彗星のごとく現れたTier1! ラクドス吸血鬼【MTGデッキガイド】
PTカルロフ亭殺人事件で流星のごとく現れ、優勝をかっさらったラクドス吸血鬼をご紹介。
翌日からアリーナのエクスプローラーで回した結論として、こいつは環境にもマッチしたTier1デッキといってよい。
このインターネット時代の集合知からホンモノのTier1デッキを隠しておけるなんて、全くCFBにはいつも驚かされてばかりだ。
ただし、最近はメタられ始めてきて、初期ほどは勝てなくなってきている。
そんなデッキだが、回すには一定のコツも必要だ。
使用感はラクドスミッドレンジに近い部分もありながら、違いも大きいので、今回はラクドスミッドレンジとの比較を中心にデッキガイドしてみよう。
なお、筆者はアリーナのエクスプローラーで回しているので、環境はエクスプローラー前提で解説する。
デッキ概要
基本的な動き
このデッキのアーキタイプは、コンボ内蔵ミッドレンジだ。
目玉のコンボは《傲慢な血王、ソリン》の[-3]能力で《血管の切り裂き魔》を踏み倒して出すというものだ。決まるとほぼゲームセットとなる。
このコンボが揃わずともミッドレンジとして普通に強いのが優秀なところだ。《税血の収穫者》、《鏡割りの寓話》、《密輸人の回転翼機》など、他のパーツが単体で優秀なため、それだけでそのまま勝てる。
そのため、無理にコンボを狙わずに、ミッドレンジとして戦いながら、揃ったら決めるという動きが良いだろう。
カード紹介
《血管の切り裂き魔》
メインのフィニッシャー。ソリンから踏み倒して出すと相手は死ぬ。
6マナというマナコストが絶妙で、素キャストが可能なので、積極的に狙うこともけっこうある。
パワーは6だが、だいたい2回殴ると相手は爆発する。ドレイン能力があるため見た目以上に速やかにライフを削れるのだ。
雑に運用しても強いが殴り方でキルターンが変わってくるので後述する。
殴るのみでなく、護法によりクリーチャー生贄を要求するため、ただでは死なない。
ちなみに除去されると、護法で相手クリーチャーが死亡したときに1回、切り裂き魔自身が死んだときに1回の計2回2点ドレインが誘発する。通常の除去だと、除去+生贄で2枚のカードと4点ドレインを要求することになる。
《傲慢な血王、ソリン》
切り裂き魔射出台。
吸血鬼をサイズアップして接死絆魂付与する[+1]、吸血鬼を《稲妻のらせん》として投げつける[+1]能力も意外と器用だ。
このデッキはソリンの運用が巧拙を分けるといっても過言ではない。
運用方法は大事なので後述する。
《分派の説教者》
単体で優秀な3マナ域。攻撃誘発は基本的にドローのほうが強いので、自分のほうがライフが高い時(=攻めている時)に強く、1枚でゲームをクローズし得る。
受けても接死タフネス4が強いし、1/1絆魂が出るのがうれしい。
なお、テキストをよく読むと、ライフが同じときはドローもできるし1/1も出る。
PWを攻撃する場合、自分のライフが相手より高い時のみドローが誘発する。
《薄暮軍団の盲信者》
ドローによってコンボを進められるのと、ソリンで投げつけられるのがいぶし銀だが、おそらくデッキで一番弱いカード。
吸血鬼でなければおそらく採用されていない。《才気ある霊気体》や《漆黒軍の騎士》を試してみたこともあるがいまいちしっくりこないので、ベストではあるのだと思う。
《魂の洞窟》
吸血鬼統一だからこその採用。ラクドスミッドレンジもコントロールに弱いわけではなかったが、《魂の洞窟》によってコントロールには格段に強くなっている。
《変わり谷》
地味に強い。ラクドスミッドレンジにも2/2としての採用があったが、吸血鬼でもあることが生かされている。
ソリンとのシナジーで接死絆魂で殴るだけでプランになるし、稲妻のらせんとして投げつけても強い。
《鏡割りの寓話》
既出カードだが、切り裂き魔との相性が良い。ゴブリントークンの出す宝物で3マナ→5マナとジャンプできるので、ゴブリントークンが殴った次のターンには6マナで切り裂き魔を素キャストできる。
2章で入れ替えはコンボパーツを探すにも、だぶついた切り裂き魔(orソリン)を捨てるにも嬉しいし、切り裂き魔は伝説でないので、裏面でコピーできる。
このデッキの強さはエクスプローラー(パイオニア)で一番寓話をうまく使えているからではないかとも思える。
残りは《税血の収穫者》等、通常のラクドスミッドレンジパッケージなので省略する。
プレイング
コンボを狙いすぎず、狙わなさすぎず
このデッキはミッドレンジとして振舞っても十分勝てる。なので、オールインコンボのような動きをする必要はない。
ただ、純粋なミッドレンジとして見たとき、1枚1枚の性能はラクドスミッドレンジよりは明らかに弱い。そのため、隙があればコンボは狙いたい。
このバランスがあるので、プレイングが若干難しくなっている。
回してみた感じでは、両方の可能性を捨てないプレイングが多くの場合望ましい。
たとえば、土地3枚と《寓話》が場に出ているとしよう。手札がプッシュ、説教者、切り裂き魔だったとする。このとき、《寓話》2章が誘発したとき、何を入れ替えるべきだろうか?
コンボ全振りならプッシュ、説教者の2枚を入れ替えてソリンか土地を探すべきだが、ミッドレンジを全振りなら切り裂き魔を入れ替えるべきだ。
もちろん状況や相手のデッキにもよるが、筆者はこのような状況では多くの場合、プッシュか説教者のうち1枚を捨てたい(通常は説教者のほうが強いので捨てるのはプッシュ)。そうすれば、説教者でミッドレンジで戦いつつ、1枚分掘ることでソリンか土地を探してコンボ(か素出し)の可能性を残せるからだ。
考えてみると、ミッドレンジ全振りだと出来損ないラクドスだし、コンボ全振りでも出来損ないになってしまうので、プレイングとしては当然かもしれない。
切り裂き魔の扱い
全部テキストに書いてあることだが、テキスト同士に相乗効果があるので、筆者は挙動を最初間違えまくった。
まず、2点ドレインは何が死亡しても誘発するので、たとえば、自分がアタックした《変わり谷》が相手の《税血》と相打ちすると2点ずつドレインして、合計4点ドレインする。
このため、切り裂き魔が出ていると、クリーチャーはアタックすると最低で2点かそのクリーチャーのパワーのいずれか低い値のライフを削る性能があることになる(もちろん互いに死亡しないブロックがあれば別だが、エクスプローラー/パイオニア環境だとあまりない。)。
また、当然ながら相手が切り裂き魔に除去を打った場合の護法コストでも誘発し、本人が死んでも誘発するので、除去を打たれると実質4点ドレインになる。
そのため、相手が切り裂き魔を除去したうえで盤面を立て直そうとすると、4点は食らわないといけないため、切り裂き魔が2回アタックすると12点+4点=16点となり、そこに至るまでダメージを受けているとだいたい耐えていない。
これにクリーチャーの死亡誘発の2点が数回乗ってくるとそれだけで20点になる。そのため、切り裂き魔がいる場合、チャンプアタックが正当化されることに気を付けよう。
また、ソリンが生き残った状態でターンをもらえるとさらにクロックが速い。切り裂き魔に+1カウンターを載せられるのは当然ながら、切り裂き魔(や他の吸血鬼)をもう一つの+1により3点ドレインで顔に投げつけると、死亡誘発もあわせて5点ドレインになる。
切り裂き魔本人を投げつけてもよいのがミソで、アタックの6点と合わせて単体で11点入ることになる。切り裂き魔自身は死亡してしまうため、相手ライフが11点以下の時に使おう。
このように、出したときのリターンがすごいので、アグロ相手でなければ、1枚ぐらいなら手札に抱えててもよい。切り裂き魔を1枚抱えているということは、要するにソリンと土地6の両面待ちの聴牌ということなので、けっこうアガれる。
ソリンの扱い
ソリンを抱え続けることがこのデッキの一番の負け筋だ。そのため、ソリンをコンボ以外でいかに活用するかがプレイングのポイントだ。
経験上、コンボ以外で活用するポイントは以下の2つだ。
①ソリンはカジュアルにキャストせよ
切り裂き魔を引くまでソリンを抱えていると、ただソリンが腐るだけのお荷物になりやすい。たとえば、吸血鬼が《変わり谷》とか《盲信者》しか場にいない場合でも、+1していくだけでそこそこ強い。
また、忠誠度が十分にあれば、あとから《切り裂き魔》を引いても-3で出せる。
なので、基本ソリンは唱え得と考えたほうがいい。
②息切れする前にキャストせよ
吸血鬼がすべて除去されてしまうとソリンはただの置物になってしまう。
なので、ソリンは手札・盤面の吸血鬼がすべて除去されるまでの賞味期限付きだと思ったほうがいい。
たとえば、土地3枚が場にあるとき、手札にソリンと税血があったとする。このとき、ソリンをキャストして-3で税血を出す動きは十分正当化され得る。税血を先に出して除去されるとソリンは何も働かないカードになってしまうが、-3で税血を出せば少なくともテンポは取ったので、追加の税血や盲信者を引いたときにソリンのプラス能力が使えるメリットがある。
ソリン-3で税血を出す動きはさすがに弱い部類だが、なにもしないよりはましだ。
とにかく、ソリンはデッキの他の3マナ域と比べると弱いが、普通のPWとしても使っても弱くはないことからコンボ以外でも積極的に活用すべし。
土地事情
《魂の洞窟》、《変わり谷》が計7枚あるため、地味に赤マナが出ない時がある。小道の置き方には気を付けよう。
マッチアップ
ミラー
当然互角。
メインはコンボでもロングゲームでもどちらが先に切り裂き魔を出せるかゲーになりがち。なので、切り裂き魔を温存する価値が上がるし、ハンデスでは積極的に落としたい。
サイド後はリリアナで切り裂き魔対策しつつ、シェオルや銀行破り追加などでミッドレンジ力を高めるべし。《覆い隠し》という対切り裂き魔特化カードもあるが、切り裂き魔以外に使うとテンポが取れないので(切り裂き魔以外のパーマネントは基本3マナ以下なので)、正直疑問。
ラクドスミッドレンジ
有利。
最近はもう少なくなったが、基本的にカモ。ミッドレンジ力は少し向こうが上だが、粘るぐらいはできるので、粘っているうちに切り裂き魔をコンボ/素キャストして勝ち。
なるべく長引かせるプレイングをしよう。
イゼットフェニックス
微不利。
切り裂き魔が出ても《稲妻の斧》でふつうに除去されがちなのがきつい。フェニックスはどうせ墓地から帰ってくるので、護法コストもあまり負担にならない。そのため、メインはきつめ。
サイド後は墓地対策が入ってましになるが、フェニックス側も《弾けるドレイク》や《帳簿割き》などの墓地依存しないクリーチャーがあるので互角。
寓話や説教者などのミッドレンジ力で普通に勝つことを狙いたい。
アゾリウスコントロール
有利。
《魂の洞窟》があるのでカウンターが腐るし、切り裂き魔が出ると、護法コストが払えず、なかなか除去できない。
サイド後も相手に有効な対策がなく、こちらはハンデスやアド源を投入できるのでさらに有利に。《太陽降下》だけは注意。
無駄省き
きつい。
ミッドレンジは除去で阻止され、コンボはハンデスで阻止される。切り裂き魔が出ても布告除去が豊富なので、決まり切らないことも。序盤から殴りまくることが唯一勝ち筋なので、そういうハンドが来ることを祈ろう。
構造的に不利なので、サイドでどうにかなるものでもない。
無駄省きが最近流行っているのはラクドス吸血鬼に有利だからではと思わせる。
アマリアコンボ
メインはきつめ、サイド後互角。
メインはコンボ力が向こうの方が上、ミッドレンジ力はこちらが上なので、いかに《アマリア》/《野茂み歩き》を除去ししつつミッドレンジを完遂するかという戦いになりがち。ただアマリア側がコンボルートが多いので総合的にきつめ。
サイド後は特効の《墓掘りの檻》、墓地対策、全体除去などがとれるので互角になる。
アグロ全般
ラクドスミッドレンジより若干アグロに弱くなっているが、もともと有利だった分有利。
赤単には回復できるソリンがけっこう活躍する。白単は除去が薄めな分若干きつめだが、序盤をしのいで《説教者》から《切り裂き魔》までつなげれば勝つ。
デッキリスト
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