欠乏症Pが作曲を始めるまでの経緯とか
欠瀬津です。
というお題箱のメッセージを頂きました。
なのでちょっと記事書くよ
作曲を始めた動機とか経緯(精神面)
※ここは思い出話をしてるだけなので具体的に作曲が出来るようになるまでのステップがみたい方は次まで読み飛ばしてください
欠乏症Pは10年ほどカバー専ボカロPとして活動していました。
あまりキラキラした理由でなくて申し訳ないのですが、作曲を始めようと思った時の感情はポジティブで明るいものというよりどちらかというと怒りや不安に近いものでした。
もちろん「自分で作った曲をいつかKAITOに歌ってもらいたい!」というようなのってボカロオタク共通のドリームだと思うので、これも皆さんと同じようにあったのですが、自分の信念の上で必要なスキルだなと強く思ったのが始まりだと思います。
曲作りという形でKAITOの事を支えたいと思ったというような感じでしょうか。
今でこそKAITOさんは比較的人気があるような気がしますが、当時はあまり扱いが良くなかったり、わざわざ悪く言われたりする事も珍しくなかったため、悔しさというか半ば怒りにも近い所で、自分がもっと勉強してその力を使ってKAITOの為になりたいというようなことを思っていました。
また、当時ちょうどAIきりたん(NEUTRINO)の登場など、合成音声界隈にAIが参入してきた走りぐらいの時期でした。
これを受けて私は、「今後AI合成音声は増えて精度も上がっていく流れになるんだろうな」「そうなると主な評価観点が調声であるカバー専の環境ってだんだん厳しくなってくるんじゃないかな」というような事をすぐに思いました。
実際数字観点ではこの頃かなり落ちてきていたので、ちょっと焦ってもいました。これは自分が評価されたいかどうかというより、KAITOをこれからも長く支えていきたいという目標が果たせなくなる事を心配したのです。
そう考えた時に、「今のままカバー専で、KAITOという存在を表立って支えていきたい!と思うのって、いつか遠くない未来に自己矛盾が起きて限界が来るのでは?」という結論に達しました。
もっともカバー専一本で活躍できるもとても人気の高い方はいらっしゃるのですが、メイン戦力は限界までV1にしたいという自分のこだわりがある以上、どちらかは諦めないといけない気がしました。
で、結論が「よ~~し!カバー専辞めよう!」だったのです。
ただ当時の私は社会人新卒で、毎日慣れない研修を受け、帰ってくる頃にはクタクタ(しかもプログラミングだったのでとにかく毎日すんごい脳疲労)
加えて先に配属を控えていて数カ月後どういう生活になるのかまだ分からない、という先行きの読めない環境に居て、なかなか新しい事を始める気力が生まれないでいました。
実際に作曲を始めたのは2020年頃。
所謂コロナが始まった時期で、私が当時勤めていた配属先のオフィスでも陽性者が出るなどしていて騒ぎになり、在宅勤務(というか自宅待機)になったのがこの頃でした。
「あ、これはチャンスかもしれない……これを逃したら作曲を勉強する機会もう無いかも……!」
近所の楽器屋さんに行き、Cubaseの一番高いグレードのものを思い切って購入しました。
最初に手を付けたもの
まず手を付けたのがUdemyという講座動画を販売しているサイトにある、こちらの講座動画を購入しました。
アクセスする時期によっては思ったより高い価格になっている可能性がございますが、セール開催時だと1000円ぐらいで買えますので、購入する際はセールの時に買う事をオススメします。私もセールの時に1000円ぐらいで買いました。
この講座動画をもとに、打ち込み内容自体は若干アレンジしながら試しに1コーラス作ったのが作曲の第一歩でした。
当時の音源が探したらありました。めちゃ恥ずかしいけどどうぞ。
参考にする方向けには、別に必ずしもこの動画である必要はないと思ってて、今時YouTubeに講座動画・メイキング動画は山ほどあるので、何かしらの動画を参考にしてみると良いと思います。
完全初作曲
こうしてチュートリアルを終えた私は、次に最終的にはこの曲になることになる完全初作曲に取り組むことになります。
前述のチュートリアルでワンコーラス作りはしましたが、自分で一から考えたフル尺の作曲については正真正銘これが初作曲になります。
講座動画と同じロック系の曲調で参考にしつつ、自分なりにとりあえず1曲作ってみました。
講座動画はコードを借用して作る形式だったので、今回はコードから一から考えてみよう!って感じですね。
カバー専出身という経緯もございまして、主に経験則的な所が強いボーカルライン・歌詞を先に作り、コードを組み立てて、楽器を入れて、という感じです。
とりあえず一回仕上げるまでは大きな障壁なく出来た記憶があります。
ただ結局のところ、何の道でも初心者の大きな課題とは「自分ではどこがおかしいのか自覚できない(自覚するだけの力がない)」という事にあるのではないかと思います。
コロナ禍の暇時間がいつ終わるかも分からないので、「私今すぐ急いで作曲できるようになりたい!!多少金をかけてでも!!」と思い、オンライン対応のDTMスクールに単発・短期を含めて何社か行く事にし、この曲を徹底的に添削してもらう事にしました。
実際自分では知らなかった・見落としていた事柄、よりよいアレンジの提案などをプロから聞く事が出来、結構有意義でした。最初よりずっと良い曲になりました。
昨今YouTubeの動画が当時よりずっと充実しているので必須とは思いませんが、お金が余ってる人はやっても良いと思います。
作曲が出来るようになった認識面
作曲をする事もなくカバー専を10年も続けてきたわけですから、当時は作曲に対して凄く苦手意識がありましたし、これは自分には到底できないものなのではないかというとてつもないハードルの高さを感じていた事もありました。
個人的にこの苦手意識が薄れていったターニングポイントは、所謂「カラオケ部分」の音楽が"混沌"ではなくなった時だと思います。
カバー専だった私の認識は長年、音楽を「ボーカル」と「オケ」の2つに分ける事だったように思います。
そして私にとって「オケ」とは長年「なんかわからないけどすごい色々詰まった感じのもの!」みたいな底知れぬ混沌でした。
個人的にはこのオケがさらに「リズム」と「コード」の2つに分かれた時に光が差し込んだような気がしていて、さらにリズムが「キック・スネア・金物と……」、コードも「ベース※と鍵盤と裏メロと……」と細かく分けていけるようになった所で作曲への苦手意識が減ったように思います。
※ベースはリズムという意見もあるだろうけど、個人的には音階を叩く以上はコード側のイメージがある……
作曲をこれから始める人はこの記事の③の音源ぐらいまでの感じをまず目指すとハードルが低いのではないかなと思います。
当初の認識では作曲ってなんとなく
・無から凄いものを作らなくてはいけなそう
・オリジナル曲作りというのはすべてがセンス次第そう
というイメージがしていたのですが、
コードもドラムもその他の楽器もある程度の基本形やお約束があるものなので、まずは「これってそのまま使ったらパクリにならん?」とか気にせずに、基本形を組み立てる所から始めると難しく考えすぎなくて良いのではないかなと思います。
センスの差が出るのはあくまでも基本を越えた先の話なので、基本までは型に忠実に言われた通り作ればぶっちゃけ誰でも創れます。
ここまでは説明書通り組み立てられるかの次元の話です。
家具の組み立てと同じで、まあセンスがある人は説明書が無くてもカンで組み立て始めるかもしれませんが、センスがなくても言われた通りに組み立てれば誰でも組み立てられるのです。難しくないよ!
個人的にはEDM方面の作曲は、比較的定義が分かりやすい(例えば「このジャンルは必ずこういうドラムパターンだ」とか「こういう構成にしておけばそれになる」みたいな所が比較的明白で、サンプルパック・シンセプリセットによるショートカットもききやすい)のであまり混沌を彷徨わずに済むイメージがあります。
※もっとも簡単と言ってるのではなくて奥はとても深いジャンルだとは思うのですが
また、ロック・バンドサウンドなども構成楽器が多くの場合一定であること、こちらもバンドスコアなど編曲の参考になりそうな参考資材が多いといった点でオススメです。
個人的に謎ジャンルの曲を創ろうとしないで、まずは決まったジャンルについてそのジャンルのチュートリアル動画・書籍などを見た方が「そこに説明書がある」という点で挫折しにくいと思います。
謎のジャンルの曲はそのうち作曲に慣れてきたらひとりでに爆誕するようになります。
よく見る・見てた動画など
・誰でもわかるコード進行講座シリーズ
「コード進行ってなんやねん」という段階の時によく見てた。自分でコード進行を組んで作曲するにしても一旦はpart20ぐらいまでで十分で、その先は複雑なコードを使ったりしたくなったら見ればいいと思います。
・バーチャル助手シリーズ
「特定のジャンルにおける"あの感じ"ってどうやって生み出すんだ……?」って時に見る。今でも新ジャンルに挑戦する時にこのシリーズが検索に引っかかると嬉しい。
・EDM関係のチャンネル
EDM関係の調べ物はよくこのチャンネルを見ていた気がします。
こんな所でいいですかね🤔
私の知ってる範囲の事になってはしまいますが、何かあればお題箱に放り込んで頂ければ見ますので、お気軽にお送りくださいまし!!
ではでは
・余談オブ余談
固有名詞を実名では書かないので分かる人だけ分かってくれればいいのですが、最近思い出す機会があったので何かの巡り合わせかなぁなどと思いつい端書きをしてみます。
ちょうど作曲を勉強中ぐらいの頃、当時活動していた、とあるカバー専のボカロPさんがいました。
いわゆる「神調教」的なところで調声の質にとても定評があったPさんでした。あまり上下を付けて語るのもナンセンスですが一旦説明的事実として、調声の技術も評判も私よりこの人の方がずっと上でした。
前述のように当時の私はカバー専一本を脱する判断を下した訳ですが、一方で「これぐらい技術と評判がある人ならカバー専で不足を感じる事は無いのかもしれないなぁ……」みたいな認識で憧憬まじりに、自分と対比させて、その人の事を見ていたわけですね。
それが2020年の7月頃のことです、
その人突然オリジナル曲を書くんですね。
いや、貴方が曲作るんかい!!!!え!?!?
時系列的には、私が動画学習をしていたのが2020年の4~5月頃、『殺さないでダーリン』の作曲が6月~7月頃、添削を受けていた時期がそこから半年ぐらいなので、まあ大体ちょうどぴったり初作曲を成功させようと奮闘していた時期な訳ですよ。そこで自分より先にカバー専脱してくる人が出てくると思わんし、それがその人だなんて夢にも思わない訳ですよ。びっくりびっくり
その人はもうアカウントを閉鎖して動画も削除してしまったのと、同時期にKAITOタグで活動してた事があっただけで私個人と交流という交流はほとんど無かったのですが(一度だけ微妙に関わった事がある気がする)
後から考えれば、もしかしたらその人もその人でカバー専である事の違和感や不足感を持っていた、近いような事を考えていた可能性もあったのかなと、あるいはこの話の裏側視点が存在する可能性もあるかもなと、不思議な共通点がある人として時々思い出す事があるのです。
多少はおいおい先越されたぞ!という気持ちも無くは無かったり(笑)しますが、一番無から勉強してた時期にたまたまそういう人の存在があった事も自分の中で刺激の1つだったのかなぁと思う事があります。
<総括斜め上アドバイス>
一緒に作曲をする同志とかライバルとかがいると挫折しにくいかもしれん!
余談のつもりが思ったより喋りすぎてしもうた。ここはそのうち消すかも。