ホラー小説「ドールハウス コレクション」第17話 絵本の魔法使い
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39.愛美 2023年9月25日
今日は月曜日、二日ぶりに春香さんに会える。
いつ見ても、春香さんは可愛い。
トレードマークのメガネがとても似合ってる。
わたしは春香さんのことが大好き。
お人形さんにして、可愛がってあげたいくらいだった。
春香さんを眺めていた。
子供の頃、大好きだった絵本の魔法使いの女の子に似ていた。
その女の子の名前はモニカ。
春香さんに絵本の魔法使いのお洋服を着せたら、似合ったりして。
「愛美ちゃん、ずっと私を見てるね。照れちゃうよ?」
春香さんはわたしの視線に気づいたようだ。
「ごめんね。」
わたしは、すぐに春香さんに謝った。
「いいのよ。私も愛美ちゃん大好きだよ。」
春香さんは笑って許してくれた。
でも、いつ春香さんがわたしを傷つけるかわからない。
だから、春香さんを優しいお人形さんにしてあげたかった。
もし、春香さんをお人形さんにするなら絵本の魔法使いにする。
名前はモニカで、絵本の世界からやってきた。
魔法でみんなを笑顔にしてくれる子。
春香さんらしくて、素敵なお人形さんになれるね。
昼休みになったら、こっそりモニカちゃんの絵を描こうかしら。
40.春香
昼休みになって、私は自販機でジュースを買って飲んでいた。
教室では愛美ちゃんがスケッチブックを取り出して、絵を描いているみたいだった。
暇なので、愛美ちゃんの絵を見てみることにした。
愛美ちゃんはいつものように可愛らしい女の子の絵を描いていた。
描いていた女の子は眼鏡を掛けていて、羽織っている服はいわゆる萌え袖で可愛らしく、その下にシャツを着てネクタイを付けている。
「この子、かわいいね。」
私は愛美ちゃんに声を掛けて、褒めた。
しかし、愛美ちゃんは私に気づくとすぐに絵を隠した。
いつもは隠すことなんて、あまりしないはずなのに。
「恥ずかしいから、見ないで!」
愛美ちゃんは私にその絵を絶対に見せたくないらしい。
まだ、見せれる段階じゃなかったのだろうか。
私は「ごめんね。」と謝った。
41.愛美
モニカちゃんの絵を春香さんに見られかけた。
絶対に見られたくなかった。
もしも、春香さんを殺してお人形さんにしようと気づかれたら終わりだ。
用心しないと。
メガネに顔も春香さんに寄せて描いたので、見られたら絶対に何か思われるかもしれない。
いつ、モニカちゃんをコレクションに入れるか。
どうやって、春香さんの身体から邪魔な魂を抜くか。
ということを考えていた。
モニカちゃんは絶対にコレクションに入れたかった。
なぜなら、春香さんとずっと友達で居たいから。
わたしと春香さんは永遠に友達。
マリーちゃんの次にできたお友達だから。
いつか、春香さんをお人形さんのモニカちゃんにして可愛がってあげる。
わたしのマリーちゃんに会わせてあげるから。
その日まで、待っていてね。