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商店街の旗を眺めながら街を歩こう
まちなかの商店街で、道端の街灯から旗が下がっている光景を目にしたことはないだろうか。商店街の名前とともに楽しそうな絵が描かれていたりする、あの旗だ。
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この旗、当然ながら商店街によって描かれているものが違う。一体どんなものがあるのか気になったので商店街を訪れては旗の写真を撮り集めていたところ、まとめて紹介できるくらいの枚数が集まった。そこで今回は筆者が今までに撮影した商店街の旗の写真をご覧に入れながら、旗のデザインの特徴を見ていきたい。
基本の三つのタイプ
まずはよく目にする三つのデザインのタイプから取り上げよう。それぞれキャラクター系、ロゴ・デザイン系、イラスト系と名前をつけた。
キャラクター系
旗に商店街や町のキャラクターが描かれているもの。体感では全体の3割くらいを占めている気がする。地域のキャラクターが描かれていることもあるが、商店街独自のキャラクターが描かれている場合が多い。それぞれのまちの個性がよく出ており、見ていて楽しい。
前の写真に写っていた巣鴨地蔵通り商店街の旗もキャラクター系にあたる。このキャラクターの名前は「すがもん」。巣鴨だから鴨のキャラクターなのだろう。
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戸越銀座商店街の旗にいるのは「戸越銀次郎」。虎に見えるが猫なのだそう。見た目に反してなかなか渋い名前だ。
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十条銀座商店街の旗には「キタニャン」。北区のキタニャンだ。商店街のホームページによれば身長は180cmくらいだとのこと。でかい。
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京都の三条通りにある三条名店街商店街の旗にいるのは「三条と〜り」。三条通りの三条と〜り。だじゃれだ。平安時代からタイムスリップしてきた都鳥だそう。旗の上にもう一羽いた。
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霜降銀座商店街の旗に描かれているのは「し」の形をしたシンプルなキャラクターの「しーちゃん」。ゆるい。
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染井銀座商店街の旗にはソメイヨシノ発祥の地にちなんだ桜のキャラクター「セレサちゃん」が描かれている。スペイン語で桜のことをセレッソと言うところからつけられた名前らしい。
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神奈川県平塚市の湘南スターモール商店街のキャラクターは「湘南ひこまるくん」と「ひらつかナナ姫ちゃん」。平塚は七夕まつりで有名な街だが、この旗も七夕の雰囲気あふれるデザインになっている。
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独自のキャラクターの旗がある商店街はやはり力の入った賑やかな商店街が多い気がする。〇〇銀座という名前のところも多かった。どのキャラクターも楽しそうなところがいい。
ロゴ・デザイン系
字の配置やフォント、配色などの工夫(簡単なイラストやロゴを含む場合もある)がデザインの中心になっているものをロゴ・デザイン系とした。デザインのタイプがデザイン系というのは意味不明かもしれないが、とりあえず見ていただきたい。これも体感では全体の3〜4割程度を占めている気がする。
まずは西ヶ原商店街。「安全・安心な街」だそう。ハート入り。
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きつね塚通りは「安全・安心」な上に「ふれあいの街」だ。風船をイメージしたデザインになっている。
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続いて尾久銀座商店街。こちらは「ふれあいCITY」だ。中央のオクラか獅子唐辛子みたいなロゴは何をイメージしているのだろう。食材かな。
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戸越公園中央商店街の旗にもよくわからないロゴが描かれている。木かな。書かれている文言はメッセージ性が強め。
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キラキラ橘商店街の旗はURL入り。ハートも描かれている。
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高円寺純情商店街の旗は逆三角形の形をしていて、ちょっとおしゃれな感じ。
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全体的になぜか五角形の旗が多く、似たような色や言葉が使われているものも見られた。制作しているところが同じなのだろうか。
イラスト系
イラストらしいイラストが描かれているもの。意外にあまり見かけず、体感では全体の1〜2割程度。
サンモールえばらの旗には、添えられた言葉通りのゆる〜りとしたイラストが描かれている。
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荒川なかまち通り商店街の旗には八百屋か魚屋のおじさんかおばさんが描かれている。タイみたいな魚の隣にいる謎の人面魚みたいなものは一体何なのだろう。
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川の手もとまち商店街の旗には招き猫が描かれている。縁起が良さそう。
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イラストとして描かれているのかキャラクターとして描かれているのかわからないものもあったが、名前が判明したものはキャラクターの方に含めた。荒川なかまち通り商店街の旗に描かれた八百屋のおじさん?にも絶対名前をつけてあげた方がいいと思う。
たまに見かけるその他のタイプ
ここまで、よく目にする基本の三つのタイプを見てきた。次は比較的マイナーなタイプを二つ紹介する。
祭り・イベント系
祭りやイベントの告知用の旗や祭礼用の旗がここに含まれる。季節や場所にもよると思うが、体感では5%くらいの割合で目にする気がする。
サンモール大塚商店街には東京大塚阿波踊りの告知の旗が取り付けられていた。配色がなぜかイタリア風だが、踊っている人のシルエットがイタリアの国の形に見えないこともない。いや見えないか。ちなみに旗に書かれた日付の約二週間後に撮影した。
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仙台の一番町四丁目商店街では「仙台竹灯り」用の旗を発見した。こちらも撮影したのは旗に描かれた日付の約一週間後。
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荏原町商店街の祭礼用の旗には祭りの名前も日付も書かれていない。シンプルなデザインだが格の高さを感じる。
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旗に書かれた日付がすでに過ぎているものもあったが、祭りが終わったからといってすぐに取り替えられるものではないのだろう。サンモール大塚商店街の旗には第50回と書かれており、もう二度と飾られることはないと思われる。このタイプの旗はまさに一期一会だ。
スポーツ系
スポーツのチームに関するもの。これも体感では5%くらいの割合で見かける。
下の写真の旗はサッカーJ1のFC東京の旗だ。東京都品川区の商店街で撮影した。
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スポーツチームの旗からも都道府県レベルの地域色は感じられるが、商店街としての何らかのオリジナリティも欲しいところだ。
激レア
大抵の旗はここまで紹介してきたいずれかのタイプに当てはまるのではないかと思うが、稀に他では見たことがないような旗に出会うこともある。最後にそんな激レアな旗を三つ紹介したい。
写真系
宮城県白石市の中町・長町商店街の旗には写真が印刷されていた。写っているのは白石城の天守閣だ。もしかしたら写真のように見える絵なのかもしれないが、いずれにしてもここまで写実的な旗は珍しい。
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AEDの場所を教えてくれる系
巣鴨地蔵通り商店街の旗はすでに紹介したが、「すがもん」が描かれた旗に混ざってAEDのマークが大きく描かれた旗を見つけた。これは実用的でナイスアイデアだ。もちろんこの旗の近くの建物の壁にAEDがきちんと設置されていた。
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新街路灯完成系
庚申塚商栄会では、新しい街灯が完成したことを祝う旗を見つけた。街灯の絵まで描かれている。普通、街灯を新しくしたからといってそれを旗にしようと思うだろうか。でもそこがいい。
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おわりに
全体的に明るく楽しい感じの旗が多いが、それにしても改めて写真を並べると本当に色々な旗がある。特に、その場所でしか見られないオリジナルの旗がたくさんあるところが良い。広い日本の中でもたった一つの街のほんの一区画だけでしか見ることができない旗は、間違いなく街の宝物だ。そのような旗が全国各地にあることはとても楽しいことだと思う。これからもあちこち出掛けて、もっと色々な旗を見てみたい。