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ホラー小説「ドールハウス コレクション」第21話 人形という名の死体

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


49.愛美 2023年10月21日

今日は休みの日。
そして、ツバサちゃんとモニカちゃんがマリーちゃんの屋敷に来る日。

朝は朝食を済ませて、支度をした。
目立たない服を着て、帽子を深く被り、指紋が付かないように手袋を付けた。
スーツケースを転がしながら、片手に延長コードを持って家の裏口から出た。

ツバサちゃんを捕まえる予定の場所で待ち伏せした。
待っていると、ほぼ予定通りの時間にツバサちゃんが現れた。
ツバサちゃんの後ろに近づいて、首を延長コードでギュッとした。

ツバサちゃんは苦しそうに抵抗していた。
抵抗するツバサちゃんを見ていると、もっと苦しめたくなっちゃう。
カッコよくて可愛い顔をしたツバサちゃんが苦しむ姿を楽しみたい。
「うげぇ!ぶるじいぃ!」
もっと息苦しくして!苦しむ美しい顔が可愛くて、たまらないの!
ゆっくり絞める力を強くしながら、苦しむツバサちゃんの姿を楽しんでいた。

マリーちゃんを捕まえた時、苦しむ姿が可愛かった。
今でも、息苦しそうなマリーちゃんの表情が忘れなれない。
お人形さんを捕まえる時はいつも、じっくり首を絞めて楽しんでいる。
でも、お人形さんになった後は苦しめた分、愛を注いでいる。

ツバサちゃんは苦しんだ後、人間としての命を落とした。

ツバサちゃんの脚の傷、きっと辛くてツバサちゃんが自分で付けたのだろう。
ツバサちゃんは愛してくれる人が居なくて、寂しかったはず。
でも、これからはツバサちゃんをお人形さんとして可愛がってあげる。

わたしはお人形さんになったツバサちゃんをスーツケースに入れて、マリーちゃんの屋敷まで運んだ。
二階の部屋にツバサちゃんを置いて、次は春香さんを迎えてお人形のモニカちゃんにする準備をした。
服を着替えて、春香さんと待ち合わせをしていた場所へ向かった。

50.美夏

バイト先に向かっていると、突然誰かが後ろで首を絞めてきた。
ゆっくり、首を絞める強さが強くなっていった。
抵抗しようとしたが、力が出なくなった。
あたしはどうやら死ぬみたい。

51.春香

待ち合わせの約束をしていた場所で愛美ちゃんを待っていた。
「春香さん、待たせてしまったかな。」
予定の時刻が近づいてくると、愛美ちゃんが現れた。
愛美ちゃんの案内で家族が所有する古いお屋敷に行くことになった。

愛美ちゃんの家にある本物の日本刀が見れるので、先日からこの日を楽しみにしていた。
「春香さんって、日本刀が好きなんですね。」
愛美ちゃんは私に声を掛けた。
「うん。カッコよくて好きなんだ。」
私はこう答えた。
「楽しみにしてくれて、嬉しいわ。」
愛美ちゃんは目を輝かせながら、笑顔でこう言った。
今日の愛美ちゃんはいつもより、ニコニコしていて機嫌が良さそうだった。

愛美ちゃんと他愛のない会話をしていると、あっという間に古い屋敷に着いた。
そこは愛美ちゃんの家族が代々所有している洋館だった。
玄関で靴を脱ぐと早速、客間へ案内された。
私は客間のふかふかして座り心地が良さそうなソファーに座った。

愛美ちゃんは「少し待っててね」と言った後、客間を出た。
待っている間、鞘に入った刀を眺めていた。
その後、愛美ちゃんはお盆に乗った日本茶を持ってきて戻ってきた。
ちゃんとした、おもてなしをしていた。

「春香さん、早速日本刀に夢中だね。」
「これは、家族が代々引き継いでいるものなの。」
愛美ちゃんは日本刀について説明した後、鞘から刀を抜いて刀身を見せてくれた。
刀を抜いた後、愛美ちゃんは刀を構えていた。
刀を抜く愛美ちゃんの姿は美しい長い黒髪と合わさって、カッコよかった。
「カッコいいなぁ。」
私は刀に見惚れていた。

「春香さんも持ってみる?」
愛美ちゃんが私に刀を持ってみないかと聞いていた。
「え!?本当にいいの?」
私は愛美ちゃんが机に置いた日本刀を手に取ってみた。
持ってみると、ずっしりして重かった。
「どう?カッコいい?」
私は憧れの日本刀を持って、興奮していた。

「入れたお茶もすごくいい物を入れたから、冷めないうちに飲んでほしいの。」
愛美ちゃんはお茶のことを言っていた。
日本刀を持って満足した後、愛美ちゃんが入れてくれたお茶を飲んでみた。
ちょうどいい温度になっていて、美味しかった。

お茶を飲んだ後も、机に置かれた日本刀を眺めていた。
愛美ちゃんはレコードを取り出し、蓄音機でレコードを掛けた。
部屋中にクラシック音楽が流れていた。

ふかふかのソファー、温かいお茶、優雅な音楽。
刀を眺めていると、これらの要素が眠りを誘った。
「ねぇ、このソファーふかふかだね。」
「このソファーでお昼寝すると、気持ちよさそうだね。」
「眠くなってきたし、お昼寝していいかな?」
わたしは次第に眠くなって、ソファーで寝てしまった。

52.愛美

お茶に仕込んだお薬が効いたみたい。
お茶を飲んだ春香さんはしばらくした後、ソファーで眠った。

さっきまで、憧れの日本刀を持ってはしゃいでいたのに。
すやすや寝ている。
寝ている顔がとても、可愛かった。

様子を見た後、春香さんを触って何も反応しないことを確認した。
確認した後、車いすに乗せて春香さんを二階に運んだ。
運ぶ際に衝撃がしたけど、それでも春香さんは寝ていた。
よほど、熟睡しているみたいだ。
ツバサちゃんと同じ部屋まで運んで、その部屋に春香さんを置いた。

置いた後、わたしはマリーちゃんの部屋に向かった。
今日もマリーちゃんは可愛かった。

「今日も可愛いね、マリーちゃん。」
わたしは可愛いマリーちゃんをしばらく眺めていた。

53.美夏

ハァハァ、息が苦しい。あたしは気絶していたようだ。
気づいたら、持っていた持ち物が無い。スマホも財布も。
さらに、目が覚めたら知らない部屋に居た。しかし、目覚める前の事が思い出せない。
そこはレトロでエレガントみたいな感じの部屋だった。
床はフカフカなカーペット。天井にはきれいなシャンデリア。
倒れて病院に運ばれたわけではないのなら、ここはどこだろう?誘拐された?あたしは混乱していた。
周りを見渡すと、部屋の隅には椅子に座っている人が居て、あたしの隣には女の人が倒れていた。私は話しかけた。
「すみません、ここはどこなの?」と声を掛けた。
倒れていた女の人が目を覚ました。あたしと年が近い少女だった。
「ふぁ~おはよう。」彼女は眠たそうにしていた。

54

愛美は殺害した犠牲者の死体を「人形」と呼んで愛していた。
愛美にとって、マリー達「人形」は自分に文句を言わない都合のいい友達だった。

愛美は自分が創造した人形の世界に深く溺れていた。


関連作品

この小説の続きです。
こちらも読んでくださると嬉しいです。

「ドールハウス コレクション」は去年公開した「ドールハウス」という小説の前日譚です。
この小説に登場した美夏と春香が主人公の話になっています。

あとがき

最後まで「ドールハウス コレクション」を読んでくださりありがとうございます。
この小説は前作「ドールハウス」の事件の始まりから詳しく書いた前日譚でした。
今作のテーマは「崩れていく日常と壊れていく主人公」という感じで、主人公の愛美の日常描写にこだわりました。

愛美は好きだった人形のマリーに似た小柳百合という人物と出会い、尾行の上殺害。
愛美は逮捕されることが無かったものの、徐々に日常が崩れ始める。
私はそういう話を書きたいなと思い、前作の小説の事件を土台にした今作の小説に仕上げました。

友人の春香との関係の描写も今作の後の時系列である前作につながる要素になので、そこもこだわりました。

今作を投稿して気づいたのですが、主人公の愛美のヤバいところが出ている場面がある回では「スキ!」の数がほかの回に比べて多めという印象がありました。
気に入ったシーンがある回は「スキ!」を付けるというパターンの方が居るということでしょうか。

今作は殺人鬼の佐々木愛美のことを詳しく書けて楽しかったです。
個人的に佐々木愛美のような「放っておくと、取り返しのつかないことになる女の子」を書くのが楽しいので、今後もこんな感じの女の子を題材にしたいです。

今作は前作の事件の経緯を描くため、前作の時点から数か月さかのぼるという話の都合上長い話になってしまいましたが、改めて最後まで読んでくださりありがとうございました。

今後はゲーム制作をやってみたいと思っていて、ゲームの原作となる小説は構想の段階です。

また、前作「ドールハウス」も映像化に取り組んでおります。
こちらも楽しみにしてください。

今後も私の一次創作を応援してくれると嬉しいです。

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