クロス通貨の計算式と深掘り、割り算で求められる通貨ペアは伸びやすい
クロス通貨は米ドルを介さない通貨ペアを呼ぶが、今回はこのクロス通貨について深掘りしていく。
USDを介さないと言っても、EURJPYで買う取引する際は、EURを売ってUSDを購入し、そのUSDを使ってJPYを買っているので、USDはレート計算で密接に関係しており、ドルストレートは計算には絶対使われる。
(EURJPYを導き出すのに、EURUSDとUSDJPYを計算の対象とする)
その計算方法が掛ける(乗法)、もしくは割る(除法)のどちらかとなり、通貨ペアそれぞれどちらを用いるのか異なる。
★割り算で求められる主なクロス系通貨
○○/USD÷○○/USD
EURAUDだと、EURUSD÷AUDUSDの計算をすることでEURAUDが完成する。
割り算で求める通貨ペアであることから、
絶対覚えておきたい特徴が存在する。
それは通貨ペアの左側のドルストレートが100pips動くのと、右側のドルストレートが100pips動くのとではクロス系通貨の差が大きな違いを見せることである。
(実際の相場で片方だけ100pips動くといったことはかなり少ないが、今回は例え話として進める。)
ここではEURUSD=1.08000、AUDUSD=0.72000を基準にして、それぞれの通貨を100pipsの差をつけて計算してみる。
*基準値
EURUSD→1.08000÷
AUDUSD→0.72000=
EURAUD→1.50000
●EURUSDだけ+100pipsにした場合
EURUSD→1.09000÷
AUDUSD→0.72000=
EURAUD→1.51388
今回のEURAUD→1.51388-
基準値EURAUD→1.50000=
+138.8pips
●AUDUSDだけ+100pipsにした場合
EURUSD→1.08000÷
AUDUSD→0.73000=
EURAUD→1.47945
基準値EURAUD→1.50000-
今回のEURAUD→1.47945=
-205.5pips
通貨の左側と右側が同じ量動いたとしても、割り算の性質により差が約1.48倍も生じてしまうことから、通貨ペアの右側が動く方がよく伸びる傾向にあるので、割り算のクロス系通貨は右側に依存させる方が良かったりする。
EURAUDの場合であれば、AUDUSDがよく動けばEURAUDは大きめにトレンドを形成しやすいことになるので、その特徴を活かせば勝率は上がりやすくなる。
他の割り算通貨ペア
EURNZD
GBPAUD
GBPNZD
EURGBP
AUDNZD
★掛け算で求められる主なクロス円通貨
○○/USD×USD/○○
掛け算で求められるのに多いのはクロス円。
例えばポンド円の場合ならGBPUSD×USDJPY=GBPJPY
○○/USDのようにUSDが右側に付くものであれば
掛け算で求められるため、左右のどちらが伸びても生じる差は同じ。
すなわち掛け算通貨ペアは、どちらかが極端に強いトレンドを形成している通貨側でエントリーする方が利益を上げやすくなる。
GBPJPY買いなら、GBPUSDあるいは、USDJPYのどちらかが強い上昇をしていれば良い。
しかしGBPUSDの上昇が強くて、USDJPYの下落が強いなど状態であればGBPJPYは拮抗するので要注意。
他の掛け算クロス円通貨ペア
EURJPY
AUDJPY
NZDJPY
★掛け算で求められる主なクロス系通貨
○○/USD×USD/○○
クロス円以外でも掛け算通貨ペアは存在する。
例えばGBPCHFの場合は、GBPUSD(右側USD)とUSDCHF(左側USD)を用いなければならないが、USDCHFだと左側にUSDがついているので、計算式は先程のクロス円と同じ数式を使う。
ちなみに計算式は以下の通り↓
GBPUSD×USDCHF=GBPCHF
GBPCADの場合も↓
GBPUSD×USDCAD=GBPCAD
他のクロス系通貨ペア
EURCHF
AUDCHF
NZDCHF
EURCAD
AUDCAD
NZDCAD
★両方共左側にUSDが付く場合のクロス系通貨
USD/○○÷USD/○○
CADCHFという通貨ペアの場合(あまり使用しない人の方が多いと思う)、
USDCHFとUSDCADの組み合わせになるので、どちらも左側にUSDが付いてるもの同士となる。
この場合の計算式は↓
USDCHF÷USDCAD=CADCHF
実際計算するとこれで合う。
USDCADで割っている計算なので、USDCADの動きに依存させる方が値幅を取りやすい傾向にある。
USD/CHF、USD/CAD共に同じ方向のトレンドであっても、USD/CADの方強い動きをしていればCAD/CHFは十分エントリーできるだろう。
★クロス円なのに割り算
USD/○○÷USD/○○
クロス円は大体掛け算で成り立つが、
CHFJPYの場合、USDCHFを用いるため、USDが先頭に付いていることから以下のようになる↓
USDJPY÷USDCHF=CHFJPY
よく見ると、両方とも左側にUSDが付いているので、先ほどの分類と一緒になるが、今回クロス円なのに割り算を用いるという意外性を強調するためにあえて別分類としている。
USDCHFの動きに依存させる方が恐らくCHFJPYはわかりやすい傾向にあるかもしれないが、USDJPYがすべからく好調な時は、素直にCHFJPYもその動きに従う方が良い。
他にもCADJPYなら、
USDJPY÷USDCAD=CADJPYとなる。
●個人的な意見
割り算で求められるクロス系通貨の方が偏りがわかりやすいので、EURAUDといった通貨は個人的には好きな部類に入る。
AUD自体がそこそこトレンドが出る率もたかいので、EURAUDのボラも広がることに繋がり、トレンドフォローで値幅を取りやすい。
掛け算の通貨ペアは、どちらかが極端に強めでないとなかなかエントリーはしにくい。
なので極端に強い取引がなされている方に従ってトレンドフォローするのが一番安定する。
2022年は円安相場ということもあり、USD/JPYの極端な動きにより他のクロス円もそれにつられて強い上昇をしていたが、強い動きがある時は掛け算通貨ペアは自信を持ってトレンドフォローできる。
しかしどの通貨が強い・弱いかは、既に完成したチャートだからハッキリ分かることで、トレンドが出てからでは遅いのでは思われるかもしれないが、トレンドの初動を逃した場合でもトレンド中に生じる押し目や戻りを捉えられれば十分狙える可能性はあるので、悲観はしなくてよい。