見出し画像

広告が脳内から消えなくてリップモンスターを手放せない話

2025年、元旦が来てしまった。
優柔不断な自分がnoteにいつか書きたいと思いながら、ずっと書けなかった話をいい加減書いておこうと思う。
ほんの感情と記憶の私的な覚書。

リップモンスターを買う気はなかったはずなのに

2023年、初めて私はリップモンスターを手に取った。
もともと人気商品で周りの店頭では品切れ続き。
欲しい色を探す気力もなく、かといってとりあえず買って試そうとまでは思わずにいた。
少し在庫が落ち着いた頃、KATEのイメージカラーの黒と赤を体現したCMが目に飛び込んできた。中島健人さんのCMだ。

男性がリップのCMを担当する珍しさもあって、そのシリーズの広告はショップで見かけるたびに目についた。
別にファンでもなかったけれど、リップカラーが際立っていた。
妙に印象に残る表情で、KATEのお約束のナレーションが入る。
そしてコンセプトは「怪物は囚われない」だと知った。

確かに怪物だと思う。
どう見てもなりたい自分になるコスメというテイストでの広告じゃない。
テレビでよく見るタレントさんと思っていたが、人類のふりをした何か別な存在にすら見えた。

「今度、色を見てみようか」

そんな風に思っていた矢先、CMは突如打ち切られた。

選んだのは似合わないはずの色

打ち切りの理由は彼に理由が合ったわけではないけれど、社会的に誰もが無視できないことで、無視すべき状況でもなかった。

そんな中でファンの人たちのツイートが流れてきた。
映画のイベントで彼がリップモンスターをつけていたそうだ。

そんな表現手段を選ぶ姿は、強烈なインパクトだった。
彼はどこまでも怪物なのだろうか。

ざわつく感情のまま、リップを検索した。
カラーチャートを見て、イエベの自分に合う色を探そうとしたはず、なのに。

選んだのは「誓いのルビー」と「2:00AM」。
中島さんの推し色と撮影使用のカラーだった。

ブルベ向きなこの2色をイエベのくせに選んでしまったのは、多分、自分ではどうにもならない中で凛と向き合う姿に魅せられたのだと思う。

それ以来、気合を入れたいときはこの二本を使っている。
ファンでもないのに、妙な話だとは思う。

そしてプロの仕事を見せつけられて見習いたいと感じた自分は、間接的にコスメでなりたい自分に近づこうとしているのかもしれない。
それはコスメCMで「ああなりたい」と憧れて商品を取る感覚と同じじゃないかと思い当たった。

メイクだけじゃなく、ああなりたいは内側にもあるのだ。

怪物ではない私はいろんなものに囚われる。

今年も私はリップモンスターを塗るんだろう。
そのとき、私はきっと、囚われを忘れて少し自由になれる気がする。

いいなと思ったら応援しよう!