4.妊娠時にみられる細胞像として正しいものはどれですか.難易度:★☆☆
裏回答
A⇒○妊娠初期から中期にかけて舟状細胞は増加する
B⇒○有尾型はジンチジウム型栄養膜細胞、多稜形がラングハンス型栄養膜細胞
C⇒○アリアス・ステラ反応は異所性妊娠でもみられる。
妊娠時の細胞像🔬
腟上皮は妊娠により周期性変化が停止するため、排卵後の分泌期様の細胞像になります。
①エストロゲンとプロゲステロンが急増する
↓
②エストロゲン効果をプロゲステロンが阻止する
↓
③プロゲステロン効果が顕著に現れる(分泌期様)
といった流れになります。……🤔
また、妊娠時には中層細胞が増加し、その中にはグリコーゲンを豊富に含む中層細胞(舟状細胞、navicular cell)も出現します。─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
舟状細胞↓
分娩予定日になると、舟状細胞は減少し、核濃縮を伴う表層細胞が出現します。
妊娠に関連して出現する細胞像🔬
①絨毛;外側がジンチジウム型栄養膜細胞、内側がラングハンス型栄養膜細胞の二層構造。ジンチジウム型栄養膜細胞はどんどん肥厚して内部に空洞を形成します。この空洞に子宮内膜からの血液が浸入します。それをもとに空洞内に絨毛が形成されていき、胎盤が作られます。2つの栄養膜細胞を併せて絨毛膜と言います。*栄養膜細胞(トロホブラスト)
絨毛の成長により、ラングハンス型栄養膜細胞がジンチジウム型栄養膜細胞を貫通し、子宮内膜に露出します。そのラングハンス型栄養膜細胞を絨毛膜外栄養膜細胞と言います。ラングハンス型栄養膜細胞からジンチジウム型栄養膜細胞になる中間の性質を持った細胞を中間型栄養膜細胞といい。絨毛膜外栄養膜細胞と同様の性質を持っていると言われています。
絵が雑すぎることは気にしないでください(土下座)
②脱落膜細胞;妊娠時に変化した内膜間質細胞。羊膜(外胚葉)、絨毛膜、脱落膜(子宮内膜)を合わせて、卵膜といい、胎盤検体では、臍帯と卵膜は基本的に標本化します。
③Arias-Stella reaction;妊娠時に関連してみられる内膜の増殖性変化。細胞質はやや広く短命で、核の肥大を伴います。異所性妊娠でもみられます。🤔
妊娠時、産褥期、流産の細胞像比較🔬
1、正常妊娠時
上記の通り、プロゲステロンの影響で、中層細胞が多く、舟状細胞が見えたり、分娩予定日になると、核濃縮を伴う表層細胞が出現することが知られています。
2、産褥期(出産を終えて出産前の体に戻るまでの期間。産後6-8週間程度)
妊娠中分泌されていたエストロゲン、Progesteroneは消失し、成熟指数maturation index (M.I.) は左方移動を示します。
成熟指数(M.I.)は表層細胞、中層細胞、傍基底細胞を核の状態によって分類すること。
の順番で表します。
例えば、0/10/90なら表層型右方移動、10/80/10なら中層型、90/10/0なら傍基底型左方移動といった表現をします。
3、流産
正常妊娠において認められた舟状細胞の出現が失われ、濃縮核を有するエオジン好性細胞が出現します。すなわちM.I.は右方移動を表します。