日記: 2024.05.21 L'Rain(ラ・レイン/ロレイン)、女性ソロアイドル
L'Rain(ラ・レイン/ロレイン)
初日の評判が妙によさげだったので、これは確認しておきたいと思って当日(2デイズの2日目)になって1stを予約した。その段階で全席種「〇=余裕あり」だったし、実際取れたのも大変よい位置の席だった。
SNSでは客入りが少ないことを嘆く声があったんだけど、これに限らず来日アーティストの客入りが低迷する(正確に言うと大型フェスか、単独なら一部のアーティスト――例えばレッチリとか――に偏る)のって単純に丁寧にプロモーションをしてファン層の醸成やリーチをしないからじゃないかと思っている。チケット先行とかをやってるプロモーターからのメールも「〇〇が来日!」くらいしか書いていない。何故私がそれを好きになって観に行く気になれそうなのかっていう紹介をしてほしい。それで客が入らないことについてリスナーの側が嘆いたり、何故か時々日本人に対して怒ったりしている。不思議。今いわゆる洋楽のファンをやっている人達はどうやって形成されてんだろうか。あと必ずしもジャズじゃない人の初来日公演をBBLとかだけでやるケースがままあってそれも若干意味が分からない。さほど確信が持てない人のライブで、席の取り方の勝手がよくわからない会場で、値段が高くてその割に演奏時間も短ければ普通いきなりそこに来たりはしないでしょう。来たけど。
それで内容のほうだが、観ておいたほうが良いと言う人の言っている意味はよく分かったと思う。ただ今日観たものを的確に形容して他人に伝えることは上手くできないかもしれない。
開演直前までステージ上をウロウロしている人がいて、それがL'Rain本人だった。そのままステージが始まるとギター(1ハムのショートスケールのFenderのギター…ムスタング?)の轟音が音の幕を張ってボーカルはあまり聴き取れない程度のミックスで聴こえる。そういうとシューゲイザー的とも言えるんだけど、コーラスがあってサックスが入り、ボーカルは時々叫ぶような声を出すこともあるし口笛を吹くこともある(口笛?たしかに口笛を吹いていた。しかしマイクから遠ざかっていたようにも見えたのでその時口笛として聴こえた音が彼女が発した音なのか確信がない)。
ベースの役割は流動的で、L'Rainが弾くこともあるし(PJタイプのピックアップでペグがヘッドの両サイドに分かれているIbanezのベース)、彼女がギターを弾いてギターのJustin Feltonが弾くこともあるし、サックス兼コーラス兼シンセのBenjamin Katzがシンセベースを鳴らすこともあるし、L'Rainがギターを弾きながら足踏み鍵盤(電子オルガンの足元にあるようなやつ)で弾くこともある(彼女は裸足で、足元のペダルのツマミも赤いペディキュアの塗られた指で器用に操作していた)。ドラムスのTimothy Anguloの叩き方は独特で、バンドの中でビートを支配する役割をさほど担っていない(これは曲にビートの構造がないという訳ではない)。スタイルはロック的ともジャズ的とも言い難く、インプロ系の人の叩き方に近いかもしれないが、そこまでノンメトリカルでも奇抜・突飛でもない。
場面によってベースのリフが曲の中心にあるように聴こえるときもあるし、ギターの轟音がそうであるようなときも、ドラムスの熱が入るときにそうであるようにも聴こえるときもある。ときおりサックスが金切り声を上げて存在を主張することもある。
演奏時間に通底していたのは音の幕だ(ドローンというのもちょっと違うので便宜的にこのように呼ぶ)。それは場面によって歪んだギターだったりシンセだったりするけれどもライブの時間を通じて常に会場を覆っている。だからこのライブを最も特徴づけていた要素を挙げるならばその持続的な音響ということになる(なお私はこれをもってアンビエント的であるとはあまり言いたくない)。弾き語り的に始まった曲もすぐにギターの歪みと豪雨のような鳴りのドラムに覆われていく(音響ということでいうとL'Rainの背後に大きめのアンプが3つ設置されていたが、それらが観客側の聴こえ方にどう貢献していたか、していなかったか、やや不明だ)。
それで結局私は何を観たのか?残ったのはなんだかフォルダ分けできないよくわからないものを観たという実感だけだ(ジャンル横断的という言い方より分類不能という言い方のほうが私は好きだ)。それは私にとってはよい体験をしたという部類に入る。
オーディエンスの反応という点でいうとロックやジャズよりもインプロ系に近い。つまり曲中の盛り上がるところで一緒にリアクション(声を上げたり拍手をしたり)をしたりせず、ただ固唾をのんでいる。終わった時だけ拍手をする。
行く前に少しだけ音源の予習をしたけれど、時間をかけて予習していたら今日のライブをよく消化しきれたかどうかもよくわからない。この文章だけ読んでも不満だろうとは思いますが、もしビルボードライブのライブレポートが出るならもっと文章の優れた人が上手いことを書いてくれるでしょう。
なお、もしこれを読んで音源を聴いてみようと思う人がいたら、普段より音量をかなり上げて聴いた方がいいかもしれない。
MYFUNERAL INC. pre. 【switchblade #8】
昨年末に同じ企画イベントの別の回に来たことがあってそのときもusabeni(f.k.a 宇佐蔵べに)さん目当てだった。元々こちらだけ来るつもりだったんだけどL'Rainをねじ込んだので途中から入場。usabeniさんがトリなのはわかっていたから。
アイドル系の対バンイベントはタイテが事前に公開されるのでこういう掛け持ちを可能にしてくれるので良い。バンド系の対バンも出演順くらいは公開する文化になってほしい(主催ツーマンなら主催が後なのは分かるけど)。
会場の秋葉原GOODMANに行くにはイケベ楽器のベースステーションリボレ秋葉原を目指して、その地下にある。
3776
初見。「聴かない理由があるとすれば」という文句は何かどこかで聞いたことがあって、予備知識はそれだけ。グループだと思っていたが1人らしい。今日披露した曲は殆ど新曲だったということなので、たまたま知っていた曲があったとしても違わなかっただろう。それらの曲は結構良かった。1曲ごとにポカリスエットを飲みに行くと宣言していなくなったのが面白かった。
原宿眠眠
アイドル楽曲の作家として有名な宮野弦士さんの楽曲提供のポートフォリオにあったので、それで一部の楽曲は知ってはいた。でもこちらもグループだと思っていてソロプロジェクトだとは知らなかった。そんなわけで今日のイベントの趣旨を理解し始める。
タイムライン上で宮野氏が最近提供したシティポップ曲が高評価だったので歌ってくれたらいいなと思っていたが、最後に歌ってくれたので無事回収された。それ以外の曲も良い。MCで渋谷系の音楽をやっていますと言っていて納得した(原宿も渋谷区なんでと言っていた)。あと姿を初めて拝見したのだけど可愛い。
usabeni
今日のusabeniさんはすごく楽しみにしていた。2024.05.27に新しいEPが発売される予定で、そこからの曲を披露すると予告していたからだ。その中にtripという曲(私が特に好きな曲)の諭吉佳作/menによるリミックスも含まれている。私は二人ともファンで、かつ諭吉佳作/menさんがインスタのストーリーズでtripをお気に入り的にピックアップしていたのを見たこともあったのでコラボ絶対あるでしょ、いつだ?くらいの気持で待っていた。
シングルやEPにリミックスバージョンが入ることがあるという文化はアイドルにもある。usabeniさんがちょっと変わっているのはそのリミックストラックを使ってライブで歌ってしまう点だ。以前曲のトラックがいつもと違っていたので物販で聞いてみたら今度出るリミックスだと返されてへーとなったことがあった。
ところでリミックスにはリミキサーによって歌を崩さずに主にトラックのみを変える場合と歌も含めてかなりいじくる場合とがある。今回の諭吉佳作/menリミックスは後者の類で、具体的に言うと曲のテンポ自体をぐにゃぐにゃ変えまくる。これは諭吉佳作/men節という感じがして嬉しい。しかしそんな風になったリミックスをライブで歌おうという風には普通ならないでしょ。でもusabeniさんはそのぐにゃぐにゃなテンポのトラックに合わせて歌っていた。変な人だ。後で物販で、あれはライブで歌うことも想定してオーダーしてるんですかと尋ねたら、いや違うけど歌ってみたらいけそうだったんで、と言っていた。
もう1つusabeniさんがクリエイティブだと思ったのはリミックスバージョンとオリジナルのバージョンを繋げて歌っていたところ。リミックスバージョンは面白いんだけどオリジナルのバージョンにあった踊れる感じはなくなっているので、1回ぐにゃぐにゃした後でオリジナルに繋げるとライブのアクトとして引き締まった感じがする。数日前に初披露したとき(これは配信で観た)はリミックスバージョンだけで歌っていたので早々と新しいアイデアを入れてきていてすごいと思った。
あと前回usabeniさんの物販で買ったグッズをあろうことか会場に置き忘れて帰ってしまっていたので今日受け取った。ほんとすみません……
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