほ(pho)
 ・ヤ行 や(ya)い(yi=i)ゆ(yu)※(ye)よ(yo)
 ・ワ行 わ(wa)ゐ(wi)う(wu=u)ゑ(we)を(wo)
 ・ザ行 ざ(zha)じ(zhi)ず(zhu)ぜ(zhe)ぞ(zho)
 ・ダ行 だ(da)ぢ(di)づ(du)で(de)ど(do)
  ※「江」「枝」「兄」等に當てる平假名。
◆此の發音で、而も淸音で奏上しようとすると最初は結構難儀ですが、ゆっくりと何囘も繰り返し奏上してゐるうちに、出來るやうにはなります。自分は、此の發音でも現代の發音でも、淸音でも濁音でも、何方でも可能です。出來たら何か良いことがあるのかと云ふと… 現實には何もないw ので、推奬はしてゐません。至誠の心で奏上することの方が重要でせう。
◆「大祓詞」の奏上に就いては、YouTube や書籍(葉室頼昭氏著『大祓 知恵のことば - CDブック』等)、神社に於ける「夏越大祓」「年越大祓」又は御祈禱で聽くことが出來ますが、意外に違和感を覺えたりもするものです。結局、自分なりに奏上するしかないのかな、と云ふのが、現在の結論です。
◆「天照太御神」を、伊勢白山氏は「あまてらすお〝お〟みかみ」でなく、「あまてらすお〝ほ〟みかみ」と讀むべし、としてゐます。此の「ほ」ですが、「ho」と發音するやうになったのは江戸時代からと云はれてゐるので、過去、實際に其のやうな發音がなされたことはないのではありますまいか? 自分は「a, ma, te, ra, shu, o, pho, mi, ka, mi」と發語してゐます。眞似した方が良いと言ってゐる譯ではありませんが。

8.功德に就いて

◆此の記事に揭載してゐる「大祓詞」を印刷し、家に貼ったり身に帶びたりすると、魔が祓はれ、神佛の加護が得られます(噓
◆其の他にも、家内安全、交通安全、無病息災、病氣平癒、五穀豐穰、商賣繁昌、學業成就、良緣成就、心願成就…(大噓
◆抑々、功德を求めるべきものではなく(以下略

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