12 .ホルモン療法が有効な癌として正しいものはどれですか .難易度:★☆☆
裏回答
Ⅰ型子宮体癌⇒○unopposed estrogen(エストロゲン依存)
Ⅱ型子宮体癌⇒○de novo(子宮内膜増殖症などの前駆疾患を介さずに発現すること)
子宮頸癌⇒○HPV感染が大きな原因
卵巣癌⇒肥満、不妊、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)等
腟癌⇒○HPV感染が大きな原因
解説
Q1.Unopposed estrogenとは?(´・ω・`)?
「プロゲステロンによって拮抗されないまま持続的にエストロゲンにさらされている状態」のこと✍️
通常、エストロゲンとプロゲステロンの作用は拮抗しあっています。
Unopposed estrogenでは、①エストロゲンの作用が強くなる、もしくは、②プロゲステロンの作用が弱くなる、ことが原因で起こります。
①エストロゲンの作用が強くなる(肥満、エストロゲン製剤、エストロゲン産生腫瘍)
②プロゲステロンの作用が弱くなる(卵巣機能異常)
このようなunopposed estrogen状態は、Ⅰ型子宮体癌のリスクが上昇するとされています。
Q2.どんなときにunopposed estrogen状態になるの?( ˙꒳˙ )???
unopposed estrogen状態になるには大きく分けて以下の4つの原因があります。
①肥満、②エストロゲン製剤やエストロゲン産生腫瘍、③卵巣機能異常、④不妊、未経産✍️
①肥満( × )タポンッ
「エストロゲン(エストロン(E₁))の合成が盛んになる」
肥満の方はエストロゲン(エストロン(E₁))の産生が亢進することでunopposed estrogen状態になります。
では、なぜ、肥満でエストロゲンの産生が亢進するのかを説明します。
女性ホルモンのエストロゲンはエストロン(E₁)、エストラジオール(E₂)、エストリオール(E₃)の3種類があります。
エストロン(E₁)
⇒脂肪組織に含まれるアロマターゼ(P450arom)によりアンドロステンジオンは芳香化を受けてエストロン(E₁)を産生します。
(アンドロステンジオンは副腎と性腺で作られ、卵巣ではエストロゲンに、睾丸ではテストステロンになるホルモン前駆体です。)
また、エストロン(E₁)は閉経後の主要エストロゲンです。
これにより、肥満ではエストロゲン(エストロン(E₁))の合成が盛んになりunopposed estrogen状態になるわけですね。。
ついでにエストラジオール(E₂)とエストリオール(E₃)についても書いておきます。↓
エストラジオール(E₂)
エストロゲンの中で最も活性が強いエストロゲンです。通常測定される血中エストロゲンの主成分で、卵胞の顆粒膜細胞で産生されます。(←覚えておいてください。一次試験にでます)
エストラジオール(E₂)は閉経前の主要エストロゲンです。
エストロ○○多すぎてわけわからんくなってきた(カナリヤ心の声)( °◃◦)
エストリオール(E₃)
妊娠時に主に胎児副腎と胎盤で産生・分泌されます。
エストロン(E₁)とエストラジオール(E₂)が前駆物質となり生成されます。
エストリオール(E₃)母胎尿中に排出され、胎児・胎盤機能を評価する検査に使われます。
性成熟期においては、エストロゲンの約60%は主に卵巣からのE₂で、残りは主に脂肪組織でアンドロステンジオンから生成されるE₁です。
②エストロゲン製剤、エストロゲン産生腫瘍
「エストロゲン製剤の服用やエストロゲン産生腫瘍によりエストロゲンが増加する」
当たり前のこと過ぎて変な日本語になります(草)
エストロゲン製剤については、省略しますが、エストロゲン産生腫瘍について補足しておきます。
エストロゲン産生腫瘍というのは、主に顆粒膜細胞腫や莢膜細胞腫のことで、これらの腫瘍からエストロゲンが産生されるためunopposed estrogen状態になります。
③卵巣機能異常(無排卵周期症、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群))
「排卵がなく黄体ができないので、プロゲステロンが分泌されない」
肥満やエストロゲン製剤、エストロゲン産生腫瘍と異なり、プロゲステロンの産生が低下することで、相対的にエストロゲンが増加しているようになるというパターンです。
④不妊・未経産
さいごの不妊・未経産は、
「長期的に見て拮抗されないエストロゲンにさらされる期間が長い」
ことが原因でunopposed estrogen状態になります。
これは以外とⅠ型子宮体癌の人に多い印象です。🤔
妊娠状態では、妊娠維持のためにプロゲステロンの産生が大幅に増加し、エストロゲンの作用に対して拮抗します。
しかし、不妊・未経産は、そういった状態がないため、長期的にみて、妊娠経験のある人よりもエストロゲンにさらされている状態が長くなります。
他の選択肢については別の記事で説明しているので、今回はunopposed estrogenにフォーカスをあててみました。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
(*´︶`*)♡Thanks!
以上!