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21世紀的ワイコフ

🔹はじめに🔹

ワイコフ理論とかWyckoff Methodなどで知られてゐる投資手法は
20世紀初頭に考へ出されて確立されました
100年以上昔のことです 明治時代です
でもこの記事では
歴史のお勉強としてのワイコフや
投資の教科書の智識としてワイコフなんかぢやありません
今現在實際にトレードで使へるワイコフについて書きます
21世紀的 實踐的 ワイコフ

ところで 關係ないけど中國語でWyckoffつて「威科夫」だつて

威科夫さんぢやなくてワイコフさんは株式トレーダーでした
だからその理論は株式投資に一番ピッタリ
需要と供給そして出來高つて點で
株は先物やFXと本質的に違ひますよね?
考へたことありません?
株は總數が有限だつてこと
たとへば
ソニーグループの發行株式數は 1,248,619,589株
大量だけど 數に限りがあるんです
百萬株ほしければ百萬株保有してゐる人から買ふ必要がある

FXに關しては
圓の發行枚數や弗の發行總數は決まつてゐますが
有限ではない 刷らうと思へばいくらでも刷れちやふ
先物は無限に取引きできます 理論上はね

AccumulationとかDistributionとか
數に限りがある株取引の場合に
一番しつくり當て嵌ります
FXとか先物はあんまきれいにならない
教科書通りのチャートの形になんか
めつたにならないつて意味です

だから
21世紀的實踐的ワイコフつていふのは
ワイコフさんが考へついた相場の原理原則を
今の時代に応用しやうつていふ試みです
要らないものは ぜんぶ捨てます
斷捨離ワイコフ

全部すべて知り盡くしたいつて人は
末尾に【參考文獻】を載せておくので
それらでお勉強してください

ところで
ワイコフさんと同時代に活躍したギャンさんは
商品先物トレーダーでした
だから月とか星とかで相場豫想したんかな
商品先物つて季節周期重要だもんね

ワイコフさんの生涯や業績のことは
かなり詳細に傳はつてゐます
死去する4年前に
「Wall Street Ventures and Adventures」 (1930)つていふ
自傳を出版してゐるし
月刊誌を長期にわたつて刊行してゐたし
推奬銘柄リストを毎週配信してゐたりとか
今で云ふ有料メルマガ 有料noteですね
推奬銘柄の的中率がハンパなかつたので
すごい贖讀者數だつたらしい

晩年にはWall Street Collegeつて
株式投資家を養成する學校の設立思ひついたけど
病いと老いでこれは實現せず

1932年といふから死去する2年前に
自分のトレード手法の集大成を教材にまとめてゐます
A Course of Instruction in Stock Market Science and Technique
A Course of Instruction in Tape Reading and Active Trading
有料情報配信の元祖だけぢやなく
商材屋の元祖でもあつたんですね

實はケメコ
100年前のこの教材の複冩本を持つてます

ワイコフさんの死後も”Wyckoff Course”は
綿々と開講され續けてゐて
いまでも受講できるし受講者もそれなりにいるんだつて

當然ながらその内容は時代の流れや
相場環境の變化に適合するために
省かれたり附け足されたり變更されたり

たぶんもつとも有名なAccumulationとDistributionとか
出來高とプライスの關係とかは
ワイコフさんのオリジナルの教材にはなくて
のちにお弟子さんたちが発展させた考え方つて
落ち穗老師が「世界的Wyckoffian」つて評する
David H. Weisつて人が書いてゐます

Many students who take the Wyckoff course today focus on the models
of accumulation and distribution. Wyckoff never devised such an interpretation of accumulation and distribution. They were added after his death. He certainly discussed some of the features of market behavior that were incorporated into these models. Accumulation and distribution are taught today as behavior revealed on bar charts with volume. Yet, when Wyckoff mentioned these terms, it was mostly in regard to point‐and‐figure charts and never with specific components.

あの有名な「Spring」だつてワイコフさんの言葉ぢやないとか

While the metaphors created by Bob Evans, a famous teacher of the Wyckoff course, describing springs, up‐thrusts, ice lines, and so on, are colorful and instructive, Wyckoff never used such terminology; however, that does not make them forbidden or useless. On the contrary, they are very helpful.

Wyckoff obviously knew the importance of trend lines, channels, and support/resistance lines; however, they are given greater coverage in the modern course.

末尾の參考文獻に日本語のブログ記事を載せてゐますが
その中で「ワイコフ理論」つて説明されてゐることの8割は
實はワイコフさん自身のものぢやないつて感じ

でもそんなpedanticな議論は不毛なだけなので
このnoteで扱ふのは
投資界隈で「ワイコフ理論」として通用してゐるもの
つてざつくり括つてしまひませう

だから「ワイコフ理論」を細部に至るまで
微に入り細にわたつて完璧に理解したり
それをトレードで使ふなんて考へなくつていいんですよ
ワイコフさん自身のものぢやないものだつて含まれてゐるんだから

🔹値動きについてのワイコフさんの発見🔹

1️⃣ 價格は需要と供給の力学で決まる
なぜか英語ではSupply(供給) and Demand(需要)
でも縮めるときは「需給」なんだよな

需要>供給=價格は上昇
供給>需要=價格は下落

2️⃣ 値動きは抵抗が一番少ない線上を移動する
"line of least resistance" といふのがワイコフさん自身の表現
トレンドつていふのは 結局のところ
價格が1つのポイントから次のポイントに動くときに
一番抵抗が少ない道を進んでいく線みたいなものつてこと

1️⃣で云つたことをちよつと云い換へると
供給という抵抗(賣りの抵抗)が少なければ
價格は上昇する
需要という抵抗(買いの抵抗)が少なければ
價格は下がる

ワイコフさんは大口機關投資家のことを
「Composite Man」つて擬人化しました
ちよつとホラーテイストですね
Composite Man(今で云ふSmart Money)が
Accumulation(玉集め 買い集め)局面で
市場に出てゐる賣り注文を全部買ひ集めて
それで もう賣りたい人がゐないつてことが
いろんな方法で確認できたら 上昇トレンドがスタート

抵抗が最小であんま邪魔されずに價格が上がるかを
ちやんとチェックして
賣り手がゐないつてわかるまで
何度もテストを繰り返して樣子を見てゐるのが
Accumulation局面つてこと

賣りの抵抗が邪魔してゐると價格は上がらないわけで
賣りの抵抗をなくすには賣りを全部買ひ漁るしかないわけで
そんなことできるのはSmart Moneyしかないわけで

Composite Man(Smart Money)は
ケメコのために道を備へてくれるんだよね
最小抵抗經路つて道を
ケメコのためにトレンドを發生させてくれる
Composite Man(Smart Money)を敵対視する必要ナシ

横ばいのレンジのときに
トレードしちやいけないのはなぜか
もうわかりましたね?
Composite Manつていふbogeymanみたいなのが
暗躍する獨斷場だからです 近づかないほうがいい
それにそこは抵抗だらけ
買っても上がらない 賣っても下がらない
上昇(または下降)を妨げる抵抗が最小になつて
「line of least resistance」が完成したのを
チェックして確認してから
それに乘つかることが トレードです
後述するPhase Eのところでだけトレードする

一言附け加へておくと
横ばいのレンジが全部Accumulationつてわけぢやありません
どんな横ばいのレンジにもComposite Manが潛んでゐるわけではない
Accumulationではないレンジはもつと厄介なので手出し絶對無用です
Accumulationでない Composite Man不在のレンジはただのランダムです

山内マリコつぽく云ふとしたら
「ランダムな値動きって、正直あんまり気にしなくていいんだよね。すべての取引レンジにプロが絡んでるわけじゃないし、それをちゃんと理解しておくのが大事。もしプロの利益が関与してないなら、価格が動いてるのはただ単にバランスが取れてるからで、どっちかに動いたとしても、結局は反対方向に動いて中和されるって感じなんだよね。だから、無駄に気を張らずに流れを見ておけばいいんだよ」

ICTさんがkillzoneでだけトレードせよつて云ふのも
その時間帯にComposite Man(Smart Money)が
大立ち回りを演じるからなんですよね

3️⃣ 價格は最小抵抗の線を直線的に進むのではなく
  上下に波打ちながら進む
  おつきい波の中には中くらゐの波が
  中くらゐの波の中にはちつさい波がある

When asked whether the market was going up or down, the late J. P. Morgan replied: “Young man, I think the market is going to fluctuate.”

Richard D. Wyckoff

4️⃣ 相場には3つの法則(原理原則)がある
1. The Law of Supply and Demand 需給の力学
2. The Law of Cause and Effect 因果律
3. The Law of Effort and Result 努力と結果

5️⃣ Wyckoff Cycle 市場のサイクル
相場は4つのCycleを循環する
1. Accumulation 玉集め 買い集め
2. Markup (Uptrend) 上昇トレンド
3. Distribution 玉捌き 売り抜け
4. Markdown (Downtrend) 下降トレンド

4️⃣と5️⃣はgistでありmeatなので詳しく後述します

🔹トレンドの強弱を測る🔹

line of least resistanceの強度つて云つてもおなじ

① 推進波(Impulse)の大きさで強度を測る

上の左の畫像で
4-3 > 2-1 = 強いトレンド
6-5 < 4-3 = 弱いトレンド

上の右の畫像で
3-2 > 2-1 = 強いトレンド
4-3 < 3-2 = 弱いトレンド

ワイコフさんはこれを値動きの速度(Speed)つて云ひます

② 戻り(Pullback)の深さで強度を測る

上の左の畫像で
3-4 < 1-2 = 強いトレンド
5-6 > 3-4 = 弱いトレンド

上の右の畫像で
3-2 < 2-1 = 弱いトレンド
4-3 > 3-2 = 強いトレンド

ワイコフさんの時代には
フィボナッチをトレード判断に活用するつて
誰もまだ知らなかつたのでせう
フィボナッチ・エクステンション(エクスパンション)
フィボナッチ・リトレースメントで簡単に測れますね

強い上昇トレンドで
高値更新幅
(現在の高値ー前回の高値)>(前回の高値ー前々回の高値)が
大きくなつてゐるのは
買ひが増加したつてこと

安値切り上げ幅
(現在の安値ー前回の安値)>(前回の安値ー前々回の安値)が
大きくなつてゐるのは
賣りが減少したつてこと

弱い上昇トレンドで
高値更新幅が小さくなつてゐるのは
買ひがしたつてこと

安値切り上げ幅が小さくなつてゐるのは
賣りが増加したつてこと

③ ラインでトレンド強度を測る

更新幅増減や戻りの深度
高値安値の切り上げ/切り下げを
視覺化してくれるのがライン
ライン(水平線)
トレンドライン(斜め線)
チャネル(平行線)
converging line(收束線)
Wyckoff Channelsのことはこちらで

ワイコフでは高値を結ぶラインを Supply Line
安値を結ぶラインを Demand Lineつて呼びます

inverted lines
converging lines

それはさうと
チャネルが轉換する前兆として
チャネルを突き拔ける値動きが見られることがよくあります

Accumulationの終わりに出現するManipulation(ICT用語)の
チャネル版つてとこでせうかね

④ 出来高でトレンドの強度を測る

これには21世紀のツールを使ひませう
Weis Waveはこちらから
Kemeko Deltaはこちらから

🔹需給の力学🔹

The Law of Supply and Demand
Supply = ASK 供給 賣りの圧力
Demand = BID 需要 買いの圧力

We understand that today's markets have changed substantially from those studied by Richard Wyckoff and it is our task to know how to adapt to these changes. But if there is one thing that is unchanging and where the advantage
of this approach over others really lies, it is the principles underlying its teachings. Regardless of how markets and their traders have changed,
everything is still governed by the universal law of supply and demand; and this is the cornerstone of the methodology.

Rubén Villahermosa

これケメコも勘違ひしてたんだけど
買ひ手が賣り手より多いとか
賣り手が買い手より多いとかではないんだよね
だつて買ふためには誰か賣つてくれる人が必要だし
買つてくれる人がいないと賣りたくても賣れない
つまり買ひ手と賣り手はいつだつて同數つてこと

この値段になつたら買はうとか
この値段まで上がつたら利確しようとか
ここまで下がるやうなら損切らうとか
豫約の指値注文(Limit Order)は
價格を動かさない
チャートを作らない
だつてまだ約定してないんだもの
(でも指値注文は價格を止める場合がある)

價格動かすのは成行注文(Market Order)
チャートは成行注文でできてゐる
成行注文は即坐に約定して現實になるから

成行買い注文 Aggressive Demand > 指値賣り注文 Passive Supply
このとき價格は上昇
成行賣り注文 Aggressive Supply > 指値買い注文 Passive Demand
このとき價格は下落

The Law of Supply and Demand 需給の力学
これこそがワイコフトレードの肝ですよね
ワイコフさんの祕傳のお家藝Tape Reading
指値注文の状況を 板で讀み解く
成行注文の状況を 歩み値で讀み解く

ワイコフさんの死後50年ほど経つて編み出された
Market Profileは成行注文の出来高を価格帯別に読み解くツール
Trading Viewでは「Time Price Opportunity (TPO)」
そしてそれの上位互換ツールが出来高プロファイル Volume Profile
さらに歩み値情報をローソク足レベルで読み解くツールがFootprint Chart
ワイコフさんのTape Readingも21世紀になつて進化してますね

Footprint Chart 出来高フットプリント
ケメコは「足跡チャート」つて呼んでゐる👣

① この1本ローソク足の賣りの出来高
② この1本ローソク足の買いの出来高
  ちなみにこのチャートは5分足
③ 1本のローソク足(5分足)の出来高の合計
  デルタ=買い出来高ー賣り出来高
  デルタがマイナスつてことは賣りの出来高が多かった
  デルタがプラスつてことは買いの出来高が多かった
④ POC 一番出来高が多かったところ
⑤ 買いの出来高が賣りの出来高の3倍以上あつたところ(緑の棒線)
  賣りの出来高が買いの出来高の3倍以上あつたところ(赤の棒線)

歩み値とWeis Wave

赤のバー(波)は
歩み値とか同一氣配約定分析で
賣りの成行注文が連続で約定したことを示します

緑のバー(波)は
歩み値とか同一氣配約定分析で
買いの成行注文が連続で約定したことを示します

日本の證劵會社は
買いを赤 賣りを緑といふ風に
國際的慣例に逆らつてゐます
東京のエスカレーターとおなじですね

ちよつと混亂しちやひますが
日本の證劵會社の歩み値や同一氣配約定分析で
赤色の數字が連續するところは
Weis Waveでは緑のバー
緑色の數字が連續するとことが
Weis Waveに赤のバーとなります

Trading Viewはティックデータ不在なので
ティックデータが精確に反映されてゐる
證劵會社の歩み値や同一氣配約定分析と
完全に同じにはなりませんが
買ひが優勢か賣りが優勢かを知るには十分でせう

🔹因果律🔹

The Law of Cause and Effect
もちろんワイコフさんは宗教的な意味合ひや
倫理的な意味で使つてゐるのぢやありません
ワイコフさんの「Cause 原因」つて
横ばいのレンジ局面における
Accumulation/Distributionのこと
そして「Effect 結果」つて
そのあとのトレンドのこと
要するに
ワニさんがぐつすり長い眠りを貪つたあとには
大きなトレンドがやつてくるつてことです

EffectはCauseに比例するとか
Causeに釣り合うEffectとか云ひます
Accumulation/Distributionの長さに比例した
トレンドが発生するってこと

ICTトレーダーはよくアジア/東京時間のレンジを
Accumulationに見立ててロンドン/NYのトレンドを想定しますよね?
このときAccumulationに比例するトレンドつていふのを
頭に思ひ描いてみるといいでせう

ワイコフさんはCause and Effectのツールとして
Point & Figure Chartを使ひました
Trading Viewにも搭載されてゐます

Point & Figure
Point & Figure

「世界的Wyckoffian」David Weisさんは
ワイコフの時代にはまだ知られていなかつたが
練行足の方がPoint & Figureより優秀つて云つてゐます
Weis Waveつていふスグレモノインジケーターは
練行足との試行錯誤から生み出されました

練行足

Accumulation/Distributionを形成しないで
トレンド転換してしまふ例外的なパターンがあります

① V字回帰

ICT用語で云ふCISDですね
CISD = Change in State of Delivery

② ダブルボトム ダブルトップ

V+V=W

③ WammieとMoolah

切り上がったダブルボトム
切り下がったダブルトップ

④ Bear TrapとBull Trap

Bear Trap=賣り手に罠を仕掛ける
Bull Trap=買い手に罠を仕掛ける

🔹努力と結果🔹

The Law of Effort and Result
努力 = 出来高
結果 = 値幅 ローソク足の大きさ ローソク足上昇/下降 高値安値更新

がんばつてこんなに賣り買ひしたから(大きい出来高=Effort)
こんなに價格が動いた(Result)

こんなにがんばつたのに(出来高増加=Effort)
價格はこれしか動かんかつた(Result)

大きな出来高の陽線/陰線なのに(Effort)
高値/安値を更新しなかった(Result)

おつきな出来高とおつきなローソク足でラインをブレイクしたのに(Effort)
そのあとのローソク足でラインの下まで押し戻された(Result)
などなど

ここで登場するワイコフ用語が
Harmony(調和 協調)とDivergence(齟齬 逸脱)
出來高大 + ローソク足大 = Harmony
出來高大 + ローソク足小 = Divergence
出來高小 + ローソク足小 = Harmony
出來高小 + ローソク足大 = Divergence

1本のローソク足とその出来高が最小単位ですが
連続する複数本のローソク足や波などと
それに呼応する範囲の出来高を比較して
HarmonyとDivergenceを探ります

出来高大の陽線/陰線を次のローソク足が更新 = Harmony
出来高大の陽線/陰線を次のローソク足が更新せず = Divergence

出来高大の推進波 = Harmony
出来高小の修正波 = Harmony
出来高小の推進波 = Divergence
出来高大の修正波 = Divergence

價格上昇/下降 + 出来高増加/減少 = Harmony
價格上昇/下降 + 出来高減少/増加 = Divergence

ラインブレイク + 出来高大 = Harmony
ラインで止まる + 出来高小 = Harmony
ラインブレイク + 出来高小 = Divergence
ラインで止まる + 出来高大 = Divergence

出來高大 + ローソク足小 = Divergenceで
大きい出来高だがこれ以上上がらない
價格は上昇だが出来高減少
價格は下落だが出来高増加
出来高を伴ってラインブレイクしたのに戻されてしまふ
Weis Wave

Trading Viewの出来高ローソク足(Volume Candle)
出来高に応じてローソク足の太さが変わります

最近になつて
出来高 + ローソク足の値幅に特化した手法が
編み出されました
Volume Spread Analysis(VSA)つていふの
この「Spread」はFXとかの「スプレッド」ぢやなくて「値幅」
價格の高値と安値の差のこと
さらにこれをもつと使ひやすくした
Volume Price Analysisつていふのもあつたりします
くわしくお勉強したい人は参考文献から

Effort and Resultに役立つツールとしては
ケメコがワイ爺つて呼んでゐるインジケーターや
Volume Spread for VSA
そしていつもの定番
Kemeko Delta と Weis Wave など

ワイコフとKemeko Delta

Deltaつていふのは
買いの出来高と賣りの出来高の差
(買いの出来高ー賣りの出来高)>0の場合
ゼロラインの上に緑の棒グラフで描かれます
(買いの出来高ー賣りの出来高)<0の場合
ゼロラインの下に赤の棒グラフで描かれます

Kemeko Deltaがゼロラインをクロスするのは
賣りと買いの力関係が逆転したつてこと
多くの場合トレンド轉換ですね

ローソク足1本づつのデルタを示すのではなく
デルタの累積を表しています
ゼロラインの上で緑の棒グラフが右肩上がりなら
買いの出来高が累積的に増加してるつてこと
ゼロラインの上で緑の棒グラフが右肩下がりなのは
賣りの出来高が増加したといふより買いの出来高が減少してるつてこと
ゼロラインをマイナスにクロスしてはじめて
賣りの出来高が増加したつてことです
ゼロラインの下の赤い棒グラフの動きもおんなじ要領で考へませう

出来高の累積ですからあまり急な動きは見せません
累積的に増加していつて徐々に累積的に減少していつて
やがてプラスからマイナス(マイナスからプラス)に轉じる
一時的にちょつとだけマイナスとかプラスになることがありますが
それつてトレンドの轉換ぢやなくて押しとか戻しです

🔹7 Logical Events🔹

これはサクッと紹介するだけにしませう
だつてこんな教科書通りのチャートパターンなんて
現場ではほぼほぼ目にすることがないから

Accumulation/Distributionの中身は
7つのイベントでできているつてこと

EVENT Nº1: Preliminary Stop
Preliminary Support (PS) / Preliminary Supply (PSY)

長い下落のあとに/長い上昇のあとに
出来高を伴ふ大きな買ひ/大きな賣りが入る
進行中のトレンドの動きを止めようとする最初の試み
だがしかし 結果的には必ず失敗する
トレンド終焉間近つていふ早めのサイン
そろそろ利確どき?
Accumulationを「Preliminary Support」
Distributionを「Preliminary Supply」

EVENT Nº2: Climax
Selling Climax (SC) / Buying Climax (BC)

これまでのトレンドが辿り着く最終局面
一方的な賣り/買いがしばらく續いたのち
賣り/買ひに極端に偏つた状況になる
賣られすぎ/買はれすぎつてヤツやね
賣りが一巡した後に需給バランスが改善されて
その後に相場が反轉上昇しやすくなる
Accumulationは「Selling Climax」(セルクラ)
下降トレンドにおける最安値
相場の底を示すサイン
この最安値はSpringで更新される
Distributionは「Buying Climax」(バイクラ?買いクラ?)
上昇トレンドにおける最高値
相場の天井を示すサイン
この最高値はUpthrustで更新される

EVENT Nº3: Reaction
Automatic Rally (AR) / Automatic Reaction (AR)
Climaxのあとの自律的反動/反発
市場感情の変化の最初の予兆
賣り/買いが一方的に強い相場から賣りと買いが拮抗する相場へ移行

EVENT Nº4: Secondary Test (ST)
SCあたりまでの試験的下げ
BCあたりまでの試験的上げ
よく投資家がニ番底とか二番天井と認識したりするところ

第5のイベントが起きるまで何度か繰り返しテストする場合がある
レンジの下限だけでなく上限をテストする場合もある

EVENT Nº5: Shaking
振り落し
有名なワイコフのSpring
最安値を更新してレンジを下方向にブレイク
ICTのLiquidity Sweep Liquidity Grab Liquidity Hunt
Distributionで見られるものは「Spring」ではなくて「Upthrust」と呼ぶ

You can make a living by trading springs and upthrusts. Once you become attuned to the behavior of a spring (and upthrust) your eyes will be opened to an action signal that works in all time periods. The spring can provide the impetus for a short‐term pop playable by day trader.

David H. Weis

EVENT Nº6: Breaking
Accumlation中の高値をブレイク
強気のしるし Sign of Strength (SOS)
Distribution中の安値をブレイク
弱気のしるし Sign of Weakness (SOW)

EVENT #7: Confirmation
最後の砦
Accumulation中の最終サポート Last Point of Suppot (LPS)
Distribution中の最終レジスタンス Last Point of Supply (LPSY)

🔹5 Phases🔹

ここもさらりと基本中の基本だけ

Phase A: Stopping the previous trend
Markdown (Downtrend) / Markup (Uptrend) 終了

Preliminary Stop
Climax
Reaction
Secondary Test
4つのイベントがPhase Aで起きる

Phase B: Building the cause
次のトレンドのための仕込み
原則的に5つのPhaseの中で一番期間が長い
4つ目のイベントSecondary Testから5つ目のShakingまで

Phase C: Test
レンジ(ボックス圏)の上限と下限を何度も試す動き
Spring/Upthrustの出現で終わる
5番目のイベントShakingが起きる

Phase D: Trend within range
レンジ(ボックス圏)内での上昇/下降
最後の2つ第6と第7のイベントが起きる

Phase E: Trend out of range
レンジ(ボックス圏)をブレイク
Markup (Uptrend) / Markdown (Downtrend)の始まり

Phase AからDのあいだはノートレード
エントリーしていいのはPhase Eだけ

① Stop the previous trend
② Building the cause
③ Evaluating the competition
④ Start the trend movement
⑤ Confirm the directionality

🔹使へるワイコフ🔹

いつぱいお待たせしました
いよいよ実用的で実戦的なワイコフ

1️⃣ ラインチャートしするとよく見える👀

2️⃣ Accumulation/Distributionを2つに分けて考へる

Spring/Upthrustが起きるまでは何もしない
① Spring/Upthrustを確認
② Spring/Upthrustと逆方向にCHoCHを確認
③ Spring/Upthrustで形成されたOrderblockまでの戻るのを確認

① Spring Liquidity Sweep
② CHoCH (Change of Character) MSS(Market Structure Shift)
③ ロングエントリー

① Upthrust Liquidity Sweep
② CHoCH (Change of Character) MSS(Market Structure Shift)
③ ショートエントリー

3️⃣ Secondary Testの見つけ方
SC (Selling Climax)からAR (Automatic Rally)に
ギャンボックスまたはフィボナッチをあてる
Secondary TestはDiscount Zoneで起きる

BC (Buying Climax)からAR (Automatic Reaction)に
ギャンボックスまたはフィボナッチをあてる
Secondary TestはPremium Zoneで起きる

SC=Selling Climax
AR=Automatic Rally
ST=Secondary Test
SCとARにギャンボックス
Discount ZoneにST
SC割れがSpring

4️⃣ Accumulation/Distributionに出来高プロファイル

Selling Climax/Buying Climaxが
始まつたところを起點に出来高プロファイル

Accumulation/Distributuionが續く間は
POCを中心にVAHとVHLの範圍を上下する
Spring/Upthrustを確認したら
それと逆方向にPOCをブレイクするのを待つ
ブレイク後にPOCまで戻ることが多い

5️⃣ Accumulation/DistributionにVWAP

Selling Climax/Buying Climaxの始まりを起點にVWAP
Spring/Upthrustを確認したら
Spring/Upthrustと逆方向に
VWAPをブレイクするのを待つてエントリー

I am sure that if Richard Wyckoff were alive today, he himself would have taken care to evolve his own teachings to adapt to new markets. As he was at the time, he would have remained a student of volume and this would have led him to delve deeper into tools such as the Volume Profile and Order Flow. 

Rubén Villahermosa

6️⃣ 變則的チャートパターン
變則的Accumulation

變則的Distribution

7️⃣ Step by Step 手取り足取り

① BC=Buying Climax
上昇トレンドの終点
今回の上昇トレンドの最高値 天井
買いの出来高が減少

② AR=Automatic Reaction
BCに対する自律反動的な下げ
通常 ARはこれまでの押し目より深い
BCに引いた引いたギャンボックス(またはフォボ)で
Discount ZoneでARは起きる
BCの買い出来高減少に加えて
ARでは賣りの出来高が増加

③ ST=Secondary Test
BCからARに引いたギャンボックス(またはフォボ)で
Premium Zone内でSTは起きる
ICT用語で云へば Inducement
AR形成のときにできたOrderblockであることが多い
例外的にBCの高値をブレイクすることがある

④ Upthrust
ICT用語で云へば Liquidity Sweep
BCやSTでショートしたトレーダーたちのSLを狩る
Upthrustのあと價格は下がって
その後BCの高値まで戻ることがよくある
これはロングエントリーさせてカモるため

⑤ SOW=Sign  of Weakness
弱気のしるし
Upthrustを高値として高値と安値が切り下がってゐる
CHoCHしてゐる
賣りの出来高増加
買いの抵抗はほとんどなくなってゐる
下降のLine of Least Resistance ほぼ完成
下降トレンドの始まりは ほぼ確定

⑥ LPSY=Last Point of Supply
本格下落トレンド前の最後の小さなレンジ
買いの抵抗が残つていないかを最終確認
この作業終了で下降のLine of Least Resistance完成
下降トレンドの始まり

上はDistributionの例
Accumulationはこれの逆を同じ要領で考へませう

🔹おわりに🔹

ケメコ史上もつとも分量が多い記事になつちやつた
長々とアレコレ書いとゐてイマサラですが
次の3つだけ知ればそれでよしつてことですかね

1️⃣ Price & Volume
ローソク足のサイズと出來高の關係
複數ローソク足の値動きと出來高の關係
波(波動)と出來高の關係
これによつてPathe of Least Resistance
最小抵抗經路の道筋が見えてきます

2️⃣ Absortion
Accumulationでは
上昇のPath of Least Resistanceを作るために
その妨げになる賣りの抵抗を吸收しおく
吸收=Absortion

Distributionでは
下降のPath of Least Resistanceを作るために
その妨げになる買いの抵抗を吸收しおく

AccumulationとかDistributionとか云つてますけど
どちらも要するにAbsortion
買ひ/賣り注文を取り込んで 吸收して
買ひ/賣りの抵抗が最小になつたら
ようやく價格は上昇/下降する

これは天底にだけみられるわけぢやなくて
トレンド途上にも頻繁に現れます
TrendとAbsortion
チャートはこの2つでできてゐる

3️⃣ SpringとUpthrust

この2つだけトレードしても十分に食つていける
つてDavid Weisさんは云つてゐます
Weisさんの友人で弟子だつたGary Daytonさんは
SpringとUpthrustしかトレードしないんだつて
本業は精神科醫ですけどね
「Trade Mindfully」つて本の人

Absortionを見つけて
Spring/Upthrustを確認して
價格と出來高の關係をよく見てエントリー

エントリーしたあとは
引き續き價格と出來高に注視して
増し玉したり利確する

水平線も斜め線も
この3つをわかりやすくするために引く
インジケーターやオシレーターも
この3つがよく見えるものを嚴選して使ふ

これがトレードで勝ち續けるための
ワイコフの方程式つてことで
Dixi.

When I first heard of the Wyckoff method, it was spoken about in hushed tones. No one wanted to let too many people in on the best‐kept trading secret. Even today, one of my friends doesn’t want me to divulge all of this information. The reason is simple: it works, so why publicize it? As I said in the Introduction, I have no secrets, and I’m certain Wyckoff did not either. His avowed purpose was to help traders develop an intuitive judgment with which to read what the market says about itself rather than to “operate in a hit or miss way.”

David H. Weiss

🔹参考文献🔹

Richard D. Wyckoff
Studies in Tape Reading (1910)
How I Trade and Invest in Stocks and Bonds (1924)
A Course of Instruction in Stock Market Science and Technique (1931)
A Course of Instruction in Tape Reading and Active Trading (1932)

David H. Weis
Trades About to Happen: A Modern Adaptation of the Wyckoff Method (2013)
落ち穂note『Weiss Wave』参照

Rubén Villahermosa
The Wyckoff Methodology in Depth: How to trade financial markets logically (2019)
Wyckoff 2.0: Structures, Volume Profile and Order Flow (2021)

Gavin Holmes
Trading In the Shadow of the Smart Money: How To Understand Market  Manipulation and Become Profitable By Understanding How To Read a Chart Like the “Smart Money” By Using Volume Spread Analysis™ (2011)

Anna Coulling
A Complete Guide to Volume Price Analysis (2013)

Muhammad Uneeb
The Wyckoff’s VSA Methodology: Trading in Harmony with Smart Money

リチャード・D・ワイコフ
ワイコフの相場成功指南 勝つための板情報の読み方入門

アナ・クーリング
出来高・価格分析の完全ガイド
出来高・価格分析の実践チャート入門

YouTube
📺David Weis on Wyckoff, Support/Resistance, and Waves
📺How to Trade Like the Banks - Wyckoff Method Explained in 8 minutes
📺The ULTIMATE Wyckoff Trading Course
📺Wyckoff Trading Simplified | My Approach (Smart Money Trading)
📺WYCKOFF TRADING SIMPLIFIED - How to Trade Wyckoff the Easy Way!
📺Wyckoff + Smart Money Concepts Full Course | Step by Step Tutorial
📺Wyckoff + SMC ( Smart Money Concepts ) Masterclass
📺How SMC and ICT Secretly Copied the Wyckoff Trading Method
📺Cracking the Code of VSA: Learn from Tom Williams and Gavin Holmes
📺Learn VOLUME SPREAD ANALYSIS in less than 20 Minutes!
📺TRADING PRICE ACTION (Validated by trading volume)
📺【誰も知らなかった出来高分析奥義!】出来高分析マスター講座

サイト
💻ワイコフ理論とは?ワイコフ理論による相場分析やサイクルの種類、トレード手法を解説!
💻ワイコフ理論の解説!スマートマネートレーダーが知るべき相場の秘密
💻ワイコフ理論とSMCを組み合わせる考え方を解説

note
落ち穂
Volume Profile 出来高プロファイル
Weis Wave
Wyckoff Channels
ケメコ
Richard D. Wyckoff「Stock Market Techinique」(1933)
Richard D. Wyckoff「Studies in Tape Reading」(1910)

🔹【おまけ】🔹

物好きな人のために詳細な図形上げておきますね

Accumulation

Accumulation
The process by which large traders absorb available stock from the market. This is a transfer from retail traders or "weak hands" to strong traders or "strong hands".

Creek: Resistance level for accumulation or re-accumulation structures.
It is  established by the high generated by the Automatic Rally and by the highs that can be developed during Phase B.

CHoCH: Change of Character.
It indicates the environment in which the price will move soon. The first CHoCH is established in Phase A where the price moves from a downward trend to a consolidation environment. The second CHoCH is set from the low of Phase C to the high of SOS in which the price moves from a consolidation environment to an upward trend environment.

Phase A: Stopping the previous bearish trend
PS: Preliminary Support.
It's the first attempt to stop the downward movement that will always fail.
SC: Selling Climax.
Climax action that stops the downward movement.
AR: Automatic Rally.
Bullish reaction. An upward movement that sets the trading range high.
ST: Secondary Test.
Test of the level of supply in relation to climax action. Establishes the end of Phase A and the beginning of Phase B.

Phase B: Construction of the cause.
UA: Upthrust Action.
Temporary breakout of the resistance and re-entry into the range. This is a test at the high generated by the AR.
ST as SOW: Secondary Test as Sign Of Weakness.
Sample of weakness in test function. Temporary break of the support and re-entry to the range. This is a test at the low generated by the SC.

Phase C: Test
Spring: 
It is a test in the form of breakout of the lows of Phases A and B. There are three different types of Springs. Test Spring. Downward movement towards lows of the range in order to check the commitment of the sellers.
LPS: Last Point of Support.
Test in the form of a bearish movement that fails to reach the low range.
TSO: Terminal Shakeout or Shakeout.
Abrupt movement of low breakout that produce a deep penetration of the level of support and a fast recovery.

Phase D: Bullish trend within the range.
SOS: Sign of Strength.
Bullish movement generated after the Phase C Test event that manages to reach the top of the range. Also called JAC. Jump Across the Creek. Creek jump.
LPS: Last Point of Support.
These are the rising troughs we find in the upward movement towards resistance. BU. Back Up. This is the last big reaction before the bull market starts. Also called BUEC. Back Up to the Edge of the Creek. Back to the creek.

Phase E: Bullish trend out of range.
Succession of SOS and LPS generating a dynamic of rising highs and lows.

Distribution

Distribution
The process by which large traders distribute (sell) stock. This
is a transfer from the strong traders or "strong hands" to the retail traders or "weak hands".
ICE: Level of support for distribution or redistribution structures.
It is established by the low generated by the Automatic Reaction and by the lows that can be developed during Phase B.
CHoCH: Change of Character.
It indicates the environment in which the price will move soon. The first CHoCH is established in Phase A where the price moves from an upward trend environment to a consolidation environment. The second CHoCH is set from the high of Phase C to the low of the SOW in which the price moves from a consolidating environment to a downward trend environment.

Phase A. Stop the previous trend.
PSY: Preliminary Supply.
It's the first attempt to stop the climb that will always fail.
BC: Buying Climax.
Climax action that stops the upward movement.
AR: Automatic Reaction.
Bearish reaction. Bearish movement that sets the low range. ST. Secondary Test. Test of the level of demand in relation to climax action. Establishes the end of Phase A and the beginning of Phase B.

Phase B. Construction of the cause.
UT: Upthrust.
Same event as accumulation UA. Temporary breakout of the resistance and re-entry into the range. This is a test at the high generated by the BC.
mSOW: Minor Sign of Weakness.
Same event as ST as SOW of accumulation. Temporary break of the support and reentry to the range. This is a test at the low generated by the AR.

Phase C. Test
UTAD: Upthrust After Distribution.
It is a test in the form of breakout of the highs of Phases A and B.
UTAD test.
An upward movement that goes up to check the level of commitment of the buyers.

Phase D. Bearish Trend Within Range.
MSOW: Major Sign of Weakness.
Bearish movement originated after the Phase C Test event that manages to reach the bottom of the range generating a character change.
LPSY: Last Point of Supply.
These are the decreasing highs we find in the bearish movement towards support. Also called FTI for Fall Through the Ice.

Phase E. Bearish trend out of range.
Succession of SOW and LPSY generating a dynamic of lower highs and lows.