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Mリーグライト層向けの本を出版したら売れるのか?


近代麻雀編集部の金本さんがこんなtweetをしました。

金本さんの意図は「符計算できない」けど、天鳳とかのネトマで(十段とか)強いひとがいたらそのひとの戦術書を出版したいということみたいです。

で、僕はこのtweetに対し、ネタで返したんですよね。

冗談から始まったtweetだったんですが、僕は気付いたんですよ。

麻雀の本って、「強くなる(上達する)ための戦術書」「強者の自慢話の本」がほとんどで、戦術だの強者の考えだのとは関係のない、「麻雀やプロ麻雀業界を楽しむための本」って、あまりありませんよね(知ってる方は是非紹介してください)

よく「Mリーグの視聴者には麻雀がよくわからないライト層が多いから云々」という話を見かけます。僕はライト層が多いという意見には懐疑的なんですが、仮にこの話が本当だとすれば「戦術とかに興味のないライト層向け」に、「戦術とか関係なく麻雀や(Mリーグとかの)麻雀観戦を楽しむための本」がもしかしたら需要あるのかもと。

そこで試しにtweetで煽ってみました。

このtweetをしたところ、ひとり釣れました。R-103さん(以下Rさん)という方なんですが、Mリーグなどの「ガチ勢vsライト勢」の構図に一家言ある方で、ライト勢の立場からガチ勢を批判するスタイルで僕が注目してるひとりです。ちなみに僕は普段のTwitterやnoteの発言から彼に非常に嫌われています。僕の方は結構Rさんは好きなんですけどね、基本的に空気を読まず自分の意見を素直に表明できるひとは大好きなので。

僕が「エンジョイ勢向けの本」として想定していたのは「初心者向けの戦術書」ではないのですが、これは僕の前の方のtweetを見ないとわからないので、誤解されるのは無理がないです(僕の書き方が悪いし、そもそもRさんは僕をフォローしてない)。でも「エンジョイ勢の大半は麻雀戦術の勉強なんてしない」は非常に興味深い知見です。

「Mリーガーに麻雀要素の薄くて面白い本を書ける人が思い浮かばぬ」というのは同意です(反論のあるMリーガーの方は是非本を書いてください。期待しています)。しかし、MリーガーでないひとがMリーグやプロ麻雀の紹介やエッセイを書いてもいいですし、Mリーガーの名前を使ってゴーストライターが書いてもいいので、どちらかといえば出版社側の問題です。

Rさんは将棋界が大嫌いな方ですが、実は将棋には「将棋が全然わからないひとが将棋界の事情を学びながらエンタメとして楽しめる作品」が結構あります。代表的なのは『聖の青春』ですね。

文章読むのが苦手なひとでも漫画版もありますし、映画版もあります。将棋のルールがわからなくても何となく将棋界の雰囲気はわかるという良い作品です。

プロ麻雀にもそういうルポルタージュや漫画があればいいんですが・・・あることにはあるんですが・・・競技をするだけでは食えないとか、賭け雀荘のメンバーで凌いでいるとか、マンション麻雀でのドヤとか・・・そういうものをMリーグで麻雀プロに関心を持ったライト勢に薦めていいものかよくわかりません。

「エンジョイ勢の大半は麻雀戦術の勉強なんてしない」とはいうものの、Mリーグを観て、Mリーガーの著書を読みたいと思ったファンはわずかでもいるはずです。実際、Mリーグが始まって以降、Mリーガーの著書はブームのように出版されています(どれだけ売れたかは知らん)。しかしそのほとんどは『多井熱』とかを除き、「戦術書」です。僕もだいたいがkindle Unlimitedで読めるので読みましたが・・・ライト層と言われる初心者が読んで参考になったり面白いと思えるものはないと思います。小さなコラムだけ読んでも割高ではないでしょうか。

以前、僕のフォロワーにもMリーグ観て麻雀の勉強を始めようと思った初心者の方がいて、おススメを聞かれたのですが・・・Mリーガーの本で薦められるのが全然なかったので、福地先生の『基本形80』を教えたんですよね。

でもまあ、「エンジョイ勢の大半は麻雀戦術の勉強なんてしない」なんていうのが業界の認識なので、割に合わないと思って誰もやってないのでしょう、多分。

あと僕は根本が「オタク側の人間」なので、知識が伴わないと趣味は楽しめないという観念が強いんですよね。大雑把に言うと・・・

①前提知識がないとわからない表現や概念がある

麻雀でいえば、カベとかスジの意味がわからないひとがMリーグの解説聞いて面白いのかという疑念があります。以前、白鳥プロが専門用語を噛み砕いて表現した解説が話題となりましたが・・・対局を観ながら耳だけで追うのは厳しいと思います。親切にするなら「Mリーグ観戦をより楽しむために」とかいうテーマで公式サイトとかで用語集とかわかりやすい解説を作って、放送から誘導すべきだと思います。Mリーグ運営はやる気がないので、せめて出版社が『Mリーグを楽しむためのガイドブック』とかを作って、視聴者が放送の合間に参照できればより楽しめるのではないかと・・・そんなんマニア気質のひとしかやらないですよね、はい。

②コミュニティは世界観の共有から始まる

基本的に趣味の世界は「同じ知識の共有」から始まります。Mリーグをきっかけに仲間を作るには、第一に「Mリーグを観ている」ことが前提となりますが、Mリーグ本放送のみでは薄っぺらいコンテンツなので他の知識で補強する必要があります。そのひとつが「麻雀戦術」なので、まあガチvsライトの対立になりますね。麻雀戦術は勉強するのがめんどくさいしゲームの才能がなければ習得に時間がかかります。しかし麻雀の面白さは戦術だけではありません。たとえば佐々木寿人であれば『真剣』とか『ヒサトノート』を読むことで「人間の魅力」という観点で楽しむことが出来ますし、そういう人間性のエピソードを「同じ話を知っている者同士」があれこれ話すのはとても面白いです。これなら麻雀下手くそでも楽しめるのではないでしょうか。あとは麻雀プロ団体の人間関係とか逸話の類も絡めて知識を増やせばよりMリーグが楽しめるでしょう。調べれば調べるほど闇の深い情報に辿り着く点は置いておいて。

とはいえ、これはあくまでもオタクの考えで、ライト層には別の何かが見えているのかもしれません。「ライト層の語るライト層」って、かなり異質の存在です。

「Mリーグは観るけど打牌に興味がない」

「Mリーガーとしての選手には興味があるけどその過去や所属団体での活躍に興味がない」

いったい何が面白いのかわかりません。いや最初はそれでもわかるんですが、繰り返し観れば絶対飽きますよね、その態度を続けると。

高宮が出ると喜び、沢崎が出ると消す、内容にもすぐ飽きて選手の強打や態度を批判しはじめて遊びだすぴんふさ・・・一部のファンもいます。

まあ、それがマイノリティならわかるんですが、それがマジョリティだとするとそこを市場と考えるのは危険な気がします。というのも趣味は沼なので求めるものが多ければ多いほど金を落としますし、金を使えば使うほどやめられなくなるので結局いいお客になります。しかし何も求めないひとが果たしてお金を使ってくれるのでしょうか?

Mリーグに興味を持ったライト勢がいたら沼に引きずり込むコンテンツ、その第一歩となる「戦術書ではないライト勢がMリーグをより楽しむための本」があれば便利だし普及になると思いませんか?麻雀本は3000部売れればヒットの世界ですが、100万人のライト層がいれば100人に1人が買えば1万部の大ヒットです(Mリーグの予想視聴者数の統計記事は僕は疑ってるけど)


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