見出し画像

ホラー小説「ドールハウス コレクション」第13話 不思議なシェリルちゃん

前回はこちら

注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


30.愛美 2023年6月22日

今日も学校が終わって、春香さんと途中まで下校していた。
「愛美ちゃん、日曜日のこと忘れないでね!」
春香は日曜日にみなとのかぜ公園に行くのを楽しみにしていた。
道が分かれて、春香さんと別れた。
わたしは急いでバス停に向かって、すぐに目的地に向かうバスに乗った。
バスには長い金髪の女の子が居た。
その子の名はシェリル、マリーちゃんのお友達。
最近はシェリルちゃんが乗るバスの時刻に合うようにバスに乗っている。
シェリルちゃんはいつも、わたしが下りるバス停の一つ前で降りている。
わたしもそこで降りて追っかけていた。
彼女を見届けた後、いつもより少し歩いて家に帰った。

家に着くと、自分の部屋のクローゼットを開けた。
そこにはシェリルちゃんのために準備したお洋服と靴。
そして、シェリルちゃんのおめめに咲いている不思議なバラがあった。
明日、お迎えに行くからね。

31.愛美 2023年6月23日

学校が終わったら、シェリルちゃんをお迎えに向かった。
シェリルちゃんが乗っているバスに乗って、シェリルちゃんが下りるバス停で降りた。
通行人が少ない墓場の近くを通るまで後を付けた。
先週から計画を立てていた。
人気が少なくなってきた所で、わたしはカバンから延長コードを取り出してシェリルちゃんの首を絞めた。

「やめろ!」
シェリルちゃんは抵抗し始めた。
すこし痛くて苦しいけど、我慢してね。
頑張れば、お人形になってマリーちゃんに会えるよ。
「えい!」
シェリルちゃんはわたしの足を蹴ろうとしたが、なんとか避けた。
力強く抵抗していたが、段々シェリルちゃんの力が弱くなって倒れた。
倒れたシェリルちゃんを一旦、墓場の敷地にある草むらに運んで隠した。
そこから、家に戻ってキャリーケースを持って急いで草むらに戻ると、すぐにキャリーケースにシェリルちゃんを入れて、洋館に連れて行った。

洋館に着いたらシェリルちゃんを洗って、首の後ろを切って血を抜いた。
明日になったら、全部抜けているはず。
その後、マリーちゃんに会いに行った。
「明日、シェリルちゃんに会えるよ!」
「楽しみだね!」
明日、シェリルちゃんに会えることを伝えると、マリーちゃんは嬉しそうに笑った。
マリーちゃんは笑顔で「早く会いたいな」とつぶやいていた。
「マリーちゃん、また明日ね。」
わたしは挨拶してから、この洋館を去った。

帰宅して食事と入浴を済ませたら、明日の準備をした。
カメラを充電して、カバンにシェリルちゃんのお洋服と靴とバラを入れてから眠りに入った。
明日、たくさんマリーちゃんとシェリルちゃんと遊ぶんだ。

32.愛美 2023年6月24日

今日は休みの日。
今日もお母さんに「図書館に行く」とウソをついて、マリーちゃんのドールハウスに遊びに来た。
「おはよう、マリーちゃん。」
「シェリルちゃんを呼んでくるから、待っててね。」
わたしはマリーちゃんに挨拶をしてから、シェリルちゃんの所に向かった。
ちゃんと血が抜けているのを確認した。
その後、シェリルちゃんの左目に造花のバラを刺し込んだ。
次はかわいいお洋服を着せてあげた。
これで、シェリルちゃんの出来上がり。
目にバラが咲いていて不思議でかわいい。

シェリルちゃんを車椅子に乗せて、マリーちゃんに会いに行った。
「こんにちは、マリーさん。」
シェリルちゃんはマリーちゃんにあいさつした。
「ようこそ、シェリルちゃん!待っていたよ!」
マリーちゃんは笑顔で歓迎していた。

「わたし、この家のみどりがいっぱいなお庭を見てみたいな。」
シェリルちゃんはさっそくお庭を見てみたいそうだ。
シェリルちゃんは自然が大好き。
お庭のお花が気になるみたい。
わたしはシェリルちゃんとマリーちゃんをお庭に連れて行った。
「植物が生き生きしてるね。」
シェリルちゃんはお庭を見てつぶやいた。

庭には温かい日差しが差し込んでいた。
木の下でマリーちゃんとシェリルちゃんが座っている構図を思い付いて、二人を木陰に連れてカメラで撮影した。

仲良しな写真が撮れた。

花を摘んで、二人に花冠を作った。
「これあげる。」
二人の頭に乗せてあげると、お互い笑顔になった。
「マリーさん、似合ってるね。」
「シェリルちゃんも素敵だよ!」
二人は褒め合っていた。
花冠を付けて、楽しそうにしてる様子も写真に収めた。

撮影がある程度終わったら、二人を屋敷のある部屋に運んで物置部屋からあるものを持ってきた。
シェリルちゃんに見せたいものがあった。
「これ、ちょうちょの標本だよ。」
おじいさんが持っていた蝶の標本。
「あぁ、きれいだぁ。」
シェリルちゃんは喜んでいた。
「愛美ちゃん、これすごいね。」
マリーちゃんも興味深々だった。

ふと、時計が視界に入るとあっという間に時間が過ぎてた。
そろそろ、家に戻らないと。

明日は春香さんとの約束があって、二人と遊べない。
「明日は用事があって遊べないの。」
と言うと、マリーちゃんとシェリルちゃんは寂しそうにしていた。

そんな二人を見て、わたしはマリーちゃんとシェリルちゃんを同じ部屋に入れた。
「明日は二人で仲良く遊んでね。」
さよならのあいさつをした後、屋敷を去った。

わたしも寂しい。
やっぱり、春香さんとの約束を断れば良かった。

よかったら、サポートお願いします。 いただいたサポートは創作に使う資料や機材を買う費用として使わせていただきます。