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好きな建物…建物?

今更ながら、書きかけでほったらかしになっていたやつを。毎週勝手に答えて書いている #あなたに訊きたい7つのこと の中にあった「あなたの最も好きな建物について教えてください」の首謀者からの返答編、に、さらに勝手に返答するつもりでした。もう3週間くらい前の話になってしまいますが。
私はこの質問に対して、メルボルンのSt. Paul Cathedralを選びました。思い出の付加価値も込みで、世界で一番好きな建物。とはいえ思い返してみれば好きな建物は何だかもっとたくさんあって、せっかくなのでここに書いてみることにしました。行ったことのあるところばかり。行ったことなくて憧れの場所はたくさんあるけど(バッキンガムパレスとかビッグ・ベンとか、タワーブリッジとか、キングスクロス駅とかヴェルサイユ宮殿とかエッフェル塔とかね、いろいろ。)、好きな建物として挙げるのはちょっと気が引ける。肌で感じていないのに好きだなんて言えないよ、と。

まず国内。札幌の旧北海道庁。

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朝一番に行ったのだけど、まだ誰もいなくて堪能できました。真っ白な雪と真っ青な空の間に赤煉瓦の庁舎が燃えるように建っているという見事な景色でした。見たこともないようなつららが下がっていて、(刺さったら死ぬ……)と本気で思いました。
左右対象に作られた煉瓦造りの洋館は荘厳で美しく、いつまでも見ていられるなと割と本気で思いながら、寒いのも忘れて見惚れていました。

次は急に海外。まずクライストチャーチ。2011年の地震で倒壊した大聖堂の復興工事が進む中、その工事期間中だけの仮の大聖堂として建てられたのがこちら、Cardboard Cathedral。

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全部紙なんですよ。日本人の建築家、坂茂さんの手によるもので、仮の、とはいえシンプルで美しい大聖堂に世界中から多くの人が訪れています。元の大聖堂が再建された暁(あと7年ほどかかるとは言われています)には取り壊す前提で、自然にも負荷がかからないように、とカードボードを使ったと言われていますが、クライストチャーチ在住の友人は、あんなに美しくて可愛い建物だもの、ずっと置いておけばいいよと言っています。実際にそうなるんじゃないかなあ。高い建物を建ててはいけない(地震による倒壊の恐れがあるから)との法律ができ、空の広いlovelyな町が整備されている反面、まだまだ復興途中で、震災から9年経っても中途半端なまま止まっている区画もあったりして、そんな中でこの大聖堂は今後も大事にされていくんじゃないかという気がしています。やわらかい光が満ちる、素敵な教会でした。石造りでは出せないやわらかな空気が印象的で、ずっと残って欲しいと私も思います。

フィレンツェのサンタマリア大聖堂のドーム。

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小学校の図工だか中学校の美術高の時間でスチロールボードとトレーシングペーパーとワイヤーで立体を作りましょうって課題が出た時に、このドームのような何かを作った覚えがあります。父の勧めで。その時以来、他にはないこの大聖堂のドームにそこはかとない親近感と憧れを抱き続け、本当に行けた時は感動しました。死にそうになりながら登った後で、「登ったらドーム見えへんやん」と当然のことに気づいたのもよく覚えています。

それから、ラヴェンナのガッラ・プラチーディア霊廟。(photo: GFDL, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=327537))

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パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂(photo: By Zairon - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=74705367)

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クラッセ村の聖アポリナーレ・イン・クラッセ聖堂(photo: Berthold Werner - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6375883による)

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全部Wikipediaですみません。
この3箇所は、建物としてもこじんまりとしていたり素朴だったりで美しいわけですが、とにかく内部装飾が美しい。ガッラ・プラチーディアの生涯は涙なしには語れないし、モザイク画の細やかさと美しさと言ったらないですし、スクロヴェーニ礼拝堂のジョットのフレスコ画は思い出すだけで涙が出そうなほど眩くて美しかったです。保護のために、一度に入れる人数は20人程度(だったかな?)にされていて、外のものをできるだけ持ち込まないように空調やドアの開閉まで厳重に管理されていて、その貴重さを身をもって感じました。サンタポリナーレ・イン・クラッセは写真のアプスのモザイク画が壮観で、これ一つで大きな目のようで圧倒されたことをよく覚えています。
神聖な空間で美しい壁画や天井画を前にすると、人は本当に動けなくなってしまいますね。まさしく圧倒される。この瞬間を目に焼き付けなければ一生見られないぞ、というプレッシャーも若干感じながら、動くのを躊躇い、時間の許す限り佇んでいたい、見つめていたい、と思ってしまいます。

好きな建物を聞かれているにもかかわらず、内部装飾の話がどうしても出てきてしまうのは、建物そのものよりもそこに伝わる物語や、天井画や装飾、そこに関わった人の生涯まで気に入った、自分が訪れた場所の方がずっと強く心に残っているからかもしれません。建物、というだけではなかなか「ここ!」と思えないのが本音です。

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これもまた、私のお気に入りの建物です。ヨーロッパやオーストラリアは古い建物を残したまま内部だけ最新にアップデートさせているのが素敵だなと思うわけです。新しければいいってもんじゃない。

また気軽に海外旅行に行ける日が来て欲しいですね。その日がくるまで、お金を貯めながら、ネットの海を泳いでヴァーチャル旅行でシミュレーションでも。もしくは、こちらのマガジンから好きな問いや記事に対して考えたり、とか。


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なちゅん
文章作成と思考整理のリハビリ中です。他愛もない日記のようなものですが、読んでいただけたら幸いです。