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ホラー小説「ドールハウス」第4話 友達

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


7.美夏

応接間には飲みかけの日本茶しかなかった。脱出に使えそうなものは無い。
別の部屋を探そう。
応接間を出た。
この屋敷のロビーは広い。
やっぱり、ロビーもあるホラーゲームの洋館とそっくりだ。
こんな状況じゃなかったら、楽しめていただろう。
「ねぇ、春香。この屋敷、ホラーゲームに出てくるような洋館みたいだね。」私は春香に話しかけた。
「ゲームはやらないから分からない。」春香は知らないようだ。
話がスベってしまった。あぁ、なんか気まずかった。
そんなことは構わずに、ドアを開けて応接間の隣の部屋に入った。
そこは本がぎっしり詰まった本棚に囲まれた部屋だった。
図鑑とかいろいろな本がある。かつての館の主が教養深い上流階級の人間という事が想像できる。
ここに脱出に使えそうな物があればいいのだが。
まずは机とか引き出しを探ってみたが使えそうな物は無かった。
机の上にはノートパソコンと一眼レフカメラ、写真のアルバムがあった。
あたしはどんな写真が入っているか気になって、一眼レフカメラのSDカードに入ってる写真を見てみた。
まず出てきたのは学校の制服を着た春香の写真が数枚。
このカメラは佐々木愛美が写真部で使っているものだろうか?
春香が佐々木愛美に頼まれて写真のモデルになったという背景が浮かんでくる。
確かに春香は可愛いから被写体にもってこいなんだろう。あたしは思わず「すっごくかわいい。」とつぶやいてしまった。
次に出てきたのは春香と佐々木愛美が二人で写ってる写真。二人は仲良さそうに笑顔で写っていた。
よく見ると、聖イリス女子学院の制服を着ている。あそこは有名な進学校。あたしとは正反対だなぁ。
この写真の佐々木愛美は大人しくて、かわいい感じだった。死体で人形遊びをしていた子とは思えない。
「ねぇ、春香。この写真に写っている佐々木愛美ってアイドルみたいで可愛いね。男子にモテそうだね。」
あたしは佐々木愛美が意外にも可愛かったという話をした。
「確かに愛美さんは可愛いという印象だった。育ちが良さそうなお嬢様という感じね。」
「男の子にモテそうだけど、愛美は恋には関心は無いと言っていた。」
春香は佐々木愛美の印象について話していた。

8.春香

美夏さんが愛美の一眼レフカメラに入ってた写真を見ていた。
私も横で美夏さんが手にしている一眼レフカメラの液晶画面を見ている。
カメラには愛美さんが撮影した私の写真が入ってて少し恥ずかしい。
美夏さんは私の写真を見て「可愛いな」と言っていた。こう言われると照れちゃう。
確か、この一眼レフカメラは愛美さんが去年の誕生日に親から買ってもらった物らしい。
前に愛美さんに見せてもらって、うらやましいなと思った。
そんな私を見た愛美さんが貸してくれて、少し使ってみたけどちょっと難しかったな。
カメラの写真を見ていた美夏さんは写真の愛美さんが可愛いという話をした。
私もそう思っていた。愛美さんは表情が硬いけど、微笑むとすごく可愛い。
でも、可愛いから男の子にモテそうなのに裏切られるのが怖いから、恋に興味が無いと言っていた。可愛いのにもったいないなと思った。
私も机の上を見ていたら、ノートパソコンの横に「マリーのアルバム」と書かれた写真のアルバム、その下には日記帳が置いてあることに気づいた。
マリーって、愛美さんが小柳百合の死体に呼び掛けていた名前?
きっと、中身は恐ろしい物かもしれない。でも、気になってアルバムを恐る恐る開いた。
最初のページは行方不明になる前だと思われる小柳百合の写真があった。
何の変わりのない日常の写真みたいだ。しかし、盗撮した写真と思われる。
写真の横にはコメントが書いてあった。文字を見ると、愛美のものだ。
「笑ってるマリーちゃん!可愛いね。」と書いてある。
次のページを開いてみた。
最初に目に入ったのは、椅子に座った小柳百合の死体の横で愛美さんが楽しそうに笑顔を浮かべている写真。
学校では表情が硬く、少し微笑むくらいだった愛美さんが楽しそうに笑っている。
しかし、その笑顔は不気味だった。
次のページには目にバラが刺さっている死体と小柳百合の死体が並んで写ってる写真があった。
目にバラが刺さってる死体は金髪の長い髪という特徴がある。
もしかして、行方不明になった黒川玲?金髪の長い髪と顔が似ている。
「マリーちゃんのあたらしいお友達シェリルちゃん。」と書かれてあった。
ほかにも小柳百合の死体の写真が収められていた。
どれもポートレートのように撮られていて、まるで生きているような構図で撮られていた。
愛美が小柳百合の死体に別の命を吹き込んでいるように感じる。
しかも、このアルバムの写真を撮っているのは私の友人。そのことが一番怖かった。

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